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スターゲイザー

 ルクレツィアには六つ年上の姉マルゲリータがいる。皇太子ピエトロはその四つ下。弟ピエトロが10歳で皇太子となった際、14歳で摂政になった才女だ。それから15年、文官の姉、武官の弟は病弱な父に代わって実質的に国を動かしている。ルクレツィアはピエトロの二つ年下になる。


 ルクレツィアは姉や兄とはまた違った力を持っていた。世間的には四属性持ちのメイジとして知られるが、彼女の本質はそこではない。星読みの力こそがルクレツィアの真骨頂なのだ。ルクレツィアは時々、国の将来を左右する出来事についての予知夢を見ることがあった。


「おまえは四属性だけど、魔法使いとしては二流止まりさね。」

 一族の中で唯一、星読みの力を持つ大叔母はルクレツィアにそう言った。

「ただ、星読みの力はあたしなんかと比べ物にならない。だからおまえはその力を磨くといいさ。」 

「いいかい、星読みの力とは、自然の声を聞く力だよ。自然と仲良くできない子には、何も話しかけてくれないからね。」

「星読みの力は、エルフの魔法に通じるものがあるのさ。」

「人間の友達よりもエルフの友達の数が多いくらいじゃなきゃ駄目さね。」

 大叔母は幼かったルクレツィアに、心構えを教えてくれた。その甲斐あってか、ルクレツィアは占星術師の才能を開花させていった。


「邪法が流布する時、世は乱れる」

「偽りの聖剣は折れる」

「神の代理者は遠き世界より来たれり」

「エルフの女王の助けがある」


 ルクレツィアは騎士学院では人付き合いの悪い姫殿下、偏屈で不愛想、変わり者として有名だった。知り合いができるたびに占ってみるものの、打算、軽蔑、嫉妬、憎悪といった具合にろくな結果が出ない。そんな中でも何人か、本音で話せる友人もいた。賢者ミュラーもその中にいた。


「最近浮かんだ言葉を書き留めてみたんだよ。どう思う?」

 ミュラーはちょっと考えてから、行方不明だった弟が最近見つかった話をした。サンドリアのケルベロス事件だ。もう一人の弟の聖騎士オルテガが剣を折られた話。リースと一緒にいたエルフの話。

「関連がありそうでなさそうで、微妙。」

 ルクレツィアは言った。

「でもまあ、ケルベロス倒したそうだから、腕は立つと思う。姫の護衛として雇ってみれば?」


 ルクレツィアはそれで、リースたちを呼ぶ事にしたのだった。ただ、例の二つ名のことは知らなかったという。





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