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港町サンドリア

 

「商船の護衛、確かに受付いたしました。」

「宜しくお願い致します。」


 リースは銀貨6枚をカウンターに置くと、奥にいる女性にペコリと一礼して立ち去った。

 彼の出てきた建物の入り口の上には、冒険者ギルドの看板があった。



 サンドリア。南大陸随一の街。北側は海に面していて、海の向こうの北大陸との交易で栄えている。港に着いた定期船から人が多数降りてくる中に、長身のエルフ族の女性エスターの姿があった。軽鎧にロングサーベル。冒険者の出で立ち。潮風が彼女の肩まであるブロンドを揺らす。


(仕事、探さないとな。宿代も必要だし)

 

 大通りは活気に溢れ、物売りの声、荷車の車輪の音、いろんな音に満ちている。エスターは屋台の串焼をかじりながら歩く。雑貨屋や怪しげな薬売りの露店を冷かしながら通りを抜けた先に、中央広場の噴水が見えてきた。


(ギルドは噴水の前だったな)


 噴水の真ん中に立つ女神像、その正面にギルドの立派な建物はあった。


 正面ロビーの奥が階段、右側が酒場で左はクエスト受注カウンターや掲示板。


「初めて見る顔だ。ひとりかい?」

 昼下りから飲んでいる冒険者。既にひと仕事を終えての祝杯か、仕事にあぶれたクチなのか。エスターは話しかけてきた男を見る。三人組の剣士・槍使い・軽戦士のパーティー。前衛ばかりでバランスが悪いのだ。

(ああ、後衛が欲しいのだな)

 エスターは彼らを見下ろして、ドスの効いた低い声で不機嫌に答える。

「私よりも強い人はいないのか。」

 エスターの胸元で揺れるC級タグは上級冒険者のしるしだ。彼らはⅮ級、格下だと分かると急に弱腰になり、スゴスゴと引き下がってしまった。

(魔法が使えないと分かれば追い出すくせに)

 

 エスターは貼り出されたクエストを見ていく。一枚の紙が目に留まった。

「砂船、何だろう?」

 ボードの前で掲示のチェックをしていた制服姿のギルド女性職員が、不思議そうなエスターの疑問に答えてくれた。

「砂漠を走る船があるんですよ。ワイバーンの魔石で砂の上に船を浮かべて滑らせるように動かす、魔道具の一種ですねー。」

 エスターはクエストの内容を確認した。明日出港する貨物船の護衛、Ⅾ級以上のソロか4名以下のパーティーに限るとある。条件は大丈夫だ。行先は内陸のオアシスだし、自分の行きたい方向とも合っている。タダで船に乗れるのは有難い。

「この依頼を受けることにする。手続きを頼む。」

「分かりました。では、こちらへどうぞ。」

 彼女は掲示を外すと、カウンターへエスターを連れてゆき、受付嬢に紙を手渡した。受付印を押した紙を返却され、礼を述べてエスターはギルドを後にした。


(あとは、宿だな)

 エスターは宿屋を探すために歩きだした。

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