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14.決闘を挑まれました

「ジルクス殿下……どうやら、公衆の面前でソフィアを泣かせたと話を聞いた。こういった場合、責任をとって婚姻すべきではないだろうか?」

「お断りします」


 皇帝に怯むことなく、きっぱりと断った。

 ボクはミアと婚約している。

 そのことを忘れている……なんてことはないから、なかったことにしようとしているんだろう。

 ボクは父譲りの冷めた笑いで皇帝を見据えた。


「ジルクス殿下が断ったとなれば、我が国とセリーヌ王国との間で問題が起きるが?」


 皇帝はまだニヤニヤとした笑みを浮かべてそんなことを言ってくる。

 ボクが治癒術が使えるだけのただの第二王子だと思ってそんなことを言ってきてるのだろう。


「問題ねぇ。困るのはそっちでしょう? ボクはミアとともにすぐに王国へ戻ることができるんですよ?」


 瞬間移動を使えば、本当に今すぐにでも王国へ戻ることが可能だ。

 そんなことを知らない皇帝はまだニヤニヤとした笑みを浮かべている。

 きっと、ボクたちが馬車で帰るから、途中途中で足止めすればいいとか拘束すればいいとか思っていそうだ。


「ミア様が王国へ向かわれるのは困りますな」


 ミアだけが必要だってことがよくわかる言葉だ。

 ん? もしかしてボクとミアの仲を裂いて、ミアだけを帝国に取り込もうとしてる?

 裂く方法として、ボクとソフィア姫をくっつけようとしてる?

 考えすぎだろうか。


「セリーヌ王国の国王の前で、治癒術師二名に対して不埒な真似や不適切な扱いをしないと……ソフィア姫と宰相殿が約束したんですが、これ以上は不埒な真似だと判断しても良いでしょう?」


 ボクがそう言うと皇帝は宰相をギロッ睨んだ。

 宰相は真っ青な顔色になって今にも倒れそうだ。

 こんなどうでもいい内容で時間を使うのがもったいなく感じた。

 帝国城にいる侍従や騎士たちは良い人が多かったのに、皇帝はダメすぎる。ゴミとかクズとか言ってもいいと思う。

 ボクが大きくため息をつくと、皇帝が身を乗り出しながらとんでもない提案をしてきた。


「ふむ……では、決闘を行うしかないな」

「……は?」


 ボクは眉間にしわを寄せつつ不思議そうな顔をした。

 すると真っ青な顔をした宰相が言った。


「パマグラニッド帝国では、話が進まない場合、決闘を行い勝負に勝った者の言い分を聞くという方法で解決しておりまして……」


 力が絶対ってこと!?

 あ、だから、バートってボクに決闘を申し込んできたのか……。


「決闘方法は、ジルクス殿下とその護衛対我が帝国の騎士団としよう。そちらの人数は何人だ?」


 なんだこれ、決闘するのは確定?

 だけど、ちょうどいいかもしれない。

 ボクとヘキサとテトラが本気出していいってことだし。


「こちらはボクを含めて三名ですね」

「では、我が帝国の騎士団からも三名としよう。こちらが勝った場合、ジルクス殿下はソフィア姫と婚姻せよ」

「いえ、帝国の騎士団員すべてで構いません。その代わりボクが勝った場合、今後帝国内におけるボクの行動に一切異議を申し立てない……とします」

「ほう! すべてでかまわぬと! よかろう」


 皇帝は目をギラギラとさせながら嬉しそうに言った。

 少しくらい考えれば、甘い条件の裏には罠があるとか怪しむものだと思うんだけどなぁ。


「日時は明日の正午、決闘場で行うものとする」


 こうしてボクたちと帝国の騎士団との決闘が決まった。

 日時や場所があっさり告知されるあたり、最初から決闘させようと思っていたのがわかる。



 ボクはすぐに玉座の間から部屋へ戻り、室内に誰もいないのを確認したあと、ヘキサとテトラを連れてセリーヌ王国の王宮へと瞬間移動した。

 帝国城内で明日の決闘についての作戦会議なんてしてたら、どこから話が漏れるかわからないからねぇ。


「主様~? 急にどうしたのー?」

「実は帝国の騎士団と決闘することになって」

「決闘ですか……フフフ」


 ボクは二人にどうして決闘することになったかの経緯を話した。


「つまり、相手の人数が多い戦いを行うということでございますね?」

「さすが、主様! そっちのほうが楽しいもんね!」


 その後、三人であれこれと戦闘方法について話し合った。

 セリーヌ王国の騎士団で、三人対複数人の模擬戦を何度となくやってきた。

 そのときは手加減をしていて、ボクは支援系の治癒術ばかりで魔術は使っていなかった。


「今回は模擬戦ではないから、ボクも魔術を使うことにするよ」


 にっこりと微笑みながらそう言うと、テトラが首を傾げながら言った。


「主様ってどれくらい魔術が使えるのー?」

「ああ、言ったことなかったっけ? 隠蔽を解いておくから、ボクを鑑定してみるといいよ」


 テトラはすぐにボクを鑑定して、目を見開いて驚いた。

 口をパクパクしたまま、ヘキサの腕を引っ張ったけど、よく見れば、ヘキサも目を見開いて驚いていた。


「わかった?」

「ま、まさか……〈職業:賢者〉だなんて!」

「すべての最上級魔術が使えるっていう伝説の職業……」

「徹底的にやろうと思っているんだ。巻き込まれないように気をつけてね」


 さっきと同じようににっこりと微笑みながら言えば、テトラが引きつった笑みを浮かべて、ぼそぼそと言った。


「……ねぇ、ヘキサ……主様ってもしかしてめっちゃ怒ってる?」

「……テトラよ、こういうときは気づかないふりをしていたほうがいいのだぞ」


 怒っているかって? もちろん、今までの人生で一番怒っているとも!

 ボクとミアとの仲を裂こうとすることがどれだけ愚かなことなのかわかっていなさすぎる。

 他国の王族の婚姻にケチをつけるってのは、その国を見下すってことだろう。

 そんな国を許せるはずがない。

 ボクの怒りがどれほどのものなのか、理解するまで魔術を使おう。

 そうだよ、いくら怪我しても治癒術で治せるんだから、いいよね?


「明日が楽しみだね」


 ボクが微笑みながらそうつぶやけば、テトラはヘキサにしがみつき、ヘキサはあらぬ方向を向いた。


満足できるほどのざまぁが書けるか不安!

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