ボロボロの剣
下水道での事件から一週間。
リースとエスターはサンドリアにいた。ベルガー商会の店にいる所へマグダレーナが訪ねてきた。
「リースさん、いますか?」
「やあ、いらっしゃい。」
三人は一週間ぶりの再会を喜び合った。
「断ったんだな。」
「引き留めもされなかったんですよ。私の居場所は元々なかったんですね。」
「あのさ、こないだ言わなかったんだけど‥‥。」
リースは険しい顔になった。
「牡山羊を生贄に使う儀式というのはね、悪魔召喚なんだよ。」
「悪魔?」
「魔族か!」
エスターは顔をしかめた。だとすれば、何の目的で?考えても分からない。
「まあ、とにかく。」
リースは話題を変えた。
「マグダレーナの装備を買いに行こうか。」
リースは裏通りのちょっと分かりづらい店に二人を連れて行った。
「武器屋さんなら表の通りにも大きな店がありましたよ。」
「あそこは観光客相手の店だから、高いんだよね。」
三人は中に入っていった。
雑然とした店内でマグダレーナは剣を物色する。リースは掘り出し物コーナーを見ている。そして、1本の剣を選び出した。
「うん、これだな。マグダレーナ、これがいいよ。」
それは、刃こぼれのある剣だった。
「ボロボロだわ‥‥。」
そう言って手に取ってみたマグダレーナ。試しにちょっと振ってみる。
「またどうぞ。」
タダ同然だったのもあって、マグダレーナはそれを買って帰ってきた。直せば大丈夫とリースが囁いたので、その気になったのだ。ベルガー商会の二階で、リースはそれを直すと言う。
「まあ見てて。」
リースは取り出した大きな鱗で刀身をこするように撫でた。刃こぼれがたちまち埋められてゆく。
「鍛冶スキル持ちだからな、リースは。」
「錬金も使ってるよ。」
全部で5枚の鱗を使ったあと、剣は見違えるようにピカピカになった。
「振ってみて。」
マグダレーナはそれを振ってみた。
「あっ、すごい!」
マグダレーナは思わず声を上げてしまった。お店で手にした時にも感触は良かったが、何だろう、手にしっくり馴染む。刀身は美しく輝き、何かオーラのようなものを感じる。
「ミスリルだな。」
エスターが言った。
「ああ、ルナさんの鱗はミスリルだからね。錬金で剣の鉄成分と入れ替えた。」
「君は‥‥ドラゴンの鱗を使ったのか‥‥。いや、その前に、持ってたのか!」
「あと一万枚ほどあるね。」
「売りに出したら一枚で金一千以上になるぞ、それ!」
「それじゃ、この剣は金貨五千‥‥」
マグダレーナは卒倒しそうになった。リースは涼しい顔をしている。




