危機回避では救えない者もある
「エルフシタ、今の状況に合う動画をくれ」
エルフシタが検索を開始する。
『この次元の検索ツールで見つかったのはAIと漫才実況です』
「あぁ、それでいいよ」
『了解しました』
疑似無重力発生装置の中に入り体を伸ばす
『ご主人!敵は銃で倒すのが効率的ですよ』『なわけあるかーい!!これファンタジーじゃろが!!』
「はっはっは!やっぱ最高だな……あ、あれ?なんで涙が」
気付けば泣いていた。笑いながら。
時は変わり現在6700年、年終わり前13日
「これよりA班突入する」
TTM5901に時空警備サービスがのり動き始める
「時間設定は1600年。追加で付近全体倍速監視システム展開」
「少年らがどの時間にきたとかわからないからなぁ」
「次元層のほう行きますか?」
「そうだなぁ、ってかさ?ナンバー潰れたTTMの移動でしょ?だったらはじめからそっちじゃねーかってんだ」
「でも申請許可いりますよね」
「ん?そんなもん飛ばせ」
「駄目ですよ!!先週もその案件で怒られたんですよ?」
「だあぁ話のわかんねぇ部下を持つと困るよな笹尾」
「いや、自分もいやっすよ」
「ほら!まったくです!!」
「あのぉ~申請許可一応取ってますよ?」
「「「おおお!!!」」」
「流石委員長!」
「もう、学生じゃありませんよ!!必要でしょ?旧機体でパラレル行くには」
「まぁな~、んじゃ飛ぶ?どーせ監視システムが常時異常を探すし」
「ですねー、一応社長にアポは」
「アポなんていらねぇよ。しくったら俺のせい、成功したら宴だ。てぇした問題はない」
TTMの行き先を次元層に移行し出発した。
「くらっ、明かりとかつけれませんかね」
「バカいえ200年前だぞ最後に使われたのは」
「えぇーならさ200年前に行こ」
「駄目だわ!!俺らは他の時間、他の世界に介入してはいけないってあるだろ?昔は使ってたんだ。遭遇したら一生ムショかもしれねぇぞ」
「えぇーなら早くさがそ」
「あ、痕跡を発見しました」
「型番は?」
「不明ですね。ただ追跡は可能です」
「型番不明か、怪しいな。注意して進めよ?」
「了解」
TTM6700内部
「よく寝れたのか」
「えぇおかげさまで」
「それでよ、進展あったが聞くか?」
「はやく話して!!」
「だな、遂に見つけた。時空の綻びからどの世界に飛んだか割り出したらビンゴだ」
「さすがアヤ!そんでコイツで行けるのか?」
「いけるも何もこれから試すんだよ!」
「そ、そうだった」
「んじゃ行くぞ!エルフシタ逝くよ!!」
『了解しました、では二人とも安全器具を着用してください』
「ほいほい」「はい」
『それではご案内いたします』
ザザッと異音を立て暗闇が割れる。
「うへーほんとに行けた!模擬の時は爆発したんだけどな!!」
「え、そんなものに私を乗せたんですか!!!」
「なになに、マツボウっていうお守りがあるんだ。安心しな」
「ぎょええええ」
暗黒が開ける
「さぁついたついた」
『マスクを着用してくださいね、こちらの世界瘴気が広がっております』
「ひでぇ空気だな、もうカメラが曇ってるわ」
「ほんとにここに子供たちがいるんですかね」
「居る、もしくは居た。さてこんなところで話してても埒が明かん、行くぞマツボウ」
「あ、はい。ってマスク!マスク」
「あ、すまんな」
マスクと念のための保護スーツを着て世界に降り立つ。
「こいつをしまってと」
TTMが人型ロボットに変化する。
『やはりこちらのほうが動きやすいです』
「エルフシタ??」
「だが?どうかしたのか」
「いや、すごいなと。これなら痕跡を辿りながら動ける」
「すげぇだろ?いやー正直こっちを試したかったのもあったがな」
「でもなぁ車とかになるともっと便利な気も」
『機能的に車?は無理ですが移動用の乗り物にならなれますよ』
「え?まじ!やっぱ俺って天才か」
『アヤが私をプログラム後TTMの作成の半分を投げたのでその時に』
「なんというか、ついてけないよ」
「んじゃ頼むわ」
『了解しました』
ソファーに机。二人で座って少し楽なくらいの広さの車?に変わった
『追跡を開始します。瘴気の薄いルートを検知しました。そちらに切り替えます』
「便利だなー、ほらみろコーヒーも飲めるぞ」
「発明品の性能くらい覚えといてくださいよ」
「しゃーないしゃーない。技術的特異点が起きた現代で人間の俺ががこう追いついてるのが異常なんだよ」
「でしたね」
雑談も冷めたころ
『マーカーが消えました』
とエルフシタが言った。
見ると大都市の真ん前まで来ていた
「はぁーん、ここで乗り捨てた感じだな」
「追跡困難か、まぁ近くに都市もあるし聞き込みするか」
「おーけー、エルフシタも人になっとけ。瘴気に満ちてる世界にロボは不自然だからな」
瘴気の無い都市【ダストガ】
「はぁーやっぱマスクないのは最高だ」
「ですね、途中何回もばててたし」
『この都市を囲っている空間は特殊ですが、機械的ではないので解析に時間がかかりますが、解析しますか?」
「しなくていいよ、とりあえず怪しまれないように動くぞ」
「じゃぁ商人とかか?」
「バカか、この世界のこと知らずに商人できるかってんだ!家族で行くぞ」
『では私と松野さんが夫婦でアヤは子供ですね』
「はぁ?俺は子供やだ!!」
「いや、子供っぽいじゃん」
『ですね、アヤが一番子供に適任です』
「ふん!!エルフシタはしばらく安物で生活してもらうからな!!」
『元々過酷な環境での生存も想定しています。なので泥でも動きますよ』
「マツボウぱぱぁぁ!!」
「さて、茶番は置いといていくよ」
空港のような場所から入ったが特に検問みたいなのもなく都内観光を始めた。
「お、見ない顔だね。串鳥買ってくかい?」
人というには少し歪な為、表現としては人に似たなにかだろう。
言語も通じるし友好的で疑心の欠片もない。
「いや、すまない旅をしているんですが無計画に出たもので持ち合わせがなく。はっはっは」
「ならおいらのおごりだ」
「い、いやそれは」
「いいから受け取んな!!」
「ありがとうございます、なんとお礼を言えばいいか」
「いや、いいんだあんたら勇者だろ?手厚く歓迎するぜ」
「ん?勇者?今勇者っていった??」
串鳥を食べていたアヤが目を輝かせながら食いついてきた。
「ああ、嬢ちゃんはそういうの好きかい?」
「おうよ!」
「あの、勇者ってなんですか」
「勇者っての千年に一度な、異界からきて、瘴気の原因である化け物を退治する英雄じゃ」
「もしかして今年がちょうど千年とかありますか?」
「そのまさに今日が千年だ、かつて三度は見たが今回は異例じゃな」
「ふむ、この世界は色々特殊なようだな」
「でな?いま賑やかだろ?来る三日前くらいから用意して祭りを開くんじゃ」
「あの、つかぬ事を聞きますが最近我々より若い異界の方は来ましたか?」
「いや見かけんかったけどなぁ。そうじゃ役所に行ったらいるかもしれんな」
「ん?その言い方だと私らのような人たちが他にもいるってことですか?」
「おうよ、くる年は400人規模だな」
「勇者ってより観光客?」
「まぁなんだ困ったら俺ら頼ってもいい。役所にいってもいい!だからゆったりしてくれ」
「しかしその化け物退治は」
「説明は向こうが詳しくしてくれるんじゃが。どうもな、異界のものしか使えない兵器があるそうじゃ」
「あーそんな感じですか」
「それでしか効果はないようなんじゃ」
「串鳥の恩もあるし、私たちもそこに参加しますよ」
「ありがとうございます。でもきつかったら無理をなさらずに」
人通りの少ない場所まで来て一息ついてるとアヤが語りだした。
「なんいうか話が薄すぎて怪しいぞ」
「ん?にゃにが?れつにあやひく」
「食べながら話すな!!いや、勇者って言葉を使って騙そうとしてるか?」
「考えすぎでは?それに受けた恩は返すってのがやはり人間としての」
「はぁ、マツボウの頭じゃ無理か。エルフシタはどう思う?」
『そうですね、この世界に繋がる線がないので独自で解析した結果。信用度は36.25パーセントです』
「ほらなぁー」
「いや、でも合理的ならアヤの意見だけどホントだった時を考えるとやっぱり捨てておけないよ」
『ですね、仮に何かあっても私が死守しますので』
「けっ、なんだってマツボウの肩を持つんだ」
『松野さんの目的を果たすためでもあります』
「はぁーそうだった。まぁ危険招致ではきたけどこんなすぐに危機が訪れるとは……」
「では後少し休息したら役場とやらに向かいますか」