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皇女ルクレツィア

 ルクレツィアは、ギルドで冒険者登録をしていた。顔は知られていないので、新人の魔法使いルクレツィアとして、無事に登録を終えた。童顔を利用して17歳と年齢詐称したのは身バレ防止のため‥‥らしい。

「ところで、リースという人を探してるんだけど、ご存じないすか?」

「あそこ、エルフのエスターさんの隣にいる人ですよ。」

 運悪く?リースたちがギルドにいた。職員に教えられて、ルクレツィアが近づいてきた。

「初めまして。ルクレツィアです。これ、お兄さんからの紹介状ね。」

 いきなり手紙を手渡されるリース。宛名は‥‥リースだ。封蠟にはトゥルガウ公爵家の紋章、差出人はミュラー。


『リースへ

 オルテガから聞いた。元気そうで何より。

 ところで、ルクレツィア皇女が、国外まで召喚魔法の調査をしに行きたいとおっしゃられたので、護衛役にリースのパーティーを推薦しておいた。いきなりだがよろしく頼む。

                                           兄より』


 頭痛がしてきた。リースは額をわしづかみにしながら、エスターたちに手紙を見せた。二人とも困惑している。

「何が書いてあったのだ?」

「ルクレツィアさん、詳しい話は後で。ついてきてください。」

 誰が聞いているかわからない場所で話はできない。リースは皇女をベルガー商会に案内した。


「すまんかった。」

 ルクレツィアは、手紙の内容を聞いてびっくりして謝罪した。

「帝国の軍人を護衛にすれば目立つから、冒険者を雇うのがいいと言われてね。リースなら商人でもあるから、遠方への旅行にも慣れていてオススメだと。」

「初耳です。」

「そなたたちの了解があると思っていたのだ。」

「ないです。」

 ルクレツィアは、肩を落とした。

「どうするつもりなんだ?」

 エスターが尋ねた。リースはちょっと思案して、ルクレツィアに言った。

「明日の昼、また来てください。」


 翌日、ルクレツィアは再びベルガー商会を訪ねてきた。

「準備はできています。どうぞこちらへ。」

 リースの案内で四人は裏口から出ると、待たせてあった辻馬車に乗り込んだ。馬車は裏通りを駆け抜けて、途中で一度乗り換えして、港に着いた。そこには高速艇が待っていて、四人が乗り込むと猛スピードで沖に出て、待っていた商船に乗り移った。

「ルクレツィアさん、追手はまきました。」

「尾行されていたのか?」

「昨日からずっと。」

「兄上であろう。あのシスコン皇太子が!」

 ルクレツィアは苦虫を嚙み潰したような顔をした。

「ルクレツィアさん、ようこそうちのパーティーに。」

「魔法使いをずっと募集してたんですよ。」

 エスターとマグダレーナがルクレツィアを両側からハグする。事情がイマイチ呑み込めないルクレツィアに、リースが笑いながら説明する。

「ベルガー商会は、商会員リースの護衛を冒険者パーティー【ブルームーン】に依頼しますw」

「リーダーのエスター以下メンバーのマグダレーナ、ルクレツィアの三名が任務に就きます。以上!」

 エスターがニコッと微笑んだ。


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