太陽の聖竜
残り100メートル。尾根伝いに這うように進むリースたち。そしてついに。
「やったー!」
「やったな!」
「やりましたね!」
「やっと着いたよ。」
リース、エスター、マグダレーナ、ルクレツィア。頂上の四畳半ほどのスペースに並んで立った。リースは用意していた日の丸を立てた。
「何だい、それは?」
「僕の故郷の旗さ。」
ルクレツィアに答えるリース。
「記念撮影がないのが残念。」
「キネンサツエイ?」
「僕の故郷の風習だ。」
マグダレーナの疑問に返事するリース。
「何でこんな所まで来たの?」
「それは、聖竜に会うため‥‥。」
いつの間にか、もう一人女性が立っている。オレンジ色の薄いバスローブのようなのを着ている。
(その格好で寒くない?)
リースは疑問に思った。
「寒くないぞ‥‥。てか、気にするトコ、そこっ?」
女性は少し驚いたように言った。
「まあ、立ち話もアレだ。うちに案内しよう。」
五人は光の球に包まれた。それはふわりと浮き、テントのあった場所まで移動した。すると岩が横にスライドして、洞窟が出現した。光の球はその中にスーッと吸い込まれていった。
「天の岩戸‥‥。」
短い洞窟の先に少し広い場所があり、リースたちはそこで解放された。竜に逢ったことのないルクレツィア以外はもう、この女性の正体に察しが付いている。
「遠いところをようこそ、皆さん。」
謎の女性は改めて言った。
「お会いしとう御座いました、日の聖竜さま。」
四人の前に立つ彼女に、リースはお辞儀をする。エスター、マグダレーナが続く。それを見て、頭を下げるルクレツィア。
「千年ぶりのお客さんです。歓迎しますよ。」
「初登頂じゃなかった‥‥。」
「頂上に立ったのはあなた方が初めて‥‥気にするとこはそこなんですか。」
「すみません。ところで、何とお呼びすれば?」
「ソルラと、呼んで頂ければ。」
ルクレツィアだけはまだ、状況がよく吞み込めていない。
「エスター、私たちはドラゴンに会いに来たはずなのだが?」
小声で聞いてみる。
「目の前にいるじゃないか。」
「ルクレツィアさん。私たちは神と世界の間に在って、間を結ぶ者。生物ではなく、形も定まっていません。ドラゴンと呼ばれる姿は、力を振るう時のもの。今は対話のために、人に似せた姿をとっています。ご理解ください。」
「心の内が読めるのですね。」
「そうです、星の巫女よ。ここを訪れた理由も分かっていますよ。」
日の聖竜ソルラは、微笑んだ。
「では、お一方ずつ、お話をいたしましょう。」




