表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
123/156

05.あっさりと帝国へ入ります

 王都を出てしばらくは街道を走っていたんだけど、ちょうどいい感じの場所に森が見えたから、そっちへ行くように指示を出した。


「う、う~ん……あれ? 私、いつの間に眠ってたんだろう?」

「王宮を出てすぐでございます」


 整備された街道とは違ってデコボコな道を走ったため、ミアが起きたようだ。

 振り向いて、一番後ろの席に座っているミアを見れば、まだ眠たそうに欠伸をしていた。

 貴族の令嬢だけど、無防備に眠ったり欠伸をしたり……ホント、ミアはかわいいなぁ……。


 森のすぐ近くで馬車を止めさせた。

 周囲に人や馬車がいないことを確認した上で、馬車から降りた。

 ボクだけが降りるつもりだったんだけど、なぜかみんな降りてきた。

 

「ミア、大事な話をしたいから……」


 ボクは降りてきたミアにそう声を掛けると、すぐに向き合って両手を繋いでくれた。


「馬車と護衛の二人が乗っている馬、それから同行メンバー全員を囲うように掛けるよ」

「うん、わかった」


 ボクとミアの様子にリザベラは不思議そうな顔をしていた。

 大きく息を吸い、ミアに向かって大きく頷くと同じように大きく頷き返された。

 それを合図にして二人同時に魔法を唱える。


「「……隔離(アイソレーション)!……閉鎖(シャットダウン)!」」


 隔離は空間を切り離して盗聴を防止するもので、閉鎖は切り離した空間の出入りをできなくするものだ。

 これで、周りを気にせずに話すことができる。


「これからのセリーヌ王国内での動きについて話がある」


 ボクはそう前置きして、説明を始めた。

 ロックハンド領へ向かったときと同様に、早急にパマグラニッド帝国へ向かわなければならない。

 そのためアイテムバッグのスキルを使って荷物を軽くすること。

 馬たちに治癒術を施しつつ走らせること。

 ここまでは、体験済みなので、御者も護衛たちもうんうんと頷いていた。


「それから、瞬間移動のスキルを使って、この場所からロックハンド領近くまで瞬時に移動するから」


 ボクの言葉を聞いた途端、御者のおじさんはぽかんと口を開けたまま、何も言わなくなった。

 いや、いつも無口な人なんだけどねぇ。

 護衛Aは目を見開いて驚いているし、護衛Bにいたっては目を伏せたままぶつぶつと何かを言っている。

 護衛Aはアスドルバル、護衛Bはベルナルディノっていう名前なんだけど、二人ともボクには呼びづらい名前をしているから、心の中で勝手に護衛A・護衛Bって呼んでいる。


「ああ、一応……アイテムバッグや瞬間移動のことは口外しないように」


 御者のおじさんは長年、王家に仕えている人だからそう簡単に口外することはないと思う。

 ミアの護衛二人に関しては、まぁ……スウィーニー侯爵が選んだ人物だし、たぶん大丈夫だろう。

 ボクは三人の返事を待たずに行動を開始した。


 馬四頭とハイイロオオカミ一匹、ボクを含めて八人……それから馬車とか荷物とか、すべてに意識を巡らせて瞬間移動のスキルを使った。


 視界がぐにゃりと揺らいで瞬きをしたら、そこはロックハンド領の領都とオールが住んでいた森との間だった。

 ここからなら、ロックハンド領の領都を通って、国境近くにある砦へと向かいやすい。

 砦を抜ければ、パマグラニッド帝国だ。


 大所帯をまとめて瞬間移動させたからだろう、魔力の消耗を感じてふらついてしまった。


「ジル!?」


 そんなボクにミアは気づき、慌てたようた様子で声を掛けてきた。

 ボクは何でもないよと微笑んで見せた。

 一応、ボクだって男なんで、カッコ悪いところは見せたくないんだよ!


「触れずに瞬間移動を行うとは、さすがジルクス様ですね……フフフ」

「私もヘキサも触ったものしか瞬間移動はできないんだよー? 主様、ホントすごいー!」

「え?」


 てっきり、触らなくても瞬間移動できるものだと思っていた!

 魔力の消耗が激しいのは、触れずに瞬間移動したためだったんだな……。

 次からは、触れながらスキルを使うことにしよう。


 この後、ロックハンド領へ入り、必要な食材や消耗品などを買い込んですぐに再出発した。

 そして……特に苦労することもなく、あっという間に一週間が経ち、帝国の帝都へと入った。



本当は途中で盗賊に襲われる話とか入れたかった!

と、作者の心のメモ(笑)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ