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01.領地視察と外交を任されました

最終章です

最後までお付き合いよろしくお願いします

 帝国から戻ってきて数日が経ったある日、ボクは国王である父の執務室に呼び出されていた。

 父の仕事の半分を担っているマイン兄も部屋にいる。


「とりあえず、座れ」


 呼び出された理由がわからないまま三人掛けのソファーに座り首を捻ると、父が黒い笑みを浮かべ、マイン兄がにこりと笑いながら言った。


「単刀直入に言おう。今後、ジルクスには正式に領地視察と外交を担当してもらう」

「今までみたいにミア嬢をつれてふらっと旅に出る感覚でね」

「……それはとても喜ばしいことですね」


 父とマイン兄の表情から考えると、素直に喜んでいいのか迷う。

 ミアと旅に出れるというのはとても魅力的な話だけど、何か裏があるようにしか思えない。


「領地視察と外交に関しては、ジルが自由に振舞っているほうが国のためになるっていう判断からだから、そんなに身構えなくても大丈夫だよ」


 マイン兄がクスクスと笑いながら言った。


「それとは別件だが、ジルクス……お前の婚約者が成人するのはいつだ?」

「……三か月後ですが?」


 ボクがそう答えると父は顎を手に当て考えるような仕草をした。

 マイン兄も腕を組んで考え込んでいる。

 ミアが十五歳になることに何か意味があるのだろうか?


「四か月後では無理だな。せめて半年はほしいところだ」

「そうですね。それなら、来年にするというのはどうでしょうか?」

「それが妥当だろうな」


 二人はお互いにうんうんと頷き合って納得している。

 っていうか、一体何について話し合ってるの⁉


「まったく話が見えないのですが……」


 先ほどとは反対方向に首を捻りつつ尋ねると父がクククと笑いながら言った。


「お前もそろそろ結婚する時期だろう」


 セリーヌ王国の王族貴族の結婚適齢期は成人後の十五歳から二十歳くらいと言われている。

 ボクはもうすぐ十七歳になる。適齢期のちょうど真ん中くらい。

 言われてみれば、そろそろ結婚する時期……なんだけど、帝国でのドタバタですっかり意識の外にあった。


「ソフィア姫のような者が今後も現れないとは限らないし、ジルにはなるべく早く身を固めてもらったほうがいいのではないかって話になったんだよ」


 マイン兄が父の言葉に補足するように言った。

 婚約状態より結婚しているほうがミアとの間に割って入られる可能性は減るだろう。


「なるほど……。それでミアの成人がいつかを聞いてきたんですね」

「そういうことだ。準備の関係から来年になるだろうがな」


 王族の結婚の場合、三親等までの親族と行う結婚式、国民にお披露目するためのパレード、近隣諸国の王族貴族および国内の貴族に対しての披露宴の三つを行わなければならない。

 父である国王に予定を開けてもらったり、近隣諸国に招待状を送ったり、出席者はドレスなどの準備をする。そのことを考えれば、一年以上先になるのは仕方ないだろう。


「来年のジルかミア嬢の誕生日に結婚式を挙げたらどうかと思っているんだけど、どうかな?」


 やっと、さっきまでの父とマイン兄の会話へとつながった。


「そこはミアと話し合って決めてもいいですか? そもそもまだ、プロポーズもしていませんし」

「え!?」


 ボクの言葉に、マイン兄は目を見開いて驚いた。って、父も口を開けてるよ。


「何かおかしなことを言いましたか?」

「いや、ジルクスならもう手を出しているだろうと思っていた」

「ジルってミア嬢のこと溺愛してるから……」


 いやいやまてまて!

 ボクは二人の言葉のほうに驚いたよ!

 たしかにボクはミアを溺愛しているけど、未成年に手を出すなんて……がんばって耐えているんだよ!

 ってそうじゃないよ、プロポーズしてないと言っただけで、どうして手を出しているって話になるんだよ!


「たしかに溺愛していますが、順番は守れる男ですよ!」


 父とマイン兄はなんだか腑に落ちない顔をしていた。

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