第三話 悠斗視点
看護師の人からもうすぐお友達が来ると連絡があり美佐ちゃん達を
迎えに行ってあげてと言われ奏の室前で待つことにした
5分くらいすると美佐達が病室前まで来た
「どうせ来るんだったら一緒に来ればよかったのに」
「悪かったな」
「それよりさ奏ちゃんに会えるって本当?
なんか奏ちゃんのお姉さん?についてきたけど」
どうやら詳しい話は聞いてないようだが話して分かることじゃないから仕方がない
「まあお前らも会えばわかる事だ」
「もしかしてもう奏君にあった?」
「ああ・・・俺は先に奏に会わせて貰った」
「ちょっ!なんで悠斗だけ先に会ってんのよ!ずるいぞ~!」
「あいつのご要望に答えただけだ」
「もお~!せっかくみんなと感動のご対面~ってしたかったのに~!」
「・・・奏君は容態は?」
「安心しろ龍二、少なくとも余命数年とか病気を患っていることもなく健康児だ」
「そっか・・・それなら安心した」
「私は正直言うとなんか障害があったのじゃないのか心配してたんだ~
織江さんもはっきり言ってくればよかったのに」
「いや・・・実際見てくれたほうが早いし言っても理解できないだろう」
言っても信じることなんてまず無理だからな
「どゆこと?」
「だから会えばわかる」
「よ~し・・・では!1、2の3で開けようぜ☆」
美佐はドアに手を掛けて予告通りに3でドアを開けた
「奏ちゃん~!!おひ・・・さ・・?」
「あれ・・・奏君?」
「・・・久しぶりだね美佐ちゃん、龍二さん」
2人とも放心して次の言葉が見つからないようだ
「どうした?感動の再会だぞ?」ニヤニヤ
「え、いやごめん意味わかんない」
「感動の再会って・・・いや・・・でも」
龍二は俺の言った感動の再会の意味が分かったが
目の前の現実が理解できないのかこの人だれ?って感じになっていが
そろそろネタばらししたほうがいいな
「悪いな奏、試すようなことして」
「悠君って相変わらず意地悪だね、試したこと根に持ってるの?」
「いやこいつらがどういう反応するか見たかっただけだ」
「そういうところが意地悪っていってるんだよ」
「二人にちゃんと説明しないから困惑してるじゃない」
「もうちっと面白い反応してくれると思ったのに残念だ」
目が点になって言葉もでないが徐々に冷静になっていき
「あれ?なにこれ?どゆこと?」
「・・・悠斗、一から全部説明してくれないか?」
「それは僕から説明するよ・・・あの事故の後のことも全部ね」
奏はあの日の事故で重傷を負い、臓器に損傷が激しかったため
通常の処置では助かる確率はほぼゼロだと判断されたが
そこに奏に治療したい人物が現れてとその人物は海外から日本にやってきた
医者らしく変わり者して有名になっている医者が
一種の再生医療を試みて見事成功したようだ
なんでも医者は偶然その月乃澤市に来ていてこの東奥病院で
新薬の発表を行うため来ていたが奏のことを聞きつけ手術に至ったようだ
確率は極めて低かったらしいが一つだけ誤算がありそれは細胞作用に変異だった
それは医学界から見たら急激な変化で本人にもかなり困惑していたようで
半年ほど過ぎたころには体は女になっていたらしい
徐々に身長も縮んで、体つきも女になっていき男性器は数週間後には
正しく機能してなかったらしく変わりに人工子宮を埋め込んだ結果
臓器が身体に適応して生理とかもちゃんとくるらしい
拒絶反応による癌化するの可能性があるため専用の施設で過ごしていたようだ
体に不自由はなかったため施設では子供や動物と触れ合ったりや本を読んだり
自分で料理をしたりと寝たきりの生活ではなかったようだ
簡単に説明すれば手術で命は助かったがなぜか女になったことだ
―――
――
―
「ええ~とつまり奏ちゃんは事故で死に掛けたけどそのなんとか治療っておかげで
怪我は治ったけどそのかわりに女の子になったってこと?」
「うん」
美佐も龍二も現実を受け容れられないような顔しているが
まあ友達が性転換したら冗談だろうと思うのは当たり前だな
「ちょっといくつか質問していい?」
「うん、いいよ」
「初めて奏ちゃんが作った料理は?」
「え~と・・・オムライスだったよね」
「初めて四人で見た映画は?」
「確かハニーポッパー」
「私が書いた自作漫画のタイトルは?」
「たしか・・・タヌキの大戦争・・・だっけ?」
「・・・当たってる」
あの漫画かなり前衛的というか・・・俺にはどこが面白いのかわからなかった
「じゃあ僕の趣味は」
「ボトルシップで勝手に触ったらものすごく怒る」
「当たっているな」
「私一回だけ壊しちゃったら1週間口きいていてもらえなかったからね」
「あの時の龍二は扱いがめんどくさかったな」
「なんで二人とも言いたい放題だろう」
しばらくその場が静かになって
「・・・本当に奏ちゃんなんだね」
「うん・・・久しぶりだね、美佐ちゃん、龍二さん」
「本当に久しぶりだね奏君・・・いや、今は奏ちゃんって呼んだほうがいいかな?」
「どうだろうね、龍二さんに任せるよ」
「そっか・・・じゃあこれからは奏ちゃんって呼ぶよ」
「うん、わかった」
「しっかしこんなこと言うのはどうかと思うけど奏ちゃん可愛すぎてやばい」
「うん・・・奏ちゃんの面影はあるけどすごく可愛らしいね」
「あはは・・褒められると何だか照れるね///」
「私が男でこの場で二人っきりだったら押し倒してるね絶対」
「女性同士でも場合によっては犯罪になるからやめなよ」
美佐が奏に近づいて色んなところを触っていく
「うわ~髪さらっさらだしそしてこの大迫力のおっぱいがたゆんたゆんに」
「ふぁ!///ちょ、ちょっと美佐ちゃんくすぐったいよ~///」
「やべえ・・・これはやばいぜぇ~・・・」ハァハァ
「美佐、セクハラするのをやめなさい」
「ええ~いいじゃんかぁ」
「よくないから」グイ
「彼氏が女に嫉妬した~」ズサ~
・・・EかFだなきっと
「悠君、さっきから目つきがちょっとHだよ」
ばれてたか・・・だって揺れると気にならない?男だった気になるよね?
「悠斗は巨乳好きだもんね♪」
「・・・龍二おまえの彼女だろ、黙らせろ」
「美佐は言っても聞かない人だから」
思わずため息がつきたくなったが美佐が昔からこんな感じふざけ合う仲で
俺があれこれ言っても言うこと聞かない奴なのは知ってるから
「あれ・・・え!ちょっとまって!?・・・今彼氏彼女って」
「ああ~そういえば言ってなかったね」
「僕たち2年ほど前から付き合い始めたんだよ」
「そうなんだ~!おめでとう美佐ちゃん、龍二さん」
「そうだよ~リア中なんだぜ~あたし達は」
龍二と美佐が付き合い始めたのは龍二が中学を卒業したころだった
いきなり「僕たち付き合い始めた」と言って来たときは驚いたが
龍二が美佐のことが好きだったのを知っている俺としては素直に祝福した
学園でも龍二と美佐が付き合い始めたのは驚いたらしく
美佐も元気で気さくの所に他の男子生徒も惚れ込んでいたらしくい
はたまた龍二も物腰がやわらかくて統治会の仲でも女性に人気だったため
月乃澤じゃあちょっとした有名なカップルとして知られている
「じゃあ悠斗君は?やっぱり彼女持ちかな?」
「ああ~・・・いや・・・一度だけですぐに別れた。こいつらみたいに長くは続かねぇよ」
「そうなんだ・・でも悠斗君のことだしすぐに彼女とかできそうな感じするなぁ」
「ええっと・・・どうだろうなぁ~・・・悠斗ってこの通り無愛想だからだからねぇ」
「無愛想は余計だ」
「・・・」
龍二、今はふざけ合う時でそんな顔するなよ意外と奏は鋭いところがある奴だから
「そういえば奏ちゃんも月乃澤に来るんだよね!
いや~学園に美少女転校生なんて漫画みたいだね」
「美少女って、僕は元男だし誰かと付き合うだ
なんて今はそんなこと考えてないよ」
「男なんてほぼ見た目で決めるようなもんだし奏ちゃんの下駄箱が
ラブレターでいっぱいなのが目に浮かぶよ」
「今時ラブレター書く人なんているのかな?第一知らない人からラブレターとかもらって
交際しようとする人なんているの?断るなんて目に見えていることだと思うが」
「男は1%でも確率があるならそれに賭けてみるようなもんだよ」
あながち間違っていないのが怖いなあと美佐には言ってないが龍二はラブレターで
呼び出そうとしたが恥ずかしかったためメールしたんだが
あの時の龍二は本気だったから言えなかったがラブレターを作るのに
徹夜だなんてちょっと根を詰め込み過ぎじゃないかってツッコミたかった
「でも奏ちゃんも気を付けた方がいいよ~月乃澤にも不良とかいて
目に付けられることもありそうだから」
「たとえそうなっても・・・出来れば話し合いで解決したいなぁ」
そういう意味じゃあ逆効果だと思うな俺は
「でも大丈夫!!ここにいる赤坂悠斗は月乃澤の番長でもあられるお方ですから!」
「おい!余計なことを言うな!」
「え・・・番長ってなに?もしかして悠君って不良なっちゃったの?」
「違うこいつが面白おかしく言い換えているだけで俺は別に番長でも不良でもない
それにあいつ等が俺のあれこれ因縁つけて殴りかかってきから
返り討ちにしただけだ」
「でも喧嘩してたらトップになったのは事実だよ」
そう、俺は月乃澤で何かと因縁付けてきた不良を返り討ちにしていたら
月乃澤の番長的地位に成り上がっていた(あと学校外の不良にも喧嘩売られた)
統治会の番犬や月乃澤の悪魔などいろんな2つ名をつけてきて
ヤクザの次期組長や不良を1000人叩きのめしたと根も葉もない噂をたてられ
俺も統治会の仲ある意味有名人になってしまった
その為生徒会や風紀委員にも目を付けられてしまい困っていたところ統治会の会長に
いろいろと世話になって生徒会の会長と統治会の会長はプライベートでも仲がよく
直接話し合った結果統治会に所属してある仕事をしてほしいと頼まれて
ある程度の小事は不問にしてくれた
「じゃあ悠斗君は自分から番長になったわけじゃないんだね?」
「当たり前だ、あと番長って言うのもやめてくれ
なりたくてなったわけでもないし生徒会や風紀委員にも目を付けられていい迷惑だ」
「クラスだけじゃなく学園全体で浮いてるからねぇ」
「一時期は僕たちが脅されているなんて噂もあったけどそれは僕たちが否定したよ」
「そっか・・・でも悠君にさっき抱きついたらすごく鍛えてるもわかったし」
「「・・・ん?」」
「それに身長もだいぶ伸びたよね今身長いくつ?」
「182だ」
「へぇ~、ちょっと立ってみて」
お互いに立ってみると十数cm違うがわかった、頭1つ分くらいの差があるよな
「僕は158だからこうして見ると悠君ってかなり大きくなったよね」
「お前は昔から小さかっただろ」
「これでもちょっとは背は伸びたと思うだけどやっぱり悠君が大きくなったんだよ」
「わかったなら離れてくれると助かる」
胸があたって顔が近いからドキドキするしなんかいい香りがするから余計に緊張する
「ご、ごめん///」
「・・・なにこのラブコメ臭は、もしかしてあたし達ってお邪魔だった?」
「それに抱きついたって、悠斗は奏ちゃんになにしてたんだよ」
「こいつがいきなり抱きついてきただけのことだ」
「なにそれ!!超役得じゃんか、駄目だよ奏ちゃん!
悠斗は見た目通りの狼なんだからね!押し倒されるから」
「失礼な奴だな俺はそんなことはしないし押し倒したりなんか・・・・・・しないぞ?」
「今の間は肯定してるようなものだよ」
「その内飢えた狼が奏ちゃんを性的に・・・」
―――
――
―
「いいだろ別に本当は押した倒してもらいたいんだろう?こんな風にさ!」
「きゃあ!!悠君・・・駄目だよ・・・こんなこと///」
「口で言えないなら身体で聞くしかないよなぁ・・・くっははは!!
いやらしい身体をしている奏がいけないだよ!!!」
「やっ!ちょっと///本当に駄目だよ//声が抑え・・・んあぁ!///」
「いい声だ、興奮してきただろう?ほら、これがいい証拠だ」
「や、やだぁ・・・だめ・・・だよぉ///」
「嗜虐性がうずいてくなぁ・・・はは!!イジメ甲斐があるよなぁ奏ちゃんよぁ!!
「やぁ・・・悠君の手つきが、あぁ!・・・いやらしくて僕・・・このままじゃあ
おかしくなっちゃうよぉ///」
「いいんだよおかしくなっても、一緒に気持ちよくなろうぜ」
「そ、そんなこと・・・耳元で言われたら、僕・・・私・・・!!」
―――
――
―
「こんな感じになっちゃうよ!!それでもいいの!?」
「???」
意味がよくわからなかったのか首を傾げて美佐のほうをじっと見つめ
「やめて!そんなピュアな視線で私を見ないでぇ!」
汚れた心は純粋な視線に耐えられなかったようだ
「それより何処でそんなこと覚えた?」
「ハスから貸してもらったAVで」
「・・・なんかだか複雑な気持ちになってきた」
「今時女だってAV見たりするよ」
「僕たちはまだ未成年だしせめて雑誌で留めてほしいな」
確かに今時ネットでサンプル動画や動画サイトでAVが観れる世の中になったから
女でも興味本位で観る人は結構いるだろうな
美佐も自分のパソコンを持っているからそれで見てるんだろう
ファッション雑誌でもエロ関係の記事が山ほどあるから
彼氏が彼女に観ないでと言うのは男の立場からして言えないのが現状だろう。
というか奏は全然理解してない顔をしてるぞ
さっきの美佐が言ってることがエロいことだと気づいてないなきっと
昔からそっち関係は無頓着で知ろうともしなかったから
今時の学生にしてはかなりの純情な奴だ
「もうすぐ日が暮れるしそろそろ帰るぞ」
「もうちょっとだけいいでしょ~」
「織江さんの車で帰るんだからしかないよ」
美佐として今日は一緒に居たいと思っているんだろう
「じゃあ携帯のアドレス教えてやればいいだろう」
「・・・目から鱗だ」
こいつのことだから真っ先教えそうだったが今まで素で忘れたな
「奏ちゃんって今携帯持ってる?」
「うん持ってるよ、ぜんぜん使う機会がなかったから持ってるだけだったんだ」
「じゃあ・・・はい、これがあたしのアドレスだよ」
「じゃあ僕も」
「悠斗は?」
「俺はもう教えてあるから」
美佐達迎えに行く前に俺の連絡先を教えるためアドレス交換をしたんだが
初めて男の子のアドレスだなぁって言ってたのは内緒にしておこう
「また悠斗だけ~!ず~る~い~!」
「なにがずるいんだ意味わからん」
「もう~二人とも喧嘩しないの」
こうして4人が集まって話すのは俺としては嬉しかったが
同時に複雑な気持ちになった
奏、お前がいない間にいろんなことがあったがそれはいつか俺自身の口から
伝えなければならないことだが奏ならどんな反応するんだろうな