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彼女と林檎

作者: 椎名坂 響

主人公の青年と、その青年の彼女が林檎、紅を軸として、ゆったりとしたイチャイチャをする話です。早いテンポが好きな人は嫌かも知れませんが、ゆったりが好きな人は好きかもです!

主人公は、ピュアな草食系で、彼女は、クールな感じの少し肉食系です。


清潔感ある白い部屋。

ベッドから上体を起こした僕は彼女を眺める。彼女はベッドの隣にある木製の椅子に腰掛け、丁寧に林檎の皮を剥いている。

つらつらと流れ落ちるそれは、彼女の膝の上でくるくると踊る。

「この林檎の皮が剥け切ったら、あなたはどうなってしまうのかしら。」

彼女は美術品のように整った顔に嗜虐的な笑みを浮かべる。くるくると踊っていた紅いバレリーナがとろとろ滴り落ちる血に変わる。

「僕はその林檎を食べるだろうね。」

彼女は面白くなさそうに、けれど少し哀しげに目を伏せるだけで何も言わない。静寂が再び部屋を満たし、紅かった林檎はその半分以上が白に変わっている。

「私がそばにいる時にしてね。」

少し続いた静寂を破り、彼女が零す。切なさを堪えたような笑顔が僕の胸をキュッとした。林檎はどんどん白くなっていく。彼女の膝に絡まった紅い紐が重なっていく。

僕は、胸の痛みに耐え切れずに言ってしまう。少し翳りを見せる、美術品のように美しい彼女へ。その翳りを取り除きたいがために言ってしまう。

「はぁ。僕は右手骨折だ。全治一ヶ月の。」

同時に彼女の膝の上に、最後の紅が落ちる。

ここで彼女の茶番は終わりである。この白い部屋においては、全くの冗談とも言えない悪質な茶番は僕のネタばらしにおいて幕を引く。しかし、彼女は特に残念がる様子もなく、平然と、僕の左手の薬指に、林檎の皮を巻く。しっとりとした触感は、瑞々しさを感じさせる。

「最後の葉で死ぬよりも、私的には、最後の葉で始まる方が面白いと思うの。あなたは?」

僕は、思いがけない彼女の言葉に、顔を赤くする。

「り、林檎の皮は葉じゃないぞ。」

「えぇ知ってるわ。けれど、私、運命の紅い糸とかって信じちゃうタイプだから。」

その綺麗すぎる、美術品のような顔を僅かに赤く染め、言う。

そして、僕は、うんとか、あぁとかそんなはっきりしない返事を返す。

その顔を林檎のように赤くして。

この作品の主人公とヒロインで普通の学園モノ(ふたりが出会う当初)的な小説を書こうと思っているんですが、どうでしょうか?

この作品の評価、コメントも待ってます。

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