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転生者

 白い空間。

 大広間。


 気が付いたらとにかくそこにいた。

(死後の世界か)


 近所のコンビニで弁当を買って、外に出たら、暴走車が歩道上の通行人をなぎ倒しながら…。

(僕も撥ねられたんだ)

  

 しばらくすると、目の前にやわらかい光の玉が現れた。本能的に神様だと理解した。

「新堂司さん、あなたは召喚に巻き込まれました。」


 僕を撥ねた運転手が召喚対象で、術の発動時に目の前にいた僕を巻き込む形になったという。本来の召喚者でない僕は行き場をなくして、生と死のはざまに今いること。肉体が失われているため、転生して赤ん坊からやり直すしかないこと。元の世界に戻るすべはないこと。


「ただ、あなたは本来あそこで死ぬはずではありませんでした。なので、転生後ある時期がきたら記憶を戻します。生きるべきだった残りの人生をおくりなさい。」

 25歳だったんだ。まだまだやりたい事もあった。

「質問ですが。魔法は使えますか?」


「魔法のない世界の魂では、魔法を発動できないでしょう。」


 例えば、外国語で話しかけられるようなものらしい。言われて納得した。


「私は世界に直接干渉ができませんが、世界には私の眷属がおります。それらを訪ねて回りなさい。きっと加護を得られるはずです。そのための力は与えます。」




 リースは、エクスプローラーのジョブが神様からのギフトだと理解した。

「じゃあ、振動スキルは。」

 異世界の知識があれば使いこなせる特別な加護をあげるとも言ってた。電子レンジって、電磁波で水分子を振動させて…。そうか!

「こんな感じか?」


 冷えたスープから湯気が出た。成功だ。


「リースはよく頑張った。あとは任せろ。」




 一夜明けた。


 リースはこの先どうするか考えた。まずはレベルアップを最優先にしよう。屋敷の裏は魔獣の森だ。昨日授かったスキルは、振動以外にコモンスキルがいくつかある。索敵、隠密、錬金、製薬、全装備、鍛冶、鑑定、収納庫。これを駆使して弱い魔獣から倒していく。武器は小屋にあったマチェット。

 

 森では、索敵と隠密を使ってスライム、ゴブリンから始めた。リースは剣術を鍛錬していたから、問題はなかった。

「異世界といえば、これはどうだろう。」

 振動ブレード。コツをつかめばすぐ使えるようになった。


 1か月後、リースは黙って屋敷を去った。誰にも見送られずに。

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