第二話 悠斗視点
「奏に聞きたいことが山ほどあるんだがまずは目先のことから聞いていいか?」
「うん、何でも聞いて」
奏の話を聞くと学園の入学についてだがこれは間違いないが
神崎織江も教師として学園にくるようだ
次に学園の扱いだがまず男だったことは隠していくようだが
本人としては隠さなくてもいいと思っているが奏の家のこともあり
この方法のが一番良いと言って奏もあの家にはできるだけ
迷惑はかけたくないらしいが俺自身あの家のことは嫌いだ
そして神崎織江についてだが彼女は奏の義姉になっているが
奏が事故が起きた2週間後に彼女とその両親が奏を養子に迎え入れたいと頼んだが
奏は警戒して少しだけ神崎家のことを自分で見極めたいと宣言して
2年ほど付き合いがあって奏は神崎の家を信頼し養子となった
特に神崎織江は奏にとても優しく、時には甘えてきて
奏は本当の姉のように思えてきたそうだ。
・・・神崎織江の正体はかなり確定してきたが彼女の本心は
今のところは不明だが奏も神崎さんがどのような人物なの薄々気づいているようだが
あの優しさは演技ではないと思っているようだ。
そして最後にあの事故の直後について聞こうとしたがそれは少しだけ
待ってほしい言われたからこれは後回しにして学園についてだが
奏は俺より1つ下だからそうなるといろいろ心配なってきた
人見知りな性格だったが奏は昔とは違ってちゃんと成長してるよって言っているが余計心配だ
「クラスでちゃんとやっていけるのか?」
「正直に言えば不安だけど私のサポートをしてくれる人がいるんだけど
なんでもその子は僕と同じクラスで統治会?副会長なんだって」
副会長っていえば冬香か?なかなか笑った顔を見せない奴だったが
あの冷静さは大体のことは対処できるはずだ
「悠君も統治会も所属してるって聞いたけど統治会ってどんな活動なの?」
「学園の生徒会の双極って言われるくらい立場の強いとこだがやってることは
生徒の相談でぶっちゃけ学園の何でも屋だ。」
俺たちの通っている月乃澤学園・・・偏差値はそこそこ高くが進学校ではない
教育より社会教育が重視されており教師はほぼ教育のみに特化されて
その他は生徒間で賄うため学食、学園行事の立案企画・実行運営の生徒内で決められ個性や自治性をなどを育むことを重視されているが学生同士の問題点もある
生徒数は2000人にも及ぶらしく月乃澤市でもっとも多い生徒数で学園としても有名だ
「俺は今の会長にいろいろ世話になったからな」
「いろいろ世話になったって?」
「言葉で説明すると面倒だな・・・まあ学園に入ればわかることだ」
「そっか~ちょっと楽しみだよ」
「早めに学園に慣れておけよ、月乃澤はちょっと特殊だからな」
「特殊?パンフレットを見たけど大きい学園だなぁって思ったけど」
「必須科目以外は好きに授業を組み込めるってところとあと部活や委員会は強制で
必ず一つは所属しなきゃいけないからそこは注意だな」
逆に複数の委員会にも入ってもいいが一定の数活動しなかったら自動的に
退部扱いになるから多くの生徒は基本的に1つの部活に1つの委員会に
所属している形だが中には2、3の部活のに入っている奴もいるようだ
今日はこれくらいでいいだろう・・・話し込んだらいろいろ墓穴とか掘りそうでかなわん
「ねぇ悠君」
「なんだ?」
「学園じゃあいろいろ迷惑―――」
「転校生が周りに迷惑するのは当然ことで仕方のないことだし
絶対に避けては通れない道だ」
「うん・・・」
「俺も美佐も龍二もいるんだ、安心しろ」
「そうだね、ありがとう悠君」
「それより美佐と龍二には知らせなくていいのか?」
「二人にはお姉ちゃんが迎えにに来るように伝えているしこれから会うように予定だよ」
彼女が言っていた別件ってのはこれのことか・・・わざわざ面倒な真似をする人だな
「正直に言うと自信がなかったんだ、昨日だって悠斗君が来てくれるかもって思うより
僕のことを忘れているんじゃないのかな不安で不安で仕方がなかった」
「友達のことを忘れるほど薄情な奴じゃねえぞ?」
「悠君が拒絶でもしたらもしかしたら美佐ちゃんも龍二さんも
拒絶されるかもって思ってちゃってね」
「だからまず俺を呼んだってことか」
「悠君を試すような形で呼び出してごめんなさい」
「いや・・・流石にこの状況ではお前の判断はは正しいと俺は思う
いくらなんでもこの反応は予測不可能だし今だって
正直全部信じきってるといえば嘘になる」
「うう、正直だね」
「俺は自分で思ったことをハッキリ言っているだけだ」
「その言葉が相手に傷つくようなことであっても?」
「その相手によるかもな、知らないやつなら適当なこと言うか無視するかだ」
「じゃあ今の僕は?」
「・・・友達だと思ってる奴は別だ。なんかあったら解決するまで付き合うだけだ」
「ふふ、そっか」
「そうだ」
「悠君も変わってないなくてよかったよ」
「・・・そう、か?」
「優しくて、強くて、僕の憧れていたままだよ」
奏はそう言ってくれたが本当には違う
俺はかなり変わった、いや、変わってしまったか・・・
そう考えるとどうにも気持ちが沈んでしまう
今の昔の俺はまるで違うと奏が言ってしまったら俺はどう思うんだろう?
「・・・悠君」
優しく俺の名前を呼んで、そして優しく頭を撫でてきた
「かな・・で?」
「そんな辛そうな顔しないで・・・ね?君が僕を受け入れてくれたように
僕も君を受け入れるから、どんなことがあっても僕は君を信じているから」
何かを悟ったような感じでそれを少しでも和らげていくために優しい言葉をかけてくる
いい子いい子と優しく頭を撫でてくれる奏を見ることはできなかった
子供扱いするなとか恥ずかしいと気持ちより心が安らいでいく感じだ
奏も・・・変わった感じがする
こんなにも包容力なんかあったか?昔はちょっと臆病で人見知りなやつで落ち込んだりしたら励ましてくれたことがあったが少なくても頭を撫でるなんてしなかったのに
この変化も慣れていく・・・のか?