下水道
「では、パーティー名は【ブルームーン】リーダーは私、でいいな?」
「いいよー」
酔っぱらい二人は安直にいろいろ決めていった。
「一週間の謹慎、だってさ。」
翌日、ギルドのホール。パーティーの届出も済ませた。パーティーでの最初のクエストをどれにするか、あーだこーだ。魔獣の討伐依頼はなかった。迷い猫探しって、なんだかなぁ‥‥。
「だから、暇なんだよ。何でもするよ。」
「なら、社会奉仕活動よね。」
ということでエスターが指さしたのは、地下下水道の清掃作業だった。
ギルドで道具一式を借り受け、二人は地下下水道に入った。水を吹き出す魔道具は、通販番組でおなじみの高圧洗浄機のようだ。エスターが面白がって操作している。リースは落ちにくい汚れにデッキブラシを当て、高速振動。
「これが僕のスキルなんだよ。物を振動させることができる。」
リースは話す。
「それが戦闘に役立つもんかって言われて。家から追い出されたけど。」
ブロブが這い上がってきた。それを凍り付かせる。
「使い方次第なんだよな。」
振動を止めると温度が下がる。何度説明されてもエスターには理解できない。ただ、魔法のようだが魔力の動きがない。
「それ!」
ソニックブレードの解説もする。
「空気を超振動させて、刃の届かない所を切る」。
「サンドワームの時の!」
「正解だよ。」
「で、今から見せるのだけは、秘密にしてて欲しい。」
リースは下水道に月の波動を放った。潜んでいたブロブの群れが浄化されて消えてゆく。
「エスターのサーベルもそうだけど、教会には特にバレたら面倒だから。」
下水道の奥へ進むにしたがって、嫌な空気が強まっていく。そのうちアンデッドも出始めた。
「おかしいな。」
エスターも異変に気付き出した。
「僕の刀はミスリルだからいいけど、普通は聖水ぶちまけて退治する案件だよ。」
「それ、金貨ウン千枚の値が付く代物じゃ?」
「そんなの買えない。自作だからタダ。」
ミスリル鉱石ですら、恐ろしく希少じゃ?どうやって入手したのだろう?
スケルトンはミスリルの刃で倒せるが、ゴーストやレイスが現れると、エスターも焦りはじめた。物理攻撃無効、つまり魔法でしか倒せないのだ。だが、リースの波動はそれに対しても効力があった。
「退魔師になれるな。」
「これがルナの加護なんだ。」
二人はアンデッドを倒しながら下水道の最奥に着いた。壁が崩れて穴が開いている場所があり、アンデッドはそこから来るようだ。
「あれか。」
リースは頭を突っ込んだ。すぐに頭を抜き、聖水を取り出してそこに振りまいた。
「出よう。」
一番近いマンホールから、二人は地上に出た。そこは町外れの古い教会の横だった。隣には小さな洞窟があって、入り口は鉄の扉で閉ざされている。




