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契約の天使  作者: 銀町要
4/6

可愛い後輩にどうかご加護を

「ここはどこだ…」

見慣れない部屋の見慣れない天井が見える。

俺はメタトロンとの勝負を終え、姫宮解放は叶わなかったが、一応天使になる事ができた。

それからどうなった…?あれは夢だったのか…?

頭の中に沢山の疑問符を浮かべながら、俺はさりげなく寝返りをうつ。すると、

ッッ!

「何やってんだ姫宮…」

姫宮が俺の隣で寝ていた。

しかも全裸で…

「んぁ…起きたのね…おはよう初川君」

「起きたのねじゃねえよ…隣で寝ている事は置いといて、お前なんで全裸なんだよ…」

「なんでって…裸じゃないと寝られない人って結構いるのよ」

「それでもな…隣に男がいるんだぞ」

すると姫宮は、小悪魔のような笑みを浮かべて見てくる。

「………もしかして、初川君、私の裸見て…その、興奮しちゃった?」

「…お前の貧乳見ても興奮しねえよ」

「ッ!初川君は貧乳はステータスって言葉を知らないのかしら?」

「知ってるけど、それはロリが貧乳だった場合だろ。なんでも合うモンと合わないモンがあんだよ」

「……………がいるのなら」

「え?」

「巨乳ロリがいるのなら…貧乳お姉さまがいてもいいじゃない!」

ッ!なんと傲慢な理論…確かにそうだけども、俺の言いたい事は少し違う…

「まあいい、それよりここは何処なんだ?」

「ここは私の家。貴方はあの後、足から大量に血が出て気を失ったの。だから人間界に戻って来た、だけど貴方の家がどこか分からなくてね」

「ああ、分かった……あれ?」

足を見ると、傷の跡なんて一つも無かった。

「俺の傷、お前が治してくれたのか?」

すると姫宮は、少し戸惑いながらも、口を開く。

「ええ、天使は少し時間をかければどんな傷でも治す事が出来るからね」

「どんな傷でもか…凄いな天使。となると、俺も使えた方がいいよな。やり方を教えてくれよ」

「………それは私には言えないわね」

「なんでだよ?別に減るモンじゃねえしいいだろ?」

「……分かったわ。でも変に思わないでね、ただの治療法なのだから」

「…?」

「舐めるの。ゆっくり、唾液を垂らして。その傷の箇所を舐め続けるの。そうすれば傷の大きさにもよるけど大体は30分くらいで完治するわ」

ッッ!

「つまりお前は、俺が寝ている間に、俺の足を30分にも渡って舐め続けたのか?」

「いいえ、貴方は傷が大きかったから40分よ」

………ゴクリ。

俺は何気なく、あくまで何気なく、自分の足を何度もさすってみる。

てか、天界での事があってから、姫宮からの対応が柔らかくなっている気がするな。


◇◆◇◆◇


「おはようございます、初川先輩!」

校門前、愛莉が俺を見つけるなり、元気な声で挨拶をしてくれる。

やっぱり可愛い。あざとかろうと、可愛いものは可愛いのだ。

そう思って見ていると、突然、愛莉が邪険な目で俺の横に視線を移す。

嫌な予感がするな…

横を向くと、やはり、姫宮も愛莉を睨みつけている。

やがて、愛莉の目線が俺へと変わり、

「どうして姫宮先輩と初川先輩が一緒に登校しているんですか?」

うーん…返答に困るな………

その様子を見た姫宮は不自然な胸を張って言う。

「私と、い、壱夫は付き合っているのよ」

「ちょ…違…」

俺が否定しようとすると、姫宮は俺の耳元で囁く。

「しっ。これが一番安全でしょ」

そうなのか?いやいや違うだろ…

「いや、もっとマシな言い訳があるだろ」

今度は俺が姫宮の耳元で囁く。

すると、姫宮も少し怒りながら囁く。

「マシってなによ!じゃあ代わりに言い訳を考えなさいな」

……思いつかないな。でも流石に姫宮彼女設定はまずい…

愛莉だけが俺をシカトしない唯一の女子だからな…

俺がそう思い返していると、横から大きな声が聞こえてくる。

「うるさい!」

愛莉だ…

目に涙を浮かべ、震えながら怒っている。

そんな愛莉を見て、俺だけでなく、姫宮までもがしゅんと静かになる。

「姫宮先輩…前の一件から初川先輩をこっ酷くいじめていると聞きました。だから、私だけでも初川先輩の支えになろうと、頑張ってたのに…その姫宮先輩が初川先輩と付き合っているなんて…そんなの……」

俺は出す言葉をとても迷っている。何せ出す言葉次第で今後の未来が変わるかも知れないのだからな。

姫宮も迷っているのか、2人共沈黙が続く。

暫くして、愛莉はキッと姫宮の方を向く。

「姫宮先輩…いや、シリコンパッドの偽りの胸ッ、貧乳先輩ッ」

登校する生徒達の真ん中でタブーを言い放った愛莉は、更に続けてこう言う。

「初川先輩を…誰にも渡さないで下さい!」

ッ!

「待ってく…」

しかしそんな俺の声は届かず、愛莉は玄関へと行ってしまった。

残された俺達は周りの視線をモロに浴びている。そして、周りの声もよく聞こえる。

「貧乳…?」

「シリコンパッド…?」

「そう言えば前から不自然だと…」

デジャヴだ…まずい…この展開は非常にまずいぞ…

別に姫宮の心配は1ミリもしていない…しかしこのままでは…

愛莉がいじめの標的になってしまう!

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