第十一話 奏視点
統治会室は二階の特別棟にあった
他にも映画研究会や将棋部などの部室も見えて
いつも私たちが授業する本校がとは別の分校のがあって
この分校は主に部活動に為にある棟であると聞いた
月乃澤は同好会とかも多くて部室、部費、活動評価などが問題になっていて
部室を借りられないところも多いらしい
冬香ちゃんの話しよると部活動は約60にも及ぶらしく
非公式も数えるなら100はあるんじゃないかともいわれているらしい
2000人もいればそれくらい出るといっていたけど
生徒会の人たちはそれを管理、部費の調整などしていると思うと大変だなって思った
僕じゃあそんなの対応しきれないし生徒会の人はみんなエリートなのかな?
少し先に龍二さんが書類?らしきものを抱えて歩いてきた
「あれ?奏ちゃん?どうして・・・会長が連れてきたんですか?」
「なぜそう決め付ける?」
「普段の行いが原因だと思います姉さん」
「え~と、こんにちは龍二さん」
「こんにちは奏ちゃん・・・まぁ見学でもしていってよ」
龍二さんも今朝の集会のことを思い出したようだけど
無意味と思ったのかそれ以上なにも言わなかった
「ほらここだ」ガチャ!
統治会室って書いてるからやっとついたんだ
僕の教室から歩いて5~10分ぐらい離れているんじゃないのかな?
統治会室は教室と同じくらいの広さで空気洗浄機、エアコンまでついててかなり快適で
大きいソファまであるし正面には会長が座りそうな大きな作業机と椅子がある
ほかにはお菓子に紅茶の茶葉やコーヒーのパックが入った箱がおいてある
他の部室もこんな感じなのかな?僕が疑問になったのを感じたのか冬香ちゃんが
「ここが快適なのは姉さんがわがままをいって改装したからです」
「よりよい環境したほうがいいと頼んだだけだ」
「ほぼ無理やりだった気がしたけど」
やっぱりそんな気がしてたけれど
どうやってしたのかは聞かないでおいたほうが吉かな?
「まあその辺に座れ」
そ、その辺ってこのソファでいいのかな?で、でもかなり高級感じがして座りづらい
「そこのソファは生徒の相談を聞く時に使うから遠慮しなくていいですよ」
「じゃ、じゃあ失礼して・・・!?」
うわ!なにこのソファ!?低反発っていうのかソファが僕の体勢に合わせてくれて
全然苦しくない!?・・・やっぱり高級なのかな
「市販の安物に何をそんなに驚くことがあるんだ?」
「安物って、それ45万くらいしてるって会長言ってたじゃないですか」
4・5・万?うちのソファの十倍くらいの値段じゃないかな!?
それを安物ってこの人の金銭価格はどうなってるの?
「近場の店舗の一番高いソファがそれだったが、どんな安物かと思ったがお前らが
それがいいって言ったから買ったんだぞ?本当はもっといい物があるっていうのに」
「高級すぎるとかえって座りづらくなるからこれにしたんですよ」
これでも十分高すぎて座りづらいよ
「だれか紅茶いれてくれ」
「仕事をしてない姉さんが自分で淹れればいいでしょ?」
「私は紅茶の入れ方知~らな~い」
「僕はちょっと手が離せないので」
紅茶・・・どんな種類があるんだろう?
試してみようかな・・・紅茶の入れ方のなら知ってるし
「あの、僕が淹れましょうか?」
「はぁ・・・奏はお客様なんだからそんなことしないで」
「どんなのがあるかさっきから気になったからどうせなら淹れてみたいから」
「奏ちゃんって紅茶の入れ方まで知ってたの?」
「仲がよかった看護師さんに教えてもらったの
教えてもらってまだ一年半くらいだけど一通りの紅茶の入れ方くらいなら知ってるよ」
「じゃあ頼む、ダージリンがいい」
「会長さりげなく注文しましたね
悪いけど僕も喉が渇いていたから会長と同じのを頼める?」
「沢渡先輩まで・・・わたしも皆と同じをお願いできる?」
「人のこと言えないじゃないかおまえらも」
「淹れてくれるならついでにって感じで」
「ふふ・・・うん、わかった」
ダージリンは・・・あった!そばにポットやコンロもあるしこれなら大丈夫だね
ダージリンがブロークンタイプだから2.5から3gくらいが良くて
空気を多く含む新鮮な汲みたての水がいいんだけどここは・・・
「冬香ちゃん、そこ冷蔵庫にまだ開封してない水とかある?」
「ちょっと待ってください・・・ちょうど一本だけ余ってましたからどうぞ」
「ありがとう、せっかく淹れるんだから美味しくないと駄目だからね
紅茶はケチったら美味しくならないから」
「そうですか」
「ネットじゃあ家事は良く出来るって聞いたしこれで紅茶が美味しかったら」ブツブツ
(会長がまたなにか企んでる顔だけど、奏ちゃんことだろうな~きっと)
ポットは沸騰したてもじゃないと茶葉の旨みが抽出されにくくなりなって
美味しくならないし茶葉が充分に蒸らして葉が開ききってからカップに注ぐといい
本当はティーカップも少し温めたほうがよかったけど急だったし今日は仕方が無い
「おまたせしました。ご希望通りにダージリンにしましたよ」
「ありがとう」
「慣れたてた感じがして手際が良かったね奏ちゃん」
「私もいただきます」
自分では悪くない思ったけど何しろ相手は超お嬢様でもあるのだから
口に合わなかったらど、どうしよう
「・・・私は良いと思います」
「僕も美味しいと思ったよ」
「本当!?よかった~・・・会長さんは?」
「・・・大変に気分がいい」
「好評のようですね、よかったですね奏」
心臓がバクバクしてるけど美味しいって思っているようだし本当によかった
「ああ・・・欲しくなってきた」
ほしい?なんのことを言ってるのかな?
「「・・・やっぱりこうなったか」」
龍二さんも冬香ちゃんもため息ついてどうしたんだろう?
せっかく喜んでくれたのに
「神崎奏、お前はまだ委員会に入ってなかったよな?」
「はい、部活も委員会もまだですけど」
というか転校初日でまだ決まってないのは当たり前だけどね
「何か入部、もしくは委員会に入りたいのはあるか?」
「特には・・・ありませんね」
「なら良かった・・・奏、統治会に来る気はないか?」
もしかしてこれってスカウト?紅茶を淹れただけで?
でも部活、委員会の勧誘は禁止されているはずって
(あいつが決めたルールにあたしが縛られることはないのでスルーだ)
そういえばこんなこと言ってたね
でもあいつって呼ぶくらいだから生徒会長さんと会長さんは仲が良いのかな?
「別に今すぐ決めろってわけじゃないからそうだな、三日以内に決めてくれ」
三日間もあれば充分に考える時間もあるしそれなら大丈夫だよね?
「はい、わかりました」
「そうか・・・別に断っても構わんからな」
なんだか言いたいことをハッキリ言う人だけど
ちゃんと考えて発言してるし悠君に似て優しいところもあるんだな~
「わるいがもう一杯もらえるか?」
「いいですよ」
「んん~・・・おいしいな」
「ありがとうございます」
ちょっと従者?になった感じがしてちょっと面白いかも
「会長~報告書が出来ました」
「わかった今日はもう上がっていいぞ」
「わかりました、奏ちゃんはまだここにいる?」
「私はまだ美佐ちゃんを見てないしもう少しだけ待ってる」
「今日は来んぞ?」
「え?」
「美佐はテニスで、悠斗はバイトがあって帰ってるよ」
「ごめんなさい奏、伝え忘れていました・・・沢渡先輩と一緒に帰ってはどうですか?
私はまだ仕事があって一緒に帰れそうにないで」
「そっかぁ・・・美佐ちゃんはテニス部なんだよね?」
「じゃあ一緒に行く?」
「うん、今日はこれで失礼します」
「ああ、いい返事を期待してる」
「分かりました。それじゃあ冬香ちゃん、バイバイ」
「はい、さようなら奏」
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「・・・姉さん、気に入ったのですか?彼女が」
「もちろんそうだが・・・それは冬香もだろう?」
「彼女の純粋なところが・・・ですかね」
「珍しいことがあるもんだなぁ、姉妹そろって同じものに興味を持つなんて」
「そうですね・・・今までそんなことありませんでしたね」
「さて、私の部下になるなら他にも準備しないとな」
「決定事項というわけでないのですが」
「いや、決定事項だよ。なぜなら」
「私が決めたから・・・ですか?」
「その通りだ、はっはっは」
まあ姉さんの性格は重々理解してるから奏がここに来る情報を誰よりも先に知り
そして統治会に迎い入れ自分のとって使える人物なら部下にする
・・・たとえそれがどんな人物であっても
こうなることは頭では理解していたが
まさかここまでズレがなかったら逆に怖くなりますが
私としても奏が来てくれるのは
「嬉しいだろう冬香」
「・・・そうですね」
私がこの世で二番目に敵にしたくない人です。
紅茶要素があるけど自信ない(^^;)
私は個人的に苦手です




