仲間と戦いの覚悟
「武器・・・ですか。」
「そう、このゲームで武器も持たずに行動するのは危険だと思うんだ。特に僕は普通に戦闘するから敵と戦う機会はどうしても多くなると思う。それで智香には持っているだけでいいから何か武器を装備して欲しいかなって。」
「・・・分かりました。その、戦闘とか全然できないんですけど一応持っておきます。」
「うん、それで良いよ。いざとなったら、逃げれば良いしね。」
「は、はい。すいません。私のことで迷惑をかけてしまって・・・。」
「別に良いよ。僕もこれから迷惑をかけると思うし、それが人間関係だからね。僕のバックパックにガチャの景品で武器が幾つかあるから持って行っても良いよ。」
むしろ、この武器をどう処理すれば良いか、悩んでいたんだよね。置いていくのもなんだか勿体無い気がするし・・・。
「い、良いんですか、貰っても!?」
「うん、専用の武器もあるし持っていても荷物なだけだからね。」
「あれ?アイテム、売れないんですか?」
えっ?アイテムって売れたのか?
「アイテムを売る?そんなことが出来るの?」
「はい、アイテムには全て三次元コードがどこかにあってそれをショップにある売却カメラで撮ると、そのアイテムが消えて売れるんです。」
全く知らなかった・・・。まあここに来てまだ3日目だからって言うのもあると思うけど。
「へぇー、そうだったんだ。じゃあ余った奴は全部売るから、好きな武器決めていいよ。あっ、もし気に入った武器がないなら僕に言って、良さそうなの買うから。」
「い、いえ!ここから決めます。そこまでして貰わなくても大丈夫です。」
「そう?分かった。」
それから、十数分後・・・。
「決めました。」
「何にしたの?」
「ショートソードです。短くて取り回しがいいのと、軽くて私でも一応振れるのでこれが良いかなと思いました。」
「そっか、じゃあそれにしよう。他のは売ってポイントに変えようか。」
そういってガチャの景品で出てきた余った武器を全部売る。売った武器はポイントで1280ポイントになった。日本刀って結構高い。
「後は、戦闘での立ち回りについてだけど僕は基本後衛で前衛はナイアルに、ってそういえばまだ紹介していなかったか。」
「えっと、ナイアルさんって誰ですか?ここには私たちしかいないと思うんですけど・・・。」
「ちょっと待って、今呼ぶから。サモン[暗黒騎士 ナイアル]」
僕がナイアルを呼び出すと魔法陣が現れ、ナイアルが出てくる・・・んだが、魔法陣からなんか禍々しい黒いオーラみたいなエフェクトも出ている。特にかっこいい以外に感じないからただの演出だと思うが、なんでこんな派手な感じになったんだ?しかも、ナイアル本人も幾分か赤と紫の模様が大きくなっている気がするし・・・。
「こ、これは・・・。召喚魔法!?プレイヤーランクBで出てくる上位魔法ですよ!聡さんって相当凄いんですね。」
「召喚魔法?これは僕の特殊能力だよ。それに僕のランクはDだし。」
「えっ?Dランク?でも確かヘルハウンドを倒したって・・・。」
「ん?倒したよ。その時はまだGランクだったけどね。」
「えっ、えええええええええええ!!??Gランクでヘルハウンドを!?おかしいですよね?Aランクの魔獣って言ったらAランクのプレイヤーが慎重に入念な準備を重ねて罠を仕掛けてどうにか倒せる相手なんですよ?それなのにGランクでヘルハウンドをって普通に考えたら自殺行為ですよ。私が武器を持っていないことより自殺行為です。ありえません・・・。」
「ま、まあまあ落ち着いて、ドウドウドウ。そんなこといっても倒したのは事実だし、無傷だったし、まあナイアルが居てくれなかったらさすがに死んでいたと思うけど。」
「・・・ナイアルさんってどんなステータスなんですか。」
聞かれたら困るわけでもないので、今のナイアルのステを教えた。もちろんスキルも。
「なるほど、ステータスは確かに高いですがそれよりもスキルが異常ですね。剣術スキルなんてLv3もあればプレイヤーの中の上くらいなのにLv5って上の中から上の上くらいじゃないですか。達人クラスですよ。状態異常耐性もほとんど効かないようですし、これならヘルハウンドを倒したのも納得・・・するわけないじゃないですか!」
「うわ!」
「いくら、剣術スキルが高くても普通、ヘルハウンドのブレスに焼かれて死んじゃうんですよ!?それをどうやって・・・。」
「ああ、それは僕が持っている手榴弾のおかげだと思うよ。」
「えっ?手榴弾?」
「そう。それをヘルハウンドの口の中に入れて爆発させたんだ。そしたらブレスを吐いてこないからそのままゴリ押しで倒したんだよ。」
「そうなんですか。・・・なんていうか、凄いですね・・・。」
あれ?なんか、呆れている?っていうか引かれている?い、いやきっと勘違いだ。そう、これは僕の勘違い。凄すぎて呆然としているだけだ。
「とにかく、ナイアルを前衛として僕が中衛、智香は後衛をやってくれるかな?基本は魔法やポーション等での回復やできれば遠距離支援もお願いしたいんだ。」
「遠距離支援?何をするんですか。」
「まあ、爆弾は危ないから、毒でも投げてくれればいいよ。」
「毒!?そ、そんなもの投げたら危ないですよ。」
いや、敵に投げる物だから危なくないと駄目だろう。・・・んー。これはこのままじゃ危険かな。
「危なくない物を敵に投げてどうするんだ?さっきも言ったけどこれから戦いは避けられない。直接攻撃するのはできなくても間接的になら攻撃できるんじゃないか?それに銃を撃つよりは毒ビンとかを投げたほうが少しは気持ちが和らぐんじゃないか?」
「そ、それはそうかもしれませんが・・・。」
「んー。・・・少し、きつい事を言おうか。『もし智香が敵に対して戦おうという意志がなく、このまま一緒に行動したらパーティメンバーの僕はすぐに死ぬよ。』」
「ッ!!!!!!!」
「それで無くとも迷惑されなかったらもしかしたら大丈夫かもしれない。けど、敵に複数で囲まれたら僕は攻撃手段を持っていない君を護ろうとする。僕は仲間を見殺しにするつもりはないからね。でもそんなことをしていたら僕は絶対に死ぬと思うよ。まあそれならそれでも僕はいいと思っている。このゲームじゃ弱者は簡単に殺される。一応死ぬ気は全くないけど。僕が死んだのは所詮僕が君を護れる力がないのにパーティを組んだからだってことになる。それに文句は言わないし、恨みもしない。だから智香が後衛として必要最低限のことしかしなくてもかまわない。」
「――わ、私は・・・。」
「?」
「私も・・・戦います。聡さんの迷惑には、なりたくないですから。」
「そうか・・・分かった。それじゃ、改めてこれからよろしく。智香。」
「はい。聡さん!」
ふぅー。これで一応大丈夫だろう。
彼女はもう、覚悟を決めた力強い瞳をしているのだから。
主人公はメンタルツエエエ・・・。智香ちゃんはやれば出来る子です。多分・・・。
智香ちゃんの説得シーンについてなにかアドバイスがあれば教えて欲しいです!