マグダレーナ
私はマグダレーナ。
西の大国エスパーダの貧乏貴族ガラリア騎士爵家の一人娘。
祖父も父も剣士で、父に至っては王宮勤めですらない。先祖代々の家はもう手放してしまっていて、今はどこかの貴族が愛人のために建てた別邸だった家に住んでいる。使用人は通いのメイドが一人だけ。名ばかり貴族だ。
私は聖騎士という良いジョブをもらえたので、一族の期待は私に集まった。ロマリアの騎士学園に留学もさせてもらえた。
私の不運は入学した学園の同じクラスに、話題の人がいたこと。彼はオルテガ・モーゼル男爵家の次男で跡取りだ。長男は数百年ぶりに現れた賢者として、超有名人だ。そんな彼に私は最初の定期テストで勝ってしまった。
私はただ、無理して留学させてくれた家のために頑張っていただけだった。だがオルテガ君はプライドが傷ついたのか、私をやたらとライバル視するようになった。
学園での3年間、私はずっと試験では1位だった。彼は背が高く筋肉質で力が強かったが、脳筋という訳ではなく、意外と勉強もできた。だから余計に私が許せなかったのだろう。取り巻きを使って嫌がらせもしてきた。根も葉もない噂を流されたりしたし、中傷もされた。
私は頑張った。家のため、何よりも自分のために。実技でも彼に負けたくなかったし、実務に就いた時に頼りになるのは腕だ。女の私は腕力では敵わないが、彼と互角に試合するために剣技を磨いてきた。首席で卒業すれば聖騎士団へ入団が許される。そのために鍛錬に明け暮れた。
卒業式、異例の首席が2名となった。式で壇上に上がって答辞を述べたのは彼だった。
聖騎士団への入団は、洞窟の試練の結果次第と告げられ、私たちは修行場のある南の大陸に連れてこられた。魔獣の出ることもある洞窟に入り、一番奥へ行って戻ってくるのが試練だった。彼がまず挑戦し、3時間でクリアした。私は翌日それに挑んだ。
今思えば、最初から結果が決められていたのだ。私が洞窟に入ってすぐ、スケルトンが出た。奥へ進むにつれて、私は沢山のアンデッドが襲われるようになった。与えられた疑似聖剣はどんどん瘴気に侵されていった。そしてついに、6体のソードスケルトンに囲まれた時に剣の限界がきてしまった。こうなれば剣はもうただの鉄の棒に過ぎない。斬ってもダメージを与えられず、私は追い詰められた。
(ああ、私はここで死ぬのだ‥‥)
私を救ったのは、エルフの女剣士と商人の少年だった。最初は教会の救援だと思った。でも彼らは一般の冒険者だという。関係者しか入れない洞窟に何故?疑問はすぐに解けた。洞窟は下水道とつながっていたのだ。彼らは清掃作業中に、洞窟へつながる穴を発見して、調べていたのだ。
「剣で斬りあう音が聞こえたのでな。」
「気になって来てみたらヤバそうだったから、助けなきゃってなった。」




