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19.不穏な話を聞かされました

 翌日の昼前に領主が目を覚ましたと執事から聞いた。ベッドから出られる状態ではないとのことで、話は領主の部屋で聞くことになった。


「ジルクス殿下、話の途中に倒れてしまい申し訳ありませんでした」


 開口一番に言われたのは謝罪だった。この領主ほんと真面目すぎて、今後が心配になる。すべてが終わったら首を括らせてもらおうとか思ってそうで、怖い。


「呪いが解けた直後に無理をさせようとしたこちらが悪い。気にしないでいいので、この間の続きを話してほしい」


 領主はボクの言葉に深く頷いてこの間の続き……帝国からきた商人の話をし始めた。



 ある日、帝国から商人が訪れて、新しい娯楽を流行らせてみないか?と言い出した。どういったものでどう流行らすのかを確認すると、掌より小さな家や馬車、人といったものを自らの手で作り、飾るという娯楽だった。出来上がったものを他の貴族たちに見せれば自ずと流行ると商人は言ったのだけれど、これのどこが面白いのか私にはわからなかった。

 実際に作ってみればわかると言われ、自分のイメージした小さな家や馬車を作り出す魔道具を預かった。材料である白っぽい土を目の前にして魔道具を使ってみれば、イメージした通りの領館が作ることが出来た。次に絵筆と染料を渡されて、色を塗っていく。絵筆を太いものから細いものへと変えた途端にこの娯楽が楽しいものだと思い始めた。

 すぐさまその商人から、魔道具・材料・絵筆・染料を購入して小さな家や馬車の製作に没頭した。

 材料が尽きそうになるとすぐ商人が現れて、材料を売りつけにきた。商人は材料の売りつけだけでなく、『じおらま』を発展させていく方法も教えていった。


 ある時、この『じおらま』は帝国でも流行っているのか?と聞いたところ、帝国では別の娯楽が流行っていると言った。なんでも『りばーし』というもので、丸いコインの片面が白片面を黒に塗ったものを盤上で戦わせるのだそうだ。聞いていても興味はそそられなかったのだが、商人はその『りばーし』を帝国の唯一姫であるソフィア様が大変気に入って、何度も城に呼んでくださりしかも対戦相手としてくださるのだと自慢していた。

「姫は大変美しく素晴らしいお方」というのがこの商人の口癖だった。



「先週材料を売りつけに来た時、帝国では鉄や食料が不足しているから買い込んでから帰ると言っていた」


 領主はこの言葉で話を締めくくった。


「鉄と食料ねぇ?」


 ボクがあれこれと考えているその後ろでは、ヘキサとテトラが楽しそうに話し始めた。


「鉄と食料って言ったら、やっぱりアレだよねー!」

「それ以外にないだろう」

「アレは楽しいから、私たちもぜひ参加させてもらわないとー!」

「ジルクス様の許可が必要になりますが、我らが参加すれば勝利は間違いない」

「主様が指揮をするかもしれないよー?」

「そうなれば、騎士団の団長たちが喜ぶであろう」

「あの人たちも戦い大好きだもんねー!」


 二人の会話を止めに入ろうとしたら、ミアが不安を吐露し始めた。


「……戦争が起こるってこと?騎士団だけじゃ人数が足らないから、平民から徴兵とかあるのかな。平民だけじゃ足りなくてきっと貴族も集めることになるよね」

「その可能性はございますね」

「徴兵って男性だけじゃなく女性にも起こりうるよね。そうなったら子供たちが困るよね。ううん、それだけじゃない。孤児院の子どもたちも食べるのに困り始めるかも?そんなぁ!どうしよう!?」

「お嬢様、落ち着いてくださいませ」

「でも……」

「そこの腹黒エロ王子がきっとなんとかしてくださいます」

「リザ、それ不敬罪になるんじゃ?」


 ボクはみんなの会話を手を叩いて止めた。


「まだ戦争だって決まってないんだし、そこの二人は楽しそうにしない!喜ばない!ミアも不安になるのは中止!リザベラはボクを貶めない!今は目の前の勅命を完了させるの優先!」

「えー!せっかく暴れられると思ったのにー!」

「我らは戦闘種族ゆえ、戦いを喜ぶなとは!全くジルクス様は……フフフ」

「テトラもヘキサも一度、あっちに戻すぞ?」

「やー待って!主様!まだ食べてないお菓子が!」

「まだ、マドレーヌとチョコレートケーキと白桃のジュレが残っております!」

「じゃあ大人しくしてて」

「はいー」

「かしこまりました」


 ボクの言葉にヘキサとテトラは渋々頷き、ミアは小さく頷いた。リザベラはミアのことを心配してるだけなので問題なし。


「とにかく、ロックハンド領についての報告の時に、帝国の動きについても伝えるから、いいね」


 それぞれの返事を待たずにジェイクと夫人からも領主がジオラマにハマっていた間の様子と二人が起こした行為について聞いた。


 聞き終わるとすぐに早馬の代わりに影を先に帰らせた。護衛はヘキサとテトラがいるし、なんとでもなる。

祝100話!


書籍化作業が少しずつ始まってるので、書き方に違和感出てくるかもです

ごめんなさい


ヘキサとテトラは「甘党バトルジャンキー」ですw

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