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13.また迫られました

「ジルクス殿下! どうかあたくしのお話を聞いてくださいませ!」


 翌朝、日課になりつつある回診もどきの途中でソフィア姫にそう声を掛けられた。

 セリーヌ王国にいたときの色気を使うような声の掛け方ではなく、鬼気迫るような感じだったので、自然と足を止めて振り向いていた。


「どうかしましたか?」


 ボクがそう声を掛けると泣きだしそうな表情になりながら言った。


「どうか、あたくしの夫になってくださいませ!」

「……は?」


 ボクたちがセリーヌ王国から治癒術師として派遣されるって決まったときに、「不埒な真似や不適切な扱いをした場合、帝国に対してそれ相応の対応をとる」って言われたの忘れたんだろうか。

 ボクは今までのように微笑んで誤魔化したりしなかった。

 はっきりと嫌悪感を表情に出して、ソフィア姫を睨んだ。

 

「どうか……お願いです! でないとあたくし、居場所が……」


 するとソフィア姫は視線をさまよわせた後に、そう言って泣き崩れた。

 居場所って何の話だろうか。


「ボクとミアが婚約していることは知っているよね?」

「はい、存じております」

「セリーヌ王国の国王の前で、治癒術師に不埒な真似はしないって約束したよね?」

「……はい」

「派遣された治癒術師ってボクとミアなんだけど、まだ婚姻を迫るの?」


 迫られているだけだから、まだ不埒な真似ってわけではないと思うけど、放っておくと冗長してミアとの間を割こうと画策するからなぁ。

 今のうちに釘を刺しておいたほうがいいよね。


「不埒な真似や不適切な扱いをしたら、ボクとミアはすぐにセリーヌ王国へ戻るつもりなんだけど、それでもいい?」

「それは……!」

「わかったら、迫るのやめてほしいな」


 はっきりそう言うとソフィア姫は唇をぎゅっと引き結んだあと、無言で去っていった。

 大きくため息をついたところで、背後から声が掛かった。


「ジルクス殿下……」


 今度は誰だよ!? なんて思いつつ振り返れば、パマグラニッド帝国の頭皮がつるっとしてそうな宰相だった。

 怪訝そうな顔で目を合わせると、頭を下げてきた。


「ソフィア姫があのような発言および態度をしてしまい、申し訳ありません」

「宰相から代わりに謝罪があったので、今回のことは水に流しましょう」

「ありがとうございます!」


 二度目はないぞという意味を込めて伝えれば、宰相は理解したようで汗をかきつつもう一度頭を下げた。



 回診と称して帝国城の中をウロウロしているうちに、どうしてソフィア姫が急に迫ってきたのかがわかった。

 騎士や侍従、貴族たちがあちこちでウワサ話をしていて、それをまとめるとソフィア姫はボクと婚姻して自分の価値を上げようとしているらしい。


 どうやら皇妃が皇子を産んだ場合、継承順位が入れ替わってソフィア姫は次期女帝ではなくなるようだ。

 その結果、ソフィア姫はただの皇女となり価値がなくなると思い込んでいるというか、思い込まされているらしい。

 でも、ボクと婚姻すれば価値が上がるとかなんとか……。


 どう考えても、誰かが意図的にウワサを流しているとしか思えない。

 このウワサ話を考えたやつの首を絞めたくなった。

 


 そして、翌朝……ボクは皇帝から呼び出されて、玉座の間にいた。


「ジルクス殿下……どうやら、公衆の面前でソフィアを泣かせたと話を聞いた。こういった場合、責任をとって婚姻すべきではないだろうか?」


 皇帝がニヤッと笑いながら言った。


ぶっつぶしてやる!

(作者もイラっとしています(笑)


本日は二巻の発売日です!

ぎりぎりなんとか間に合った

でも、そこで区切るの!?ってところになってしまいました

ごめんなさい

明日はジルがプチっと切れる話を書くはずなので、許してください(汗)

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