夢で見た通りに婚約破棄をされましたわ万歳! 女好き王太子と別れられましたわ!これでやっとお昼寝し放題です。
「フレア、お前がわが愛しいマリーをいじめた罪により、ここで婚約破棄を宣言する!」
私はやったあと心の中で思いましたが、ばれたらまずいと神妙な顔で殿下の宣言を聞いていました。
マリーさんははらはらした顔でこちらを見ています。
大丈夫、笑ったりはしませんわ!
「マリーの陳情により、辺境送りはしない。とっとと家に帰るがいい!」
「ありがとうございます……」
マリーさんがちらちらとこちらを見ます。ほらほらダメダメという仕草をしています。ごめんなさい少し笑ってしまいましたわ。
私はなんとか頭を下げ、そして踵を返して……舞踏会の会場を出ましたの。
「やりましたわ! やっとあれから解放されましたわ、マリーさんありがとうございます! あはははこれで私は自由、自由、自由ですわ!」
私は私室に戻る踊ります。浮かれます。お父様にあの騒ぎがばれたらこんなことはしてられませんが。
あいつと離れられましたわ!
「うふ、やりましたわ!」
私はやっとやっと自由だ。と喜びます。
ええ、実は私、あれと8歳から婚約をしていましたが、あのバカさ加減についていけず、どうにかして婚約破棄をしようと考えてましたの。
夢で、今の光景で婚約破棄を言い渡されるのを見ましたの。
私はたまに、本当にたまにですが、未来の情報を夢で見るという特技がありましたの。
いつどこでというのが特定できにくいので、あまり役に立ちませんが。
12歳の時、あの夢を見て、そして15歳でマリーさんを見たとき、アッと思いましたの。
あの子のおかげで婚約破棄をしてもらえると!
そしてじっと観察をしていましたところ、どうもマリーさん、生活に困っているようでした。
貧乏男爵の家の令嬢が魔法学園に通うなんて金銭的に大変でしょう。
私はそっとマリーさんに近づきそれとなく事情を聞くと、やはりご実家が大変な様子。
私は、どう? あなた私と立場を代わってみない? 私は殿下の婚約者なんてもういやですのと話をしてみました。
すごく驚いていましたが……。
まず一つ、殿下はバカです。
八歳の時「俺は胸があるほうが好きだ。なのにどうしてお前みたいな胸なしが婚約者なんだ!」と言いましたが、八歳で胸があったほうが怖いですわ。
あと、殿下は女好き、巨乳好きです。マリーさんもよいお胸をしています。
私はまあ……だから殿下は不満そうでした。
私はバカと自分のお話をいろいろとしてみましたところ、マリーさんもうーんと首をひねりました。
あのバカの婚約者になることと、ご実家の金銭面の大変さを天秤にかけ、最後、前者を取られました。
跡取りである弟君のことを思えばこそでしたわ。泣かせます。
私はあのバカの好みをお話ししました。胸、頭からっぽ、あとは色気を振りまく女。
私はマリーさんにそれを演じれば必ず好かれるといいましたわ。
マリーさんはうまく演じてくれました。そしてとうとう、まああの展開になったわけです。
ああ、これでやっとやっと夢の居眠りライフが手に入りましたわ!
「おい、フレア、お前一体何をした!」
お父様が私室に怒鳴り込んできましたわ、私は仕方ないので、これまでのことをお話しました。
あのバカが浮気をして、私が浮気相手をいじめたという罪をでっちあげ、婚約破棄をしたと……。
「そうか。殿下の好みではお前はなかったものな……」
「胸を見るのはやめてくださいお父様!」
「おお悪い」
ああ、もう少し胸が大きければと何度もいうお父様、お母さまがあれなので仕方ないです。
そういうとそうだなとうなずくお父様。貧乳好きなのですわよねお父様って。
「お前には否がないと陛下も言ってくださったし……家までは影響がないからままいいか」
「お父様も適当ですわね」
「お前、殿下との婚約を嫌がっていたしなと思ってな」
「まあそうですわね」
実は私のお母さま、王家に連なる血筋で、おバカ王太子の婚約者は血縁をあてがって、なんとか王権を強化しようとしていたのは知っていますわ。
あれとまたいとこにあたるのは本当に嫌ですが。
「これからどうするんだ?」
「そうですわね、一獲千金を狙いますわ」
「なんだと?」
「私のあの能力を使って!」
「……あの役に立たんあれか?」
「役に立つこともありますわ!」
私が見た夢は未来の情報、なれば何か有用な夢をみれば、私は予知者として一獲千金ですわ。
予知者は害されると聞きますから、そうですわね、戦争、天候の悪化などなどうまくコントロールして夢で見れば、情報を売れますし!
「何とかしてみますわ。ではおやすみなさい!」
「お前なあ……夢を見るのもたいがいにしなさい」
夢をみなければどうしようもないのですわ。あ、実はこの後夢で見たんですが、マリーさん、やはりあのバカの女好きに耐えかねて、婚約破棄を申し出られました。
殿下はずっと独身で……これから先の末路は少し気の毒すぎて何とも言えませんが。
まあ、あれが幸せになれるとしたら、バカを改めるときくらいでしょうねえ。
ではおやすみなさい。
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