30歳おっさん、ヒロインデビュー!?
真っ白空間で、誰かの声が聞こえた。
『転生先を選べ。望みを叶えてやるのじゃ』
「……じゃあ、エロゲの世界で」
そう言った瞬間、強烈な光に包まれて__
目を開けると、そこは見覚えのある可愛らしい部屋。ふと体を見ると、俺の体は……妙に軽い。細い。白い。
鏡を見る。
そこにいたのは、俺もやりこんでいたエロゲ、『あまあまスクールライフ☆』の人気キャラクター胡桃沢るる(CV高音系)
「いやいやいやいや…….待て、俺30歳のおっさんだぞ?」
妙に重い胸元に、軽くなった股下…
どこからともなく声が響く
『いや、本当は男主人公に転生させるつもりじゃったんじゃがのう...』
「男主人公に変更は…」
『変更方法?知らん』
(終わった…)
頭が真っ白になる中、ドアの向こうから足音が近づいてくる。
___この足音、このテンポ、確か “好感度イベント” の発生音だ。
そして聞こえる、甘ったるい声。
『るる、今日も可愛いな』
つまり、俺を“攻略しに来る側”の男。
いや、攻略すんな。俺はお前になりたかったんだよ…!
ドアの前にユウキが立っている
近づこうと思うと、不便すぎる体に驚いた。
慣れない足の長さ、柔らかい膝。踏ん張ろうとしても力が入らない。俺はそのままユウキの前でずっこけてしまった。
「るる、どうしたんだ? 転んだのか?」
ユウキが慌てて駆け寄ってくる。近い、近い、近すぎる。エロゲーでよくある“ヒロインのパンツが見える角度”でしゃがみ込むんじゃなあぁぁい!!
「だ、大丈夫……っす。」
声が上ずった。いや、俺が上ずらせたんじゃない。声帯が勝手に上ずるんだ。胡桃沢るるの声帯が。
ユウキは俺の顔を覗き込み、優しく微笑んだ後、少し真剣そうな顔になった。
「……るるは俺とキスの練習がしたいと思うんだが、今日は伝えたい大事な事があってな」
背景がキラキラと光り始めた。
「お、おい待て。待てユウキ、落ち着け! これは――」
(あっ、これイベント発生時のやつだ……!)
画面の外から見ていた時は「おお〜神絵!」くらいのテンションだったのに、当事者側に立つとただの恐怖だ。距離がゼロに近づく。息が触れそうな距離。
胸の奥がざわつく。これは恋とかじゃない。
危機感。
「その…俺と付き合ってくれないか。」
「や、やめ……いや、違う……その……!」
(なんでこんな展開早いんだよ….)
言語能力が崩壊していく。あまスクにこんなボイスあったな……デレ始めのやつ。ちっ違う、俺はデレてない。中身は30歳のおっさんなんだって!!
すると__
ピコン。
頭の中に、文字が浮かんだ。
【選択肢】
①「ユウキの事なんか別に好きじゃないから!!」
②「ごっごめん!ちょっと考えさせて…//」
③(黙って見つめ返す)
よりによってこのタイミングで!?なんだよ③の罠みたいなやつ!!やったら即恋愛ルート加速じゃねえか…
俺がパニック状態で選択肢の前でもがいていると――
ピコン。
【一定時間経過。自動選択されます】
「やめろやめろやめろやめろ!!!?」
画面が勝手に揺れる。
……ぽちっ。
選ばれたのは――
③(黙って見つめ返す)
「なんでよりによってそれなんだよおおお!!!!!?」
ユウキが顔を赤くし、目を細める。
「……るる、そんな目で見られたら……」
「やめろ、言うな! フラグ立てるな!!」
「……俺、ドキッとするだろ」
部屋の空気が一気に甘くなる。いや甘くすんな!俺の精神が死ぬ!!
ユウキがそっと手を伸ばしてくる。俺は反射的に後ずさり――壁に背中をつけた。
逃げ場なし。
(これ……完全に“えっちイベント”の流れじゃねぇか……!!)
終わった。
物理的にも精神的にも、完全に詰んだ。
もう削除してしまったアカウントで書いていた小説です
折角なのでこのアカウントで連載しようと思います




