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2話 盗賊

翌日俺は王都から離れた場所にあるラグザ坑道へとやってきていた。


俺と同じホルキス竜騎士団員であるナタリーとミーシャに竜騎士団が国外追放になった事を知らせるためであった。


ナタリーが驚いて俺に聞いてきた。


「ええ??私達が国外追放になったの???」


「そうなんだよナタリー。ホルキス竜騎士団まるごと国外追放だと。竜騎士団員全員とドラゴン達にも全員出ていけだとさ。」


ナタリーは俺より一つ年下の16で、鮮やかなピンク色のショートヘアーで容姿の整ったかわいい顔をしていた。


胸もまずまずの大きさでスタイルのよい女子だった。


「一体何があったの?」


「勇者クレシーと賢者ラズバーの差し金なんだよ。あいつらにとっては俺達竜騎士は竜にまたがるだけの無能者なんだと。そんな役に立たない連中はこの王国には置いておけないんだとさ。」


「そんな事勇者クレシーが決める事じゃないでしょ?」


「俺だってそう思うさ、だがクレシーは国王様をひどい暴行を加えて無理矢理いう事をきかせてたんだ。」


「ひどい!!なんでそんなことをするの!!私達一生懸命仕えてきたつもりだよ!!」


「ああ俺達は国王様や王国の人々に為に精一杯仕えてきた。それをクレシーの奴なんかに否定されてたまるかってんだ。」


「国外追放なんてまるで罪人だよ。本当にひどいよ。」


するともう一人の竜騎士であるミーシャが俺に尋ねてきた。


「ねえ??私たちに何か落ち度があったかな??」


ミーシャは俺より四つ年下の13で茶色の髪の毛でショートヘアーだった。


顔は童顔で胸も小さく華奢な体格だった。


俺がミーシャに言った。


「冷静に考えても俺達は全く悪くないだろう。」


ミーシャが安心した顔で俺に言った。


「やっぱりそうだよね。」


「クレシーは本当にひどい奴ね。」


「全くだ。」


「それでナタリー??ミーシャ?団長から伝言だ。現在の任務をすぐに中止してカリーナの宿屋に集合してくれ。との事だ。」


「なんでカリーナに集合なの?」


「カリーナが国境近くの町だからだろう?ホルキス王国から脱出するのなら、国境近くのカリーナに集まる方が色々と動きやすいって事だと思う。」


「なるほどね。」


「それじゃあレティシア様はもうカリーナに着いてるの?」


「いや神殿に寄ってからカリーナに向かうと言われてたから団長もカリーナに向かってる途中じゃないか?」


俺は竜騎士団のみんなに通信魔法でこの事を伝えていた。


ナタリーとミーシャは別の任務中だったので、直接俺が伝えにきたのだった。


「じゃあ私達が最後なんだ?」


「ああ、竜騎士団の他のみんなは全員この事を伝えてある。多分みんなもうカリーナの宿屋についてる頃だと思う。」


「なら私たちもカリーナに向かった方がいいんじゃない?」


「そうだな。」


俺はナタリーとミーシャと一緒にカリーナへの道を進んでいった。


ナタリーとミーシャはカリナー近郊にあるラグザ坑道にて任務中だった。


そこからは歩いて一日もかからない距離にカリーナがあり、俺達は足早にカリーナへと進むのだった。


歩きながら俺は隣を歩いているナタリーに言った。


「ボルシードに乗っていけばひっと飛びなんだけどな。」


「仕方ないよ、ドラゴンに乗る事ができるのは降竜の許可が下りた時だけだからね。でもどうするジャン??先を急いでリズベルト山道を超えちゃう?この近くに宿屋があるから一泊していくってものありだけど?」


「団長から時間指定は受けてないが今は時間が貴重なはずだ。少しでも早くカリーナに到着した方がいいだろう。他のみんなはもう到着してる頃だろうしな。」


「だったら急いでリズベルト山道を超えた方がいいね。この山道を越えればカリーナまですぐだし。」


「じゃあこのまま進んでリズベルト山道を抜けるぞ。」


ナタリーとミーシャが俺の言葉に頷いた。


「うん分かった。」


「了解。」


それからまたしばらく山道を進んでいったが、しばらく歩いた所でナタリーが前を指さしながらこう言ったのだった。


「あれなんだろう?」


俺はナタリーが指さした方を見てみた。


すると前方方向にとある一団がリズベルト山道を塞いでいるのに気がついた。


「どこぞの盗賊じゃないか?盗賊達が道を塞いで通行料を巻き上げてるんじゃないか?」


「ああ盗賊か、ありそうだね。」


俺達はそれを確かめる為に先に進んでいった。


すると鎧や剣で武装した男達がリズベルト山道を塞いでいたのだった。


男の一人が俺達に話しかけてきた。


「へっへっへ!!この先を通りたければ通行料10万ティルを支払いな?」


「お前らは何者だ??」


「俺達は泣く子も黙るラケル盗賊団よ。今日からここはラケル盗賊団の縄張りになったのさ!!」


俺はため息をついて言った。


「やっぱり盗賊か。」


「ジャンの言う通りだったね。」


「構わない?先に進もう。」


「了解。」


俺達は盗賊達を無視して先に進んだのだった。


「でも山を越えるんだったら宿屋に行ってまず装備を整た方がいいんじゃない?」


「リズベルト山道はそこまで険しい山道じゃない。なんとか装備なしでもいけるだろう。」


「そうだねみんなを待たせるのも悪しこのまま宿屋には寄らずに進もうか。」


するとさきほどの盗賊達が慌てて追いかけてきたのだった。


「おい、金も払ってねえのに、何勝手に通ってやがる??」


「勝手に通るも何もここは公道だろう。通るのに誰の許可もいらないだろうが?」


「ラケル盗賊団の縄張りになったって言っただろうが!!」


「だからお前らの道じゃないだろう?公道を通ってるだけなんだから、通行料なんてお前らに払う必要ないだろうが!!」


俺はまっとうな意見をしたつもりだったが、盗賊達は気に入らなかったようで怒り出したのだった。


「小僧舐めた口きいてるんじゃねえぞ!!」


「ちゃんと通行料を払ってりゃ死なずにすんだものをな!!ここまでコケにしやがってもう容赦しねえ!!お前らにはここで死んでもらうぞ!!」


盗賊達はそういうと剣や槍を構えたのだった。


「ラケル盗賊団に喧嘩を売ってしまった事を死んで後悔しな!!」


俺はため息をつきながらナタリーとミーシャに言った。


「しゃあない、ナタリーとミーシャは先に行ってくれ。」


「分かったわ、ジャンありがとね。」


「ミーシャ??団長に少し遅れるって伝えておいてくれ。」


「うん、了解。」


そしてナタリーとミーシャは山道を足早に駆けていった。


俺は二人の後ろ姿を見送った。


すると剣を構えた盗賊達が俺に言った。


「ほう小僧?涙ぐましい事をするじゃねえか?」


「ああ、自分を犠牲にして仲間を逃がすなんてな。小僧??俺達に金を払っておけば良かったと後悔してるだろう?どうだ??」


俺は頭をかしげながら盗賊達に尋ねた。


「お前ら何言ってるんだ??」


「お前が仲間を逃がすために自分から進んでオトリ役を引き受けただろうが??」


「オトリ役??誰が??」


「小僧、お前に決まってるだろうが!!」


「ああ、そういう事か。いいか!!おまえらぐらいの弱い奴だったら三人で相手をするまでもねえって事だよ、おまえらぐらいだったら俺だけで全然余裕だって事だ。だから二人には先に行ってもらったのさ。」


「ガキ??なめた口聞くじゃねえか、こっちが何人いるか知ってるのか?こっちは20人だぞ?」


「でくのぼうが20人だろう?」


俺の言葉に盗賊達は激高していた。


「ざけんな!!ガキ!!!」


「やっちまえ!!」


盗賊達が剣を持って襲いかかってきた。


盗賊の一人がスキルを構えていた。


「これでも食らいな!!三連斬撃(トリプルスマッシュ)!!」


「なに?剣術のスキルだと!!!」


俺はこれを体を後ろにそらしてそれを回避した。


俺は少し感心しながら盗賊達に言った。


「剣術スキルを覚えてやがるのか?それに盗賊にしてはいい動きするじゃねえか?」


盗賊達が大声で叫んだ。


「今さらビビっても遅いんだよ!!!」


「小僧!!自分の無力さを恨むながら死んでいけ!!!」


「盗賊共!!その言葉そっくりそのまま返すぜ!!!」


そして俺はあるスキルを発動した。


俺のスピードが大きく上昇した。


盗賊達は俺に斬りかかろうとしたが、俺のスピードにまったくついてこれずに何度も盗賊達は空中に剣を振るだけであった。


盗賊達は俺に触れる事すらできずにいきり立っていた。


「くそ??高速移動(クイックムブー)か!!!」


「ちいちょこまかと動きやがって!!!」


「逃げ回るなんて卑怯だぞ!!!小僧!!ちゃんと正面から戦え!!!」


俺が高速で動き回わりながら盗賊達に尋ねた。


「えっ??正面から戦っちゃっていいのか?」


盗賊の一人が大声をあげる。


「そうだ!!正面から戦え!!この卑怯者が!!」


俺は盗賊に言った。


「なら正面から勝負してやるよ?」


俺はドラゴンスキルの一つである竜拳突(りゅうけんずき)をこいつらに軽くお見舞いしてやる事にした。


竜拳突(りゅうけんづき)!!!」


俺の竜拳突を食らった盗賊は次々に後ろに吹っ飛ばされていった。


「ドラゴンスキルだと??」


「なんでテメエみたいなガキがそんな特殊スキル使えるんだ??」


「ガキ一人にてこずってるんじゃねえ!!魔法だ!!魔法で片付けろ!!」


ちっ?魔導師がいるのか?それは厄介だ。


魔法で状態異常にされるとめんどくさいな。


俺は盗賊達より先に魔法を使い先手を取る事にした。


俺は魔法の詠唱を始めた。


「この者達に等しく闇を与えたまえ!!ダーク!!!」


俺の魔法がしっかりかかったようで盗賊達は大混乱に陥った。


「前が見えねえ???」


「小僧??てめえなにしやがった???」


「状態魔法のダークだよ。ダークでお前らの視界を奪っただけだ。」


「小僧?テメエ状態魔法まで使えるのか?」


「状態魔法だけじゃないぜ?攻撃魔法も使えるぜ。」


「なに?」


俺は詠唱を始めた。


「凍てつく冷気よ、この地を全てを凍らせよ!!凍結帯(フローズンエリア)!!!」


俺は氷系の攻撃魔法である凍結帯(フローズンエリア)を発動したのだ。


俺の凍結帯(フローズンエリア)の魔法によって大きな氷の柱がいくつも現れて盗賊たちが全員氷漬けになった。


「はいイッチョあがりっと。」


「お前らもう通行料なんて取るんじゃねえぞ!!分かったな!!」


俺は氷漬けになった盗賊達にそれだけ言うと、ナタリー達を追って山道を歩いて行った。


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