あめがふれば
もし、あんなことがなかったら、
「あめ」と、会わなかったのかもしれない。
わたしは小さい頃、お母さんとはぐれた。
ここは知らない場所…しかも雨が降っていて、誰もいない。
とても泣きたくなった。
すると、
「ワンワン!」
という犬の鳴き声がした。
わたしが振り向くと、そこに、大きな犬がいた。
その犬が、わたしのところに駆け寄ってきた。
その犬は、首輪がついていないから、
捨て犬らしい。
その犬は、わたしの頬をペロペロ舐めている。
わたしはその犬を、「あめ」と名付けた。
名前の由来は、雨の日に出会ったから。
わたしは、お母さんが来るまで、「あめ」と一緒に遊んだ。
すっごく楽しかった。
すると、わたしを呼ぶ声がした。
振り向くと、お母さんがいた。
わたしは「あめ」に、
「また遊ぼう」
と言い、手を振った。
「あめ」は、とても嬉しそうに
「ワン!」
と、鳴いた。
それが、「あめ」と最初に出会った日だった。
10年後、わたしは高校生になり、
ある日、雨の中を一人で歩いていた。
すると、
「ワンワン!」
という犬の鳴き声が聞こえた。
わたしが振り向くと、昔会った時より、一回り大きくなった「あめ」がいた。
わたしは涙がこぼれた。
「あめ」はわたしのところに駆け寄ってきて、
あのときのように、わたしの頬をペロペロ舐めていた。
わたしには、「あめ」がわたしに、
「おかえり、待っていたよ」
と、言っている様だった。
初めまして、みはねと申します。
「あめがふれば」を読んでいただき、ありがとうございます。
初めて書いた作品で、まだまだ未熟な作品ですが、
温かい目で見ていただけると幸いです。