表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/52

ガイアの大穴

 リースとエスターは、ギルド近くの酒場にいた。

「昇級を断るとは、変わった男だ。」

 エスターはリースが断ったのが不思議だったようだ。

「いや、だからさっき言ったけど。」

 リースはエールを一口飲んだ。

G級冒険者が木製タグを指すメイプルと呼ばれるのは、平民の象徴だからだ。Fに上がるのは稀、その上に上がるのはもっと稀。もし僕がそれをやったら目立つに決まっている。


「ところで、さっきちょっと小耳に挟んだのだが。」 

 エスターは話題を変えた。

「ここから砂漠をもっと南に進んだ先に、ガイアの大穴という場所があるらしい。」

「聞いたことがあるね。」

「どうやって行けばいいだろうか?」

「行っても何もないらしいよ。なんか大きな穴があるだけで。」

「どうしても行きたいんだ。知ってることがあれば教えてほしい。」

 何か事情がありそうだ。

「わかりました。じゃあ、明日まで待ってもらえるかな。」

 二人は再会を約束して、この日はそこで別れた。



 翌日、エスターは船着き場へ連れていかれた。そこには、先日の船の半分以下の長さのプレジャーボートが待っていた。

「これは?」

「領主のハンティング用ボート。彼にはひとつ貸しがあったから、すんなり借りられたw」

 リースはニヤリと笑った。

「すごいな、君は!」

 リースの行動力には驚かされるばかりだ。

「実を言うと。」

 リースは真顔になった。

「僕も行ってみたかったんだよね。」

 

 船はすぐ出港した。領主のものだというボートは、先の貨物船の倍以上の速度で砂漠を疾走していく。

「さすが金持ちの船だなあ。思ったより速いねー。」

 リースは上機嫌でハンドルを操作する。

「これなら、こないだのように飛び移って来れないな。エスターは寝てていいよ。」


 小型船なのでキャビンも広くはないが、そこは富裕層のボートである。内装は豪華で、ふかふかのソファーベッドやバーカウンター、ミニキッチンと設備は充実している。

 食事になると、リースはスキルの保管庫からいろいろ取り出してテーブルに並べた。空調の効いたキャビンで食事をしていると、ここが灼熱の砂漠だということを忘れそうになる。

「保管庫スキルというのはすごいな。商人はズルいよ。」

 リースが何もない所からパンを取り出すと、エスターは驚く。それを人間レンチンで温めて出すと、エスターは目を丸くした。お湯を沸かしてお茶を淹れたり、ピッチャーの水を冷やしたりするリース。エスターの反応が面白くて、アイスクリームを作ってみる。

「アイスクリームというのか?何なのだこれは!」

 火魔法や水魔法は使い手が多数いるし、エルフの精霊魔法ならイフリートやフェンリルを使役する。でも、リースはスキルで温めたり冷やしたりする。

「魔法が使えなくても、物を温める方法はあるのさ。」

 両手を擦り合わせて温かくさせて、ようやくエスターに納得してもらえた。


 5日後、二人は目的地にたどりついた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ