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「これ、絶対断れないやつですね。」

「そうだとも。くれぐれも粗相のないようにね♪」

 ギルマスから渡された招待状。シーサーペント討伐の祝賀会へのご招待である。


「領主のゴルディーニ卿は遠縁にあたります。」

 ルクレツィアがため息をつく。

「これも兄様のさしがねかと。」

「だろうな。しかし困ったな。」

「どうかしましたか?」

「服が‥‥ない。」


 ルクレツィアだけは服を持っていた。だが、リースたちはそういう場を想定していなかった。あわてて大通りの店に駆け込んだのだった。標準サイズのマグダレーナはいいが、問題はエスターだった。

「ちょっと色が‥‥。それにデザインも可愛いすぎないか?」

「ほかに合うサイズがないでしょ!」

 そんな二人のやり取りを横目にリースは、女性は大変だと思う。タキシードを早々と手に入れ、ひたすら待つ。やっと服が決まったと思ったら、次は靴。そしてアクセサリーにヘアメイク。

(はぁ~、帰りたい‥‥)

 換金したばかりのシーサーペントの魔石買取代金は、こうして消えたのだった。


 宿に戻ったら、迎えの馬車が待っていた。リースたちは一息つく間もなく馬車に乗せられ、町外れの大邸宅へ連れていかれた。


「ようこそおいで下さいました、【ブルームーン】の皆様方。」

 屋敷の入り口で出迎えたのは、深紅のドレスの女性。

「当家の長女で冒険者のサーニャと申します。あの客船におりましたメイジでございます。」

 ルクレツィアが反応した。

「火の極大魔法の方?」

「はい、左様でございます。姫様。」

 ルクレツィアは一礼して言った。

「ロマリア皇帝が次女、ルクレツィアでございます。本日はお招きにあずかり、ありがとうございます。」


 領主夫妻、市長、警備隊長、有力貴族の面々、冒険者ギルド、商業ギルド、錬金製薬ギルド、鍛冶ギルド、政財界のお偉いさんたちと次々にご挨拶。リースとマグダレーナはともかく、不慣れなエスターはあたふたしている。

 一通り挨拶が終わると、エスターはご婦人方に取り囲まれていた。ルクレツィアはオジサン連中にマークされ、リースとマグダレーナは商人たちと世間話に興じていた。


「お集まりの皆様。」

 宴もたけなわの頃、ホスト役の領主が話を始めた。

「向かいにあるミノス島の迷宮に、数百年ぶりの異変が起こる兆候が、先日確認されました。」

 どよめきが起こった。

「このまま放置して迷宮崩壊ともなれば、甚大な被害も予想されます。そこで‥‥。」

 いやな予感しかしない。

「ここにおられる【ブルームーン】の皆様と【スカーレット】合同チームに調査を依頼したいと考えております。皆様、いかがでしょうか?」


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