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第九話 悠斗視点 

「ええっと、そちらの方は?」

「自己紹介が遅れたが俺は岡本蓮次で

 皆からはハスって呼ばれるからハスって呼んでくれも構わないぜ」

「で、でも上級生だし・・・岡本先輩じゃあ駄目ですか?」

「いやいや別に構わないよ、じゃあ俺も奏ちゃんって呼んでもいい?」

「は、はい大丈夫ですよ」

「「呼び捨てで呼んだら殴っているところだった(です)」」

「ひぃ!」

「美佐ちゃん!それに冬香ちゃんも失礼なこと言わないの!」

「ごっめ~ん」

「奏が穢れると思ったからつい」

「うっかりで人を脅かすな!あと美佐は誤る気0だろ!」

「私も奏ちゃんが穢れると思うとつい・・・ね?」

「ね?じゃねえし!・・・じゃあ俺も奏ちゃんでいいや」

「いいや?」ギロ!

「お前ら仲いいなおい!」

「はは・・・奏ちゃんはなにか部活動とかしてみたいことある?」

「今のところは特に何も思い浮かばないかな?

 でも私は運動音痴だから運動部はちょっと厳しいかも」

「奏は運動が苦手なんですか?」

「全くと言っていいほどね」

「・・・そうですか」

今冬香がちらっと胸を見たがこいつは男の時から運動は駄目駄目だったから

胸は関係ない・・・・・・しかし今後はいろいろ支障きたすかもしれん

「じゃあ文学部かな?天文部とか書道部とか」

「う~ん・・・やってみないとわからないし、やっぱり今はまだなんとも」

「おい龍二、お前生徒会長が言ったこと忘れたのか?」

「そうですよ沢渡先輩、今は奏に部活動のことを聞くのは禁止ですよ」

「え・・・あれって勧誘が駄目ってことじゃあなかったの?」

「今の俺達に聞き耳たててる奴らが結構多い」

いつの間にか廊下もまた人でいっぱいになっていた

教室も俺たちの会話に聞き耳立ててるやつも結構多い

「今こいつがこの部活動が気になるって言ったら

 その部活が放課後に勧誘してくるかも知れない」

「それ勧誘を見たら他の人もこぞって勧誘してくるか可能性もあります

 ここの学園は部員がギリギリな部活や同好会もあるから部費が少なくて

 うまく活動できないところもあります」

「さっき奏が特定の部活を指さなかったからよかったが、もし言ってたら」

「そ、そこまで考えてなかった・・・ごめんね奏ちゃん」

「龍二さんが謝らなくていいよ、それに二人とも考えすぎだってば」

「ないとは言いきれないからな」

「そうですよ」

少し過保護かもしれないがまだこいつは臨機応変には対応できないはずだ

この学園は部が多いがそれ故まだ部として成立されていないところも多い

新入生は重要な部員となるので例え1人でも見逃すことはできない

しかも学校の情報はすぐ学園指定の情報サイト、ツキッターにリークされるため

迂闊に部活動のことは喋れるべきではない

「それにしてもかなちゃんの弁当おいしそうだねぇ」ジュル

「美佐、涎」フキフキ

「あんがと」

「奏ちゃんは本当に料理が上手だね」

「へぇ~奏ちゃんって自分で料理するの?」

「はい、お姉ちゃんは料理ができないから代わりに私が家事をしてます」

「ご両親は?」

「うちは両親は海外で仕事しているので今はお姉ちゃんと二人暮らしです」

「そうかぁ、両親と離れてて寂しくない?」

「・・・大丈夫ですよ、お姉ちゃんがいますから」

どことなく無理して言っているのに気づいたのかハスも申し訳ないような顔をしている

奏もまだ本当のことを言えないからようだな

それに気づいているのは美佐と龍二と俺だけだが冬香こちらの様子をうかがっているが

この様子だと奏もまだ冬香に話して無いようだな

「ハス、この中で一番シリアスからかけ離れているその顔はアウト」

「落ち担当の岡本先輩にそんな顔似合いませんよ」

「変顔のほうがお前には合ってる」

「なんか凄く失礼なこと言ってない!?しかも今の話で笑いにいけないだろ!」

「「存在が冗談なんだから」」

「存在が冗談なの俺!?せめて存在くらい認めさせて!!」

「それよりあたしのから揚げと何か交換しない?」  「無視!?」

「うん、いいよ何がいい?」            「えっ!?マジスルーなの!?」

「この豆腐のつくねが食べてみたい」        「俺も話しに」   

「私もいいですか?」               「そうだ!おれもこのピーマンで」

「冬香ちゃんはなにがほしい?」          「お、俺の存在が」

「私はだし巻き卵を」               「か、からかまってください」

「なら僕は・・・この煮物がほしいな」       「うう・・・」

「ではどうぞ」                  「あああんまりだぁぁああぁぁ!!!」

「うるせぇ」ヒュ                 「はぎゅん!!」ボコ

「美佐ちゃんのから揚げおいしい!」

「お母さんが作ってくれたからね、家庭の味ってやつだよ」

「このだし巻き卵すごくふわふわしてて美味しいです」

「そう?口に合っててよかったぁ」

「私は濃い味より薄味が好みですから私好みの味です」

「この煮物って冬香ちゃんが作ったの?」

「私は料理が出来なくて家の家政婦さんが作ってくれました」

冬香の弁当はお嬢様らしくない普通の弁当で本人も気に入っているらしい

「そういえば龍二さんと美佐ちゃんのお弁当って一緒なんだね」

「そうだよぉ~なんたって恋人同士だもんね」

「でも作ってるのは美佐の母さんなんだけどな」

「うるさ~い!毎日料理するなんてできるかぁ!」

「じゃ、じゃあ///恋人同士がする・・・その・・・あ~んって///」

「ふっふっふ、見せてあげよう龍二・・・はい、あ~ん」ヒョイ

「・・・あ~ん///」パク

「おいしい?」「うん、おいしいよ」

「なぜか俺はこいつらがラブラブしても全然妬まない」

「同感だ(です)」

「なんで!?チッ!このリア充が!爆発しろ!って思うところじゃん!」

「一年くらい見続けたから飽きた」

「俺は最初から特に妬みのような感情はしなかった」

「ごもっともです」

「くそぉう!!」

「は、はじめて生で見た///」

「キスは流石に人前じゃあできないけどね」

「そんなことはデートでやれ」

それにしても周りの連中が騒いでるのが気になってしまう

多分俺と奏の関係だろうが奏に余計な壁を作らせてしまったかもしれん

美佐も龍二も散々な目にあったが本人達の人徳のおかげか被害は少なかったが

「悠君どうしたの?ご飯すすんでないよ?」

「ああ・・・バイトについて考えてた」

「奏ちゃんは言ってなかったけど悠は工事現場で働いてて学校終わって

 夜までずっとだよね?」

「基本的には夜の10時までだな」

「この中でバイトしてるの悠と美佐だね。僕は部活、道場、委員会だから」

「あたしは休日はバイトだけであとは龍二と一緒」

「私も沢渡先輩と変わりませんね」

「皆すごいね~僕もなにか見つけないと」

奏はこれから何をしたいのか俺には分からないが

奏にとっていい経験になることしてほしいな

―――

――

「じゃあね~奏ちゃん、また放課後に~」

「うん!また放課後でね」

もうすぐ昼休みも終わる時間だが、このままゆっくりだべって教室に向かっても

十分に間に合う時間だ

「あっ・・・ゆ、悠斗君ちょっといいかな?」

「ん?なんだ?」

「あ・・・え~と・・・その・・・」

奏に呼び止められたがなんか言いにくいことなのか

なかなか話してくれないあまり此処には長居したくないだが

「悠斗、僕たちは先に帰ってるから」

なにか察したのか龍二たちは教室に帰って行く

別にそこまでしなくてもいいと思うんだが

「え~と、今日って何か放課後に用事とかある?」

なんか誤魔化したような質問だな?

そこまで言いづらいことなら別の日に言えばいいのに

「今日はバイトがあるから一緒には帰れんぞ」

「あ~・・・そっか~」

「そうだ」

「・・・」

「・・・」

なんなんだこの空気は・・・奏には悪いが話は打ち切らせて教室に帰ろうとしたが

「~~~えい!」

「!!」

正直一瞬、いや・・・今も理解できないんだが突然奏が手をチョキの形して

俺の口の端を吊り上げた。

「―――」

冬香は呆然としながらこちらを見ている

ため息をつきながら奏の手を取って退かしてついでにデコピンをした

「いきなり何するんだよお前は」

「うう・・・ご、ごめん・・・悠君が元気ないように見えたから」

元気ない?別にそんな雰囲気だしてないだがなんだか妙にひっかる

奏は無意味に悪戯しない性格だ。いやむしろ悪戯される側だ。

だからこそきっと意味があるんだ、それにさっき行為って手をチョキに・・・

口に・・・笑顔に・・・そういば昔に・・・

―――

「うわっ!!いきなり何すんだよ!」

「これはお母さんが教えてくれた御まじないだよ。元気がなかったり落ち込んだときには

 こうすると・・・ほら!笑った顔になるでしょ」ニィ~~

「そんなの御まじない、子供だましにしか使えないだろ」

「ひ、ひどい・・・」ぷるぷる

「な!ば、ばか!!そんな泣きそうな顔すんよ」

「うう~」

―――

まさかとは思うが元気がないってことはさっき行為これで違いはないだろう

なんだかさらにため息がつきたくなった

「お前馬鹿か?こんな子供だましで元気なると思ってるのか?」

「あ!お、覚えててくれたんだ!」

「ついさっきって、違うそうじゃない俺は別に元気だし落ち込んでもいない」

「でもこの教室に来てから全然笑ってないから・・・心配になって」

こいつ龍二達がいる時チラチラとこっちを見てたと思ったら

変に勘が鋭んだよなぁこいつは。

俺は学校の評判がかなり悪いから俺が友達だって思われると

奇異な目で見られるかも思ったがこいつは・・・

「悠君が何かあったのは知らないし僕の思い違いかもしれないけど

 僕は君のそばにいるよ絶対に」

教室だってのにハッキリ言ってくるな奏は

こういう時は絶対にブレないこいつの良いところだけどな

救われた身だからこそこいつは友達を・・・かつての俺がこいつを

何の見返りもなく助けたことに憧れて、信じている

困っている人を助ける当たり前のように・・・

だが奏を助けたのは偶然だった

そして現実はそんな簡単じゃないは俺が身をもって知っている

奏には自分をもっと大切にしてほしい

「お前は人の心配よりこれからの自分のことを考えてろ

 逆にこっちが心配する身になるからな」

「うぅ、ごめんね」

でも・・・

「でも・・・ありがとな、心配してくれて」スッ

「え!?///・・・あ・・・う///」 ナデナデ

自然に、なんの迷いもなく奏の頭を撫でた

自分でも驚いてる、俺は学園にいる間は笑ったりするが

こんなに大勢の人がいる教室で微笑んでいることなんてなかった

人に害悪をあたえずに、人に敵意をあたえずに、人に悪意をあたえることしない奏は

今の世の中ではもっとも利用されやすいがこれほど眩しい奴はいない

純粋に守りたい気持ちがこみ上げてくる、異性としてでなく友達として

「あの~悠君、そろそろ手を、ね?///」

「・・・あ、ああ・・・すまん///」

やばい教室で女の子の頭を撫でるなんて今思えばやる方もされる方も

かなり恥ずかしいのについっていうか無意識というか

奏も頬が赤くなってもじもじして

止めと言わんばかりの上目づかいでやばいかなり可愛い

いやいや純粋として守りたいと思った矢先にこんなこと思うなんて

でも今の奏では女の子でそれも超がつくほどの美少女で可愛くてって

まずい・・・かなりテンパっていてまとも考えができない!

ここはもう、すぐ逃げる方がいいな

「じゃ、じゃあそういう、ことだから・・・じ、じゃあまたな」

自分でもびっくりするぐらい動揺している

こんなキャラじゃねぇのに絶対会長の笑いネタにされちまう

あとあいつらもか・・・

ーーー

ーー

悠斗君はなんだか逃げるように教室に帰って行ってしまった

悠斗君も顔・・・赤くなってたよね・・・?なんだか頭を撫でられたら急にドキドキして

あれ?なんで?こんなに顔が紅くなっていくんだろう?///

(でも・・・ありがとな、心配してくれて)

あの時の悠斗君の顔はすごく優しい眼差しで微笑んでくれた

そのことは嬉しいのだけどなんだか恥ずかしくてまともに顔が見れなかった

でもでもいきなり教室で・・・あれ?教室?

周りを見る全員こっちを見ていて驚愕していた

「あのツキガクの悪魔が微笑んでた!?」「あんなに顔、俺見たことねえぞ!」

「いつも怖い目つきばかりなのに!?」「もももしかして、もしかするとだよ!?」

なんだかみんなもさっきのことが話題になってしまっている

ついさっき僕に質問してきた2人

確かちとちよコンビって言ったがまっすぐも向かってきた

「奏ちゃんって赤坂先輩の何!?もしかしてこ、恋人!?」

「ふぇ///!?」

恋・・・人?僕と悠君が?

「え!?そ、その反応は」

「ち、違うよ!友達だよ!」

腕ぶんぶんと横に振って否定したが信じてない様子

「それにして随分といい雰囲気だったけどねぇ」

「本当だよ!?美佐ちゃんと龍二さんと悠君は昔からの友達だったから」

「まあ東条先輩と沢渡先輩は友達って接し方だったけど」

「頭を撫でられている時の奏ちゃんは女の顔になっていたわ!」

「確かにそう見えました」

「ええ!?冬香ちゃんまで!?」

その後も必死に弁解して誤解されたままして昼休みが終わった


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