試練
リースたちは洞窟の入り口に近づこうとして、教会の前にいた男に止められてしまった。
「ここは神聖な儀式の場である。冒険者の来る場所ではない。立ち去られよ。」
「あ、すみません。」
リースはすぐ謝罪して引き返した。
「どうしたんだ?」
少し離れた場所で、エスターは聞いた。
「洞窟の中、アンデッドがうじゃうじゃいた。でも、あれ教会の神聖な場所なんだよな‥‥」
「そう言ってたな。」
「明日、ちょっと下水道の方から中を見てみないか?」
翌朝、二人は教会の横に来ていた。洞窟の扉が開いていて、数人の黒いローブの男がその前にいる。あと、聖騎士らしい女性が一人。暫くして、彼女だけが中へ入って扉が閉められた。
「一人だけ?」
「おいおい、それは無茶だって‥‥行こう、エスター。」
二人は昨日のマンホールから下水道に降りた。
横穴は自然に出来たもののようで、リースはあちこち削って広げながら進んだ。暫くして二人は洞窟のどこかに出た。照明があってそこそこ明るさはある。
「こっちだ。」
剣戟の音が聞こえてくる。近い。
聖騎士の女性は数体のスケルトンナイトに囲まれている。エスターがダッシュで距離を詰め、斬りかかる。
「あなた、大丈夫?」
彼女は、緊張が解けたのか、その場にへたり込んだ。
三人は例の横穴の前にいた。
「私は‥‥マグダレーナと言います。」
彼女はポツリポツリ話し始めた。
「お二人は教会とは無関係の冒険者というのは‥‥あの、本当なのですね?」
「そうだ。下水道の清掃をしていたら、ここに通じるこの穴を見つけて、調べていたのだ。」
儀式の洞窟に一般人が現れた理由は、実際に見てもらってやっと納得してもらえた。
「それで、試練でアンデッド退治をしていたのか。」
リースが尋ねた。
「それが‥‥その‥‥こんなにたくさんとは聞いていなくて。」
マグダレーナは俯いた。
「洞窟の一番奥まで行って、証拠として置いてあるロザリオを持ち帰るのが試練です。」
「じゃ、さっさと行って来れば?」
「もう無理です。」
マグダレーナは剣を抜いた。黒い刀身。アンデッドの瘴気に侵されている。
「これじゃ、もう先には行けません。聖剣がこんなになって‥‥。」
悔し涙がポタポタ落ちる。
「オルテガ君は試練をクリアしたのに‥‥悔しいよ。」
その名にリースが反応した。
「モーゼル男爵家か!」




