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10.兄が変な女に引っかかってヤバイです

(1/3)

本日投稿分は3本です。

 時々、学院主催のお茶会や夜会がある。

 全員が貴族なので、礼儀作法の勉強のためっていうのは建前で、合コンみたいなものだ。

 成人までに婚約者を見繕うために、親たちが率先して行うよう言ったのがきっかけらしい。


 予想通り、そのお茶会や夜会にも、肉食女子が誘ってくる。

 お昼ご飯だけって言ってあるのに、言うこときかない女子が多すぎる。

 もちろん、全員お断りしている。

 その気もないのに誰かのパートナーなんて務めたら、その子ボロボロになるまで陰湿なイジメにあうよ。

 本気で想ってる子じゃないなら、守ってあげようって気にもならないし、関わらないのが一番。


 だけど、お茶会や夜会自体には興味があるので、参加している。

 美男美女の観賞は見ているだけなら、実に楽しい。

 身に着けている宝石の一つ一つが素晴らしいものだったり、ドレスもゴージャスなものからシンプルなもの…に見えて最高級の素材で作られてるとか刺繍が素晴らしいとか…とにかく見ていて飽きない。


 実は参加しているのにはもう一つ理由がある。

 国王からそれとなーく、政略結婚が嫌なら、早めに婚約者自分で探しておいてねってお手紙が着たのだ。

 これは、マイン兄にも同じ内容の手紙が届いているようで、パートナーなしで参加している姿を見かけた。


 マイン兄は入学早々、王族であることがバレてしまっている。

 すぐさま、公爵侯爵家の令嬢たちがこぞって婚約者候補に名乗り出た。

 いや、自分から名乗るとか恥なのに、何やってんだろうね、令嬢たち。

 まだマイン兄は、誰も選んでいないようだけれど、兄の周りにいる令嬢たちは全部アウトだなぁ。

 彼女たちのステータスを見れば、はっきりとわかる。

 スキルに他人を蹴落とすものがいくつも見える。もちろんグレー表示。

 そのくせ、王妃になれるようなスキルが見当たらない。

 その辺はマイン兄にもわかっているようで適切にあしらっている。きっちりしっかりはっきりと。



 入学して半年過ぎたあたりの夜会で、ありえない光景に出くわした。

 マイン兄が一人の令嬢を選んでエスコートし始めたのだ。

 いつも周りにいる令嬢たちではなく、その令嬢たちの集団に押されて転んでしまった女子らしい。

 そっと助け起こした途端、マイン兄は恋に落ちたかのようにエスコートしだしたのだ。


 マイン兄が一目惚れとか、信じられない!

 エスコートしている令嬢をチェックしてみた。

 ピンクゴールドの髪に紫色の瞳、唇はぷるぷるしていて、美少女という言葉が似合う。

 令嬢の名前は、ラフィリア。職業:クラディアス伯爵家養女。スキル:魅了(隠蔽)持ちのようだ。


 魅了持ち…マイン兄は魅了にかかってしまったということか。

 次期国王、次期王太子だというのに……。


 悲鳴のような声をあげていた近くの令嬢たちが、口々にラフィリア嬢のことを話し出した。

 普段からラフィリア嬢は、自分の周りに複数の男を侍らせているらしい。

 周りの男たちから貢物をたくさんもらって、着飾っているのだとか。

 もともと平民だったのだけれど、血縁でもないクラディアス伯爵家に養女になれて運がよかったと言っているとか。

 ほとんど悪口だけれども、有力な情報ともいえる。

 ラフィリア嬢はガンガン周りを魅了しまくって、今の地位についたってことかな。


 アレは、マズイ。


 このままだと、母の二の舞になるんじゃないか。

 ボクの母は公爵家令嬢だったけど、魅了持ちでもあったからね。

 できれば、マイン兄が本気で好きになった人と結婚して、次期国王になっていただきたい。

 っていうか、あのラフィリア嬢が義姉になるとか、絶対嫌だ!!

 断固阻止せねば!



 この日の夜会は、程なくして終了した。

 マイン兄は魅了にかかったまま、ラフィリア嬢をエスコートし続けた。

 ダンスまで一緒に踊ってた……。


 翌日から、マイン兄がラフィリア嬢を選んだと大騒ぎになった。

 どこへ行っても、ラフィリア嬢が付いて回り、マイン兄は断れずに一緒にいるようだ。

 この話は王宮まで飛んでいき、後継者争いの火に油を注いだ。




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