暗い影
ビンゴ。こいつも転生者だった。
「ねぎまの方がいいか?」
ガルーダはここで気付いたようだ。
「そうか‥‥お前も元地球人だな?」
「ああ、手羽先で飲むビール好きのリーマンだったさ。」
「こっちでも人間のままか。じゃあ、カス決定。」
「勝手に決めんなよ、チキンの分際で。」
「もういい、死ね!」
「ソーラーレイ!」
巨大な嘴でリースをつつき殺そうとしたガルーダは、リースが指先から放ったレーザー砲に胸を貫かれて、魔石を残して崩れ去ってしまった。
「そこと、そっちも!」
上空にいた仲間のガルーダを3羽、リースは撃ち落とした。
「これでたぶん全部だと思うよ。」
村人から歓喜の声が沸き起こった。これでもう安心。人も家畜も襲われることはない。あちこちから、リースたちを讃える声が聞こえる。すぐさま、村中総出で感謝の宴が用意され、四人は主賓として手厚くもてなされたのだった。
マグダレーナが酔いつぶれたタイミングで、残りの三人は秘密の会議を始めた。
「やはり同郷の奴だった。」
「そうか。で、向こうには伝わったと思うか?」
「たぶんな。マグダレーナが見た光景は、あっちにも見えてる。」
ルクレツィアが呪殺されかけた件で、相手はマグダレーナを介してこちらの様子を伺っているのがわかった。マグダレーナは竜の加護を得たおかげで生命の危険はなくなったが、呪詛の力が消えたわけではないのだ。だからこうしてマグダレーナのいない場所で秘密の話をすることにしたのだ。
「あの日いったい何を聞かされたんだろか。」
「家族か親友に裏切られたようなショックを受けていた。」
「家族は違うわね。彼女、養子だもの。孤児院と教会にに安くない寄付をして引き取ってる。学院にも通わせてるし、大事にされてるわよ。没落貴族の期待を一身に背負ってるって感じ。」
「詳しいな。」
「学院に優秀な子が二人いて、聖騎士団に入れるのは一人って聞いたの。だから、あぶれた子を私の護衛にできないかなって考えて、二人のことを調べたんだよ。もったいないじゃない?でも‥‥。」
「冒険者になってた、ということか。」
「そうね。忖度とか、出来レースとか、聖騎士団がそこまで腐ってるとは思わなかった。」
リースとエスターがマグダレーナを拾わなかったら、ルクレツィアに雇われていたはずだった。もっとも、あの洞窟で助けなかったらマグダレーナは命を落としていた。
「だからね、今こうして一緒に旅してるのが不思議な気がするの。巡り合わせというやつかしらね。何とかしてあげたいんだ。命を狙われた仕返しもね。」
ルクレツィアは、唇を嚙んだ。




