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本物の聖剣

 緊張が解けて泣きじゃくる私を、エルフのエスターさんは肩を抱いて慰めてくれた。リースさんは辺りを警戒してくれて、近寄ってくるスケルトンを始末してくれていた。

 

 私が落ち着くと二人は横穴の説明をしてくれた。

「教会が助けに来てくれたと思ったんですが、違ったんですね。」

「全くの偶然だな。でも、間に合ってよかった。」

 エスターさんは私の頭をくしゃくしゃと撫でた。


 その後に見たものを、私はきっと忘れることはない。


 洞窟の奥に何があったか。私の合格は最初からなかった。オルテガ君だけを聖騎士団に入れるために仕組まれた茶番劇。薄々感じていたが、いざこうして現実を見せられると、さすがに堪えた。命を落としてもおかしくない内容の試練を用意した教会にも、今は不信感しかなかった。


「月並みな言い方だけど‥‥。」

 別れ際にリースさんが言った。

「君は何のために、誰のために剣を振るうのか、考える時なんじゃないかな?」




 手ぶらで戻った私はその場で失格を言い渡された。ねぎらったり慰めたりする人はいなかった。聖騎士のジョブを授かって3年、聖騎士団への入団だけを目標にしてきたのに、今は何だか色褪せて見えてしまう。

(あの二人、すごかった)

 エルフのエスターさんは、長いサーベルを長い手足で華麗に扱っていた。剣そのものもとんでもない業物だったが、剣技もすごかった。試合をするならば私は、自分の間合いに持ち込めず瞬殺されるだろう。

 リースさんは商人だというが、自己流ではなくてキチンと修行した剣だ。体捌きの速さで、いつどこからでも打ち込んで来られやはり瞬殺されるだろう。

(副団長より上、団長といい勝負)

 騎士学院時代、聖騎士団や各国騎士団の団長クラスの人たちの演武を見たが、二人の強さはそんな名だたる騎士に比肩すると私は思った。


 次の日、私には聖騎士団の予備団員の打診があった。13ある聖騎士団のどこにも属さないで、どこかにケガなどで欠員が出た時に参加する身分だ。そうなると私は、オルテガ君にまで敬語で接しなくてはならないだろう。ほんの少しだけ残っていた私のプライドはそれを許せなかった。

「自信がなくなりました。お受けできません。」

 私の気持ちはもう決まっていた。洞窟を出てからずっとふさぎ込んでいたから、深く追求されはしなかった。

(エスターさんたちのような冒険者になろう。そしていつか、自分だけの剣、本物の聖剣を手に入れてみせる)







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