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神話

「大洪水の神話などは、古代文明の終焉の様子を断片的に伝えるものですが、私たちが力を行使すれば、それは再び現実になります。リース、あなたのいた世界の文明はここより進んでいます。その知識を持つ人間が大量にこちらへ来れば、いずれは古代文明の再興も成し遂げられるでしょう。」

「そうだと思う。」

「もう一つ気がかりなのは、あなたの世界の犯罪者を好んでこちらへ呼んでいる事です。これを見過ごせばこの世界の善悪のバランスが悪に傾くでしょう。それは阻止せねばなりません。」

 ミノタウロス王のような凶悪なのが、次々と現れたらどうなるか。事態は思ったよりも深刻なのかもしれない。

「リース、あなたに太陽の加護を授けます。その力で、この世界のバランスを取り戻してください。」

 



 下山はすぐ終わった。魔法障壁で作った箱で一気に斜面を滑り降りたのだ。エスターたちがギャーギャー言っていたような気もするが、気のせいだろう。

「宇宙ステーションか‥‥。どうやって行けばいいんだ?」

 飛行機さえない世界だ。気球で頑張るしかないのかな。とりあえずゴムが欲しい。リースは東南アジアにあたる地方へと進む事にしたのだった。



「リースがほかの世界から来たっていう話、半信半疑だった。でも、事実なんだよな。」

 ゴムの木の存在、生ゴムに硫黄を反応させて改質させるケミカルの知識。熱気球の概念と知識。リースを突き動かすものはいくつもあった。ふさぎ込んだままのマグダレーナは気がかりだし、あの山よりさらに高い場所にいるらしい星の聖竜にどうやって会いに行くか。現代の日本でも、ジェット機では行けない高度へのフライト。

「焦らなくていいんだ。時間はある。」

 エスターはリースの焦りを見抜いていた。


「いっそ、海の聖竜に先に会いに行くのもありだと思う。」

 それもな‥‥。一番深いところだったらどうする。千気圧に耐えられるシェルをどうやって作るか。失敗すれば命はない。

「エスター、そっちは最後にするよ。」

 リースには考えがあった。東方にあるヤマトという島国。そこでなら、気球に使う材料も、作成技術もあるだろう。その力を借りよう。リースは交易用に大量の砂糖や白蝶貝を買い込んだ。

「ヤマトへ行くぞ。」

「ヤマト?わざわざ行く価値があるのかい?」

「ああ。きっと僕らの助けになるはずだよ。」

 ルクレツィアの疑問にそう答えるリース。一行は船を乗り継ぎ、北東を目指す。


 ガルーダという大きな鳥の噂を聞いたのは、スリワヤという大きな島でのことだった。 

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