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第二十一話 奏視点

「毎年盛り上がっているね~この運動会は」

「レクリエーションなんですが…まぁあまり大差はありませんが」

「僕は結局全然活躍できなかったよ」

「あはは、玉入れで一回しか入らなかったからね

 まぁ奏ちゃんが気にすることないんじゃないかな?」

お昼は40分ほど休憩が入ってその間は食堂で昼食をすることに

「リレーはあまり活躍できませんでした」

「途中でバトンを落とした人とかいたけど今年は結構接戦だったよね」

「うん、最後は1秒くらいの差だったから前回に比べると接戦だった」

「俺なんか玉入れの籠を邪魔する役だったがほとんど奴が俺にブン投げてきたのが

 許せなかった! 美少女がぶつけてくれたらご褒美だったのに!」

「あのボールって硬いからぶつけてきたら痛いだけですよ?」

「いや…その…そんな心配そうな目で見ないで奏ちゃん

 ギャグだからね? 冗談だからね?」

「…奏、これから岡本先輩から20mは離れたほうが身の為ですよ」

「冗談だから! 本気にしなくていいから!」

冬香ちゃんが言ったことはよくわからなかった。蓮次さんは危ない人じゃないし

そんなに離れてたらお話しできなくなっちゃう

「後は借り物競争で最後はあれか…ハスは最後の種目で何かわかったことは?」

「さっぱりわからん!」

「使えねぇ眼鏡キャラだ」

「眼鏡キャラで悪いか! 眼鏡かけてると知的キャラに見えないか?」ドヤァ顔

「「「「「見えない(ません)」」」」

「…この団結力はなんだ? 奏ちゃんは俺のことどう見える!?」

「え? え?」

ち、知的キャラって賢い人ってこと? 蓮次さんって賢いの?

どちらかと言えばムードメーカーって感じがするけど…

「別に遠回しでもいいんだよ? ブサイクとか」

「ああ、遠回しにバカ面とかでもいいぞ」

「それって遠回し? じゃあ…あ、いや、やっぱりいいです」

何かに諦めてしまった表情をしてしまった

励まそうと思ったけど冬香ちゃんにすぐ元気なるから大丈夫ですって言ってくれて

そのまま励ますタイミングを逃してしまって次の話題に入ろうとすると

突然放送の音楽が流れてきた

「あれ? ハス、この時間に放送する予定なんてあった?」

「ん~確かなかった気がするけどな~」

放送の音楽が終わると聞き覚えのある人の声がした

「みな、レクエーションを楽しんでいるか? 私は川神紅葉だ

 少しの間だけこの場を貸してもらうことにした」

か、会長さんが放送? 蓮次さんと美佐ちゃんも驚いてて

この放送について知らなかったようだ

「最後の種目について話すことを忘れていてな、出場者が全員が男だったため

 これでは華がないと思って少しだけルールを追加しようと思った」

追加ルールってまだどんな種目か分からないのに?

「これから2時間後までに自身のパートナーを見つけることだ

 これは男女構わんがハッキリ言って私は女のほうがいいと思うぞ」

周りの人も急なルール変更に戸惑っている様子だ

「はぁ…まためんどくさいことに」

「な~んか雲行きが怪しくなってきたね~♪」

「悠斗、僕はちゃんと応援するぞ」「私も応援だけですが」

パートナーか……悠君は誰にするんだろう?

「以上で説明を終了とする…フフフ、何人たどり着けるか楽しみだ」

最後に不吉なことを言って放送が終わって食堂がさっきの

放送がどういう意味なのか話し合っている

「…最後のとかもう答えだろ」「そうですが…そうなると結構規模になりますね」

「ハス、種目がなんなのかお答えくださいどうぞ!」

「え!? 種目は…あ、あれだよあれ………あれだよ」

「ハス君、それじゃあ答えになってないよ」

悠君と冬香ちゃんはもう答えがわかっているけど僕は全然分からない

「悠君と冬香ちゃんはもう分かったの?」

さっきの放送のヒントなんてあったようだけどさっぱり分からなかった。

しばらく悠君が僕たちの方を見ているけど

「わかったが……まぁこいつを背負っても苦にはならんか」ぼそ

「え? 最後なんて」

「奏、俺のパートナーになってくれ」

…………え? 今パートナーになって…え?

「私は反対です! もしそうなら…羨ましいじゃないですか!!」

「お前は奏が絡むとキャラ崩壊するのな」

なんで2人が言い争うのか全然わからない…美佐ちゃんも蓮次さんも

龍二さんもわかっていない様子だけど

「もしかして最後の種目がわかったの? あたしにも教えて~な~♪」

「…簡単に言えばマラソンですが、あの姉さんが考えることです

 ただのマラソンではないのは確実です」

「予想としては選手がパートナーを背負ってマラソンをするのだと

 考えている、前に会長が読んでた漫画であった内容だ」

「漫画って…もしかして美佐が貸した漫画のこと?」

―――

『3ヵ月前』


「会長さ~ん、前に貸した漫画はどうでした~?」

「この主人公がヒロインを背負ってマラソンするとこが面白かったな」

「あの町内マラソンの奴ですか~、でも内容としては短かったじゃないですか?」

「私だったらここはこんな罠にする、ここで邪魔な敵を置くと

 考えてて実際にやってみたら実に楽しんじゃないか思ってな」

「会長さん、これ少女漫画なんですけど~」

「機会があるならやってみたいな~…なぁ悠斗?」

「………勝手にしてくれ」

(なにか悟ったような顔してますね…まぁ姉さんのことだから同情します)

―――

「あ~あの時のことね」

「まだ奏が学園に来る前のことだったしあの放送から考えると多分あってるはずだ」

その話の内容だと悠君が僕を背負ってマラソンするってことだよね?

でも僕を背負って走るなんて疲れるじゃないかな…

そもそも人1人を背負って走るなんて出来るの!?た、単純に計算してお米10kgを5つ持って走るのと同じだよ!? いくら悠君が運動神経いいからってそんなのできるわけ

「でも悠斗なら奏ちゃんを背負って走っても余裕だよね」

「砂場で70㎏背負って30㎞走るのに比べちゃあ~駄目だよ龍二

 完走したの見てホントに人間って疑ったからね」

「赤坂先輩の身体能力なんて人外レベルなの承知してます」

「言いたい放題だなお前ら…ん、どうした奏?」

「な、なんでもないよ、あは、あははは…」

ど、どうやら心配する必要はないようです

もうすぐ昼の種目が始まってしまうから皆も動き始めたし

僕たちもグラウンドに行くことにしたけど冬香ちゃんと悠君がまだ言い争ってる

「私は奏を連れていくなんて反対です!」 「本心は?」

「私がおんぶしたいです! むしろお姫様抱っこしたいです!!」

「…初めて会った時よりだいぶイメージが違うが今はどうでもいい

 俺に奏を預けるのと知らない奴に奏を預けるのとどっちがいい?」

「一体なにを」

「神崎奏さん! 今だけ俺のパートナーになってください!!」

「ひゃあ!」

冬香ちゃんと悠君を見ていたら前から声をかけられて思わず声をあげちゃったけど

こ、この人誰だろう? 背が高いけど悠君よりは低くけどがっちりとした体格で

体育会系って感じの人だけど…って周りをみるとこっちに向かってくる人達がいる!

「い、いや!ぜひ俺のパートナーに」「いや! 俺に」「俺が!」

こ、怖くてはわわ、はわわって言うしかできなくて悠君の後ろに隠れてしまった

そ、それにこの人達の目つきがギラギラした感じで直視できない

「お~い! 皆さま目が血走ってて奏ちゃんが怖がってますよ~!」

「女の子のエスコートがなってませんよ先輩方!」

蓮次さんと美佐ちゃんが前に出て反論するとこっちを見てきたけど

怖くて悠君の後ろに隠れしまう

皆も分かってくれたのか僕に頭を下げてまでして謝ってきた

「すまなかった! だが最後の種目でパートナーを決めなくてはならないから

 ぜひ! 君がパートナーになってもらいたいと思ってきたんだ!」

「…残念ですが奏のパートナーは赤坂先輩にですから無駄ですよ」

「え?」

「な、なに!? ほ、本当なのか!?」

「残念ながら本当ですよ。ですから他をあたってくれませんか?」

「む……空手部の沢渡か…お前が言うには信頼できるな」

他の皆も納得してくれたのかまた頭を下げて帰って行った

「悪かったな龍二、あんな嘘ついて」

「ああでも言わないと帰ってくれそうにないからね…それにあの人達とは面識が

 あったし根は真面目なんだよ」

「真面目だったらあんな血走った目で奏ちゃんを睨まないと思うけどね!」

「私も同感です。奏を怖がらせるなんて…退学してやりたいです」

「ご、ごめんね皆…僕がちゃんとしてたら」

「あんなの迫ってきたらあたしだって怖いし、気にしなくていいんだよ」

「今度迫ってきたら私が八つ裂きしますから安心してください」

皆が励ましてくれて笑顔で大丈夫だよって答えたら美佐ちゃんは

「なんて眩しい笑顔!」って驚いて、冬香ちゃんはぼそぼそ言って聞こえなかったけど

何故か鼻血が出ていた…あと八つ裂きはいくらなんでも酷いからダメって言ったら冗談ですと答えけど目が本気だったような

「そうそうってもう開始10分前だぞ! おい美佐! 早くいくぞ!」

「合点承知の助~!!」

「私も行かないと、赤坂先輩は奏をクラスまでついて行ってください」

「僕も次の種目の手伝いを頼まれてから先に行くよ」

残ったのは僕と悠君だけになったけどさっきのことを考えてしまう

皆が心配してくれるのは嬉しいかった。学園でも休日で遊んでいる時も一緒に笑って励ましてくれてあの時よりずっと笑っていられるようになった

僕がまだ幼かった時に心配かけてくれるのはいつもお母さんとお父さんだった、転んだ時も怖い夢を見て泣くとお母さんが抱きしめてくれた、お父さんは大きな手で頭を撫でてくれた。僕は幸せだった。失うなんて思っていなかったから

「…行くぞ、奏」「わぷ…う、うん」

なぜか分からないけど悠君が頭を撫でてくれて一緒に歩いていく、僕の歩幅に合わせて歩いてくれたことが

ほんの些細なことだけど僕にとっては嬉しかった

―――

「さぁ昼の部がは~じまりましたぜ~!!」

「次の種目は借り物競争だが果たしてゴールまで無事にたどり着けるかな~?」

クラスの席に戻って冬香ちゃんは探しているとかなり奥のほうのレーンにいた

冬香ちゃんって他の女の子より背が高し綺麗だからすごく目立つなぁ

普段から一緒にいるけど冬香ちゃんって誰から告白とかされないのかな? 美人で優しいし…そういえば最近一緒にいるけど僕がいなかった時の冬香ちゃんはなにしてたんだろう? 今度聞いてみようかな

このレースは全学年が出場して出場者が30人くらいもいて男の人もいるけど

これって不利じゃないのかな…あとカードは特大のモニターに表示されるためイカサマはできないようだけどあんな大きなのテレビでしか見たことないよ、いったい誰が持ち出したんだろう?

「ルールは簡単! 走って机にカードが置いてあるのでそのカードに

 書かれたお題を審査員に持ってくるだけ!」

「これを3回繰り返すが毎年ゴールが出来ない選手が続出しているから

 カードのお題がレースの命運を分けると言っても過言じゃないぞ~!」

どうやらこの借り物競争は走るのが速い人が有利じゃないなくてお題によっては遅い人でも1番でもゴールできる可能性があるってことだね。でもゴールできないって一体どんなお題なの?

「位置について…よーい……ドン!!」

ピストル音で一斉に走り出して冬香ちゃんの順位は上位に食い込んでいるけどそれでも運動部の男子に勝てなくて机がスタートより30mくらいで1位の人がもうたどり着いてしまった。

「へへ…俺が1番のりだ!! 俺はこのど真ん中カードを選ぶ! ドロー!!」

『伝説の剣』

「あ~っと! 早速引いてしまった外れカード! 伝説の剣はこの学園あるのか~!?」

「いや、ないだろ」

凄く悔しそうな声をあげて崩れていった…この種目って本当に運だね

「これだ!」 『彼女または彼氏』

「僕には見える…これです!」 『ボーイフレンドかガールフレンド』

「「意味同じだし彼女なんていねぇよー!!」

「なんと3連続外れカードだ~~! これは酷い!」

冬香ちゃんもたどり着いたけどあんな無茶なお題じゃありませんように!

「これです」 『ボールペン』

ボールペンならどこにでもあるから当たりだ! 冬香ちゃんもすぐに動いて

放送局の前まで行って無事にボールペンを持ってこられた

「次々にお題をクリアしていくが次はどうだ~!?」

「心の目で見るれば簡単じゃ…ほれ!」 『大仏(実物)』

大仏って誰が考えても無理じゃないかな? というより最初のお題も不可能だしなんであれを採用したのか分からない。続いて冬香ちゃんのお題はジャージでこれは自分が着ているジャージを見せていよいよ最後のお題になり最後もまで残ったのが僅か3人となってしまい残りは人は無茶のお題のせいでリタイアとなった

「さぁ残りはカードはあと8枚! 果たしてゴールできるかぁ~!?」

「ここまで来たんだ! 俺は俺自身の運命を信じる……ドロー!!」






『あの日はとても暑いだった。僕はTシャツに短パンを穿き、おばあちゃんから貰った麦わら帽子を被り大きな虫捕り網と籠を持ってカブトムシを捕まえに大きな森の中に入って行った。セミが鳴り響いて、体も泥だらけになったけど僕は楽しかった。ようやくカブトムシを見つけてゆっくり…ゆっくりと近づいて網を振り下したけどカブトムシは大空へ飛んでいった。ここにはセミもクワガタもトンボがいるけど僕はカブトムシが欲しかった…もう戻らないあの夏の日…カブトムシが…欲しかった』







「長ぇよ!! つかどんだけカブトムシ押しなんだよこのお題!!」


ど、どうやら外れカードだったみたいで最後は冬香ちゃんと2年の男子生徒がだけとなり2人ともどれを選ぶのか迷っている様子でどちらも動こうとしなかった。皆も固唾を呑んで見守っている

「「これだ(です)!!」」 『好きな人』 『大切な人』

男の人が好きな人で冬香ちゃんは大切な人がお題だけど…す、好きな人って流石にやりすぎだとじゃないかな?だったこんな大勢の前で告白するようなものだし

「おおおおぉおぉぉおお!!」

「そっちは…まさか! 行かせません!!」

ものすごいスピードで…こっちに向かってきてない? いや僕の気のせいだと思いたいようだけど2人の目線が僕に向けられていてあっという間に僕の目の前まで来て2人は手を差し伸べて

「俺(私)と来てください!」

な、なんだろうこの状況…周りの人は修羅場? 修羅場なの!? とか言ってて盛り上がっているけど僕にとっては状況が理解できるけど行動できなかった

「なんですかあなたは? モブ如きで奏に触れるつもりですか?」

「な、先輩に対して口の利き方がなっていないんじゃないか? え?」

バチバチと火花が見えるようだけど冬香ちゃんの口調が変な感じがする

いつものならどんな人に対しても丁寧に口調だけど明らかに相手を挑発しているような口調になっているしモブってどういう意味なの?

「これは予想外の展開になったぞ~! 果たして奏ちゃんはどっちを選ぶのか~!」

「…君を目が合った瞬間、恋をした! だから…もし受けて止めてくれるなら俺の手を掴んでください!」

(こんなところで告白? 自分の器を理解していない愚か者ですね)

周りの人が一段と盛り上がってちよちゃん、ちとせちゃんもどうする? どうするの? 聞いてくる…少し戸惑ったけどこの人は僕のことを好きってことなんだけど僕はまだ誰かを恋をしたいという気持ちは持っていないし女の子に恋しいをしたいのかその逆なのかも理解できてない…友情と恋愛って何が違うんだろう? 相手の人には悪いけど断ることを決意した

「ごめんなさい…気持ちは嬉しいですけど…」

「が、ぐ、ふうぅ!」

力尽きたかのように倒れこんでしまった…告白を断ると落ち込んだり理由を聞いて諦めたくない人も相手のことを…ううん、恋という気持ちが僕には理解できなかった。

「さ、さぁ奏…私がお姫様「僕もあそこまで行けばいいんだよね? じゃあ一緒に行こう」

ロープを跨いで審査員のところまで行けば冬香ちゃんの勝ちで相手ももう誰もいないしゆっくり歩いていくことにしたけど冬香ちゃんは何故かガッカリしてた…勝ったのが嬉しくないのかな?

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