表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/156

11.兄を呼び出しました

(2/3)

本日投稿分は3本です。

悪い単語が出てきます。

 王立学院内には、学生または先生へ対しての手紙のやりとりを代理で行ってくれる機関がある。

 社内便みたいなもので、代行便という名前だ。

 入学してからすでに半年以上たつが、初めて利用した。

 もちろん、マイン兄へ向けてだ。


 マイン兄と直接関わるとボクも王族だっていうことがバレてしまう。

 なので、今までは極力関わらないようにしていたのだけれど、今回はそうもいかない。

 今のままラフィリア嬢がマイン兄の婚約者になってしまうと、ボクが王太子になる可能性がぐんと上がってしまう。

 それだけは避けないと!


 あの夜会から5日後の放課後に個別談話室を貸し切って、マイン兄を呼び出した。

 必ず一人で来るようにと書いておいたのだが、マイン兄の腕に絡まりついて離れないラフィリア嬢も一緒だった。

 あまりにもアレすぎて、このクソビッチが!って言いそうになった。


「ジルクス。話ってなんだい?」


 マイン兄はラフィリア嬢も部屋へと入れて、話しかけてきた。

 状態:魅了(隠蔽)の状態では、ラフィリア嬢を引き離すことはできない…のはわかっているけれど、見ていて腹が立つ。

 ボクのマイン兄なのに……。

 いや、今生は男だからこの感情はおかしいか。


「ジルクスくんって言うんだ。ラフィリアっていうの。よろしくね」


 ラフィリア嬢が魅了を伴った挨拶をしてきたけれど、無言で跳ね返してやった。

 状態:驚愕(隠蔽)になっていたけど、表情には出ていないようだ。


「大事な話があるから、一人で来るように書きましたよね?」

「私がカーマイン殿下と一緒にいたいと願ったんです」

「ラフィリアがそう言うので連れてきたんだ」


 あー頭痛い。

 本気で好きな人だったとしても、連れてこないだろう。

 マイン兄の思考能力にも影響を及ぼしているのだろうか。


「いい加減、魅了使いながら話すのやめてくれない?」


 イライラしたまま言い放ったのに、マイン兄とラフィリア嬢は何のこと?みたいな顔をしていた。

 マイン兄は純粋に気づいてない…っていうか魅了中だもんね。ラフィリア嬢はしらばっくれているだけだ。


「魅了……ですか?」

「ラフィリアは魅力に溢れているとは思うが…」

「やだぁ、カーマイン殿下ったら~」


 ラフィリア嬢は絡めていないほうの手で自分の口を隠し、照れたようにマイン兄の顔を上目遣いで覗き込んだ。

 ああもう、無理。限界。

 穏便に済ますべきなんだろうけど、この女には無理だ。


「はぁ……解魅了ディスペルチャーム


 パリンっという音とともに、マイン兄の状態:魅了が解けた。

 薄いピンク色をしたガラスのような膜が粉々に割れて、地面に落ちていった。

 兄はすぐに、自分の口に手を当て、足元とラフィリア嬢を交互に見ている。

 ラフィリア嬢は魅了を解除されると思っていなかったのか、口を開けて驚いているようだ。

 マイン兄が状態:激怒になった。そんなの初めて見たよ。


「”ラフィリア・フォン・クラディアス”。今すぐこの部屋から出ていけ」


 ラフィリアは「え?」と言いつつも、すぐさま出ていった。

 心と体が一致しない行動のようだ。

 これってもしかしたら、スキル:賢君の効果の一つかもしれない。賢君ってアクティブスキルなんだな。


 ラフィリア嬢が部屋から出ていき、扉が閉まったのを確認したあと、すぐに隔離を唱えた。


「……施錠ロックアップ……隔離アイソレーション……閉鎖シャットダウン


 盗聴防止だけでなく、物理的にも部屋へ入ってこれないように扉に魔法鍵をして、さらに空間を切り離した。

 ふぅと詰めていた息を吐くと、マイン兄が謝り始めた。


「ジルクス。すまない……助かった」

「マイン兄……本当ですよ。あの女はマズイ」


 この会話だけで、今日なぜ呼び出したのかが伝わったようだ。



2/1 前書き追加

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ