表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

「大丈夫なふり」

作者: 蒼山ホタル
掲載日:2026/05/11

窓の向こう。

夜空の端が、少しだけ明るくなり始めていた。



午前二時十七分。


部屋を照らしているのは、スマホの小さな光だけだった。


「大丈夫。」


今日だけで、もう五回目だった。

誰に聞かれたわけでもないのに、

自分に言い聞かせるようにつぶやく言葉。


本当は、全然大丈夫じゃなかった。


友達の楽しそうな写真を見ているだけで、

心のどこかが静かに沈んでいく。


『どうして、自分だけ置いていかれてる気がするんだろう。』


みんな前に進んでいるように見える。

自分の道をちゃんと知っているように見える。


でも、自分だけが霧の中を歩いている気がした。


誰にも言えなかった。


弱いと思われるのが怖かったから。


だから、もっと笑った。

平気なふりをした。

何でもない顔を覚えた。


だけど、一人になるたびに、

心は少しずつ重くなっていった。


その夜も、窓を開けた。


冷たい夜風が、静かな部屋に流れ込む。


遠くに見えるコンビニの灯りが、

なぜか少しだけ温かく見えた。


その時、ふと思った。


『ここまで、ちゃんと生きてきたんだな。』


完璧じゃなくてもいい。

うまくいかない日があってもいい。


少し遅くても、遠回りしてもいい。


止まらずに、ここまで来たことは、

ちゃんと意味がある。


彼は小さく息を吐いて、

初めて自分に言った。


「今日も……思ったより頑張ったな。」


窓の向こう。

夜空の端が、少しだけ明るくなり始めていた。



---


一文


「一番苦しい夜ほど、夜明けの直前は静かだった。」

止まらずに、ここまで来たことは、

ちゃんと意味がある。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ