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11.バレてしまいました

 帝国のヴァネッサ様の出産に立ち会った……ミアだけだが……あと、セリーヌ王国へ戻るとリザベラが神妙な顔をしていた。


「どうしたの? リズ」


 瞬間移動でボクの部屋に移動した直後、ミアがそう尋ねると何かを言おうとしてうまく言葉にできず……みたいなのを繰り返された。

 ボクとミアが二人で首を傾げていたら、スイーツを食べていたテトラが言った。


「なんかさっきまで廊下に重臣のおっさんたちが来ててー、『ジルクス殿下は本当に賢者であられるんですか!』って叫んでたよー」

「あ~……ついにバレちゃったか」


 半年以上前にパマグラニッド帝国の騎士団と決闘して勝った。

 玉座でも大暴れした。

 そのことがついにセリーヌ王国まで流れてきたんだろう。

 人の口に戸は立てられぬっていうから、しかたないかなぁ。

 それでも情報が半年遅れでくるあたり、意外と秘密は守られていたほうなんじゃないかなぁ。

 なんて楽観的に考えていたら、廊下の扉をどんどんと叩く音が聞こえた。


「ジルクス殿下! どうか我々に説明をお願いします!」


 何を説明すればいいんだろう?


「……一時間前からずっとこんな感じです」


 リザベラがとても嫌そうな顔をしながら言った。

 出発前、部屋に施錠の魔法を掛けたため無断で入られることはないけど、盗聴防止系の外部の音が聞こえなくなる魔法は使っていなかったので、扉をどんどん叩く音や叫び声は聞こえる。

 そんなものを聞かされ続ければ、そりゃ嫌にもなるよねぇ。


「……解錠(アンロック)


 魔法鍵を解錠したあと、扉を開いた。

 扉の前には重臣たち数名が立っていた。


「説明っていうけど、ここですればいいのか? 父やマイン兄がいる前で話すべきじゃないのか?」

「す、すぐに会議を開きます。そちらで説明を……」


 尋問しますって言っているように聞こえるんだけどなぁ……。

 まあ、言われたことに答えればいいか……と思って、会議に参加することにした。


***


 二時間後、父とマイン兄、それから重臣たちと高位貴族たちが集まって会議が始まった。

 重臣たちは、父が実力で選んだ人物で一応貴族だけど、位は低かったりする。

 高位貴族たちは、公爵と侯爵のこと。スウィーニー侯爵もいる。

 議長は重臣たちの中から選ばれた。


「……議題は第二王子ジルクス殿下の継承権について」


 は? ボクの継承権がなんで議題にあがるの?

 不思議に思って首を傾げていたら、父とマイン兄がため息をついた。

 ……ため息をつくような何かが起こるってことか……。


「まずは確認をさせていただきたい。ジルクス殿下は〈職業:賢者〉であるという噂が広まっているのだが、確認させていただけないだろうか?」


 高位貴族の中から、一番若そうな男性が手を挙げてそう言ってきた。

 それに対して、議長がボクに向かって頭を下げてくる。

 確認させろってことだよねぇ。

 隠蔽スキルを解除しないと見えないと思うんだけど、どうしようかなぁ。

 ボクが黙っているとマイン兄が苦笑しながら言った。


「ジルの好きにしていいよ」


 好きにしていい? 隠しても見せてもどちらでもいいという意味だろうか。

 それならば、見せてしまったほうがいいだろう。

 バレてしまえば、思う存分魔法を使ってもよくなるはずだし。


「確認するのはいいんですけど、この中に上位の鑑定スキル持ちっていますか?」


 そう聞くと誰もが首を振った。

 パッと見まわしたけど、確かに誰も持っていない。

 持っていれば。職業欄が見えて、賢者じゃないって思うもんねぇ。


「中央の騎士団長が持っていただろう、すぐにこちらに来るよう頼んでくれ」


 高位貴族の中で一番年寄りそうな男性が近くに立っていた近衛騎士にそう頼んだ。

 近衛騎士は軽く挨拶をするとすぐに廊下へと出て行った。

 騎士団長に頼むって……もしかして、鑑定スキル持ちって少ないのかなぁ?

 しかも今からこちらに来るよう頼むって……中央の騎士団ってここから往復で一時間はかかるんだけどなぁ。


 確認できるまではこのままかなぁ……と思っていたら、父が言った。


「もし、ジルクスが賢者だった場合、お前たちはどうしたいと思っているんだ?」

「それはその、ジルクス殿下を次期国王へと推薦しようかと」

「ほう」


 父の射貫くような目が一番若い高位貴族へと向く。

 マイン兄は笑顔のままだ。

 ボクを次期国王へってそんなものはマイン兄が王太子になったときに片付いた話じゃないか。

 いまさら蒸し返すとか……ホント面倒くさい。


「賢者であるジルクス殿下が国王になれば、他国に対してけん制になります」

「内政に関してはどうするおつもりですか?」


 若い高位貴族の言葉に重臣の一人が質問する。


「内政に関しては我々、貴族にお任せくだされば……」


 若い高位貴族は父の視線など気にせず、思ったことを話していく。

 簡単に言えば、ボクを傀儡にして高位貴族たちが好き勝手したいってことだよねぇ。


 その後、重臣たちと高位貴族たちの言い争いが続いた。


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