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01.生まれ変わるとかどこのラノベですか

腐ったものはありませんが、TSが苦手な方はご遠慮ください。

時々残酷な表現や汚い口調があります。

恋愛分類ですが、甘さは控えめです。


拙い文章ですが、楽しんでもらえたら~。

よろしくお願いします!

「うわぁ!」


 ある日、庭を歩いていたら何もない場所で転んでグゴッという謎の音とともに頭を打った。


「ジルクス殿下!」


 普通だったら、痛いのと驚いたのとで大泣きするのだけれど、その時は何も言わずに頭を抱えてうずくまった。


 頭の中で何かが弾けてあふれ出す感覚があり、今まで考えたこともなかった記憶や出来事が頭の中を駆けていく。


 ガスバーナー、三脚、金網、三角フラスコ、メスシリンダー、元素記号、硫黄、混合溶液、実験室……。

 見慣れない、でも記憶にあるモノ、この世界にはないモノ。


 しばらくたつとコレが生まれ変わる前の記憶なのだとすんなりと理解した。


「ジルクス殿下! 大丈夫ですか!」

「すぐに治癒術師を呼んで!」


 ボクの周りでメイドや近衛騎士たちが声を掛けてきたが答えられなかった。


 あーもうムリ。


 許容量を超えたところでぷつりと意識が途絶えた。



 気が付いたら、ベッドの上だった。朦朧とした意識の中で、生まれる前の記憶を思い出していた。


 生まれる前……そう、前世での記憶。

 日本の首都から少し外れたベッドタウンにある公立高校の実習助手として働いていた。誕生日を過ぎたばかりで、たしか27歳だったかな。結婚間近な恋人がいて、式場もウェディングドレスも決めて、いつ籍入れようかなんて話してたっけ……。


 それが壊れたのは、科学部の顧問として実験を見ていた時だ。

 学生が突然暴挙に出て、加熱中のビーカーにいろんな薬品を混ぜ込んだ途端、爆発したのだ。その爆発もすごかったけど、その後に発生したガスを吸い込んじゃって苦しんで……そっか、死んだんだ。


 肺が焼き切れて口からたくさん血が流れて熱くて痛くて……そんな記憶が流れれば誰だって高熱くらい出るだろう。


 朦朧としながらも前世の記憶を把握し、落ち着いたと思ったら、今度は生まれてからの記憶が流れた。


 生まれてからの……今生での記憶。

ここはセリーヌ王国で自分は第二王子ジルクス、5歳になったばかりだ。2つ年上の第一王子は平民出の側室の子で、自分は公爵令嬢だった正妃の子だ。

 毎日、母から『第一王子には下賎の血が流れている』『次期国王はジルクス』などと言われ、それを信じ、次期国王なのだから何をやっても許される!とばかりに好き放題わがまま放題の日々を送ってきた。


 いやいや……ナニコレ、生まれ変わってからの記憶ってば突っ込み放題なんだけど。


 まずは……男に生まれ変わったっていうこと?

 確かに生前は『一緒にトイレに行く女の心理がさっぱりわからなくて面倒くさいし、毎月くる生理現象は痛いし辛いし、出産は痛そうだし、家事よりも仕事してた方が性に合ってるし、生まれ変わるなら男になりたい』って思ってたけど!思ってたけどさ?

 いざ男になったら、見慣れぬモノがついているわけで。

生まれ変わったわけだし見慣れぬものについては慣れるとしよう……。


 次に第二王子?王子!?平民とか貴族じゃなくて王族!?って、平民腹の第一王子がいる状態での第二王子とか、面倒くさい立場……。このままいったら、第一王子と王位継承権争いとか始まっちゃうわけ?

 しかも毎日、この世界での母から言われている言葉って呪いの言葉と変わらないし!

 もし、第一王子が腑抜けであれば、自分が次期国王っていうのは納得だけれど、記憶の中にないから判断しようがない。


 最後に好き放題わがまま放題……振り返れば5年とはいえ、ひどい日々だ。

 何をしても許されると思って、5歳なのに威張り放題、メイドや近衛騎士だけではなく重臣たちにまでひどい発言をしていたし、気に入らなければクビにしていたようだ。

 これは、すぐにでも改めよう……今ならまだ間に合うはず!


 そうして一週間かけて、27年分の日本人女性としての記憶と5年分の王国王子としての記憶が混ざり合い落ち着いた。




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