ゲーム・スタート
協力型のマルチオンラインゲームって合っているんですかね?
「ただいまー。ん?」
玄関の扉を開けて中に入り、いつも通りに郵便受けからチラシを取ろうと手を入れると薄い段ボール箱で梱包された郵便物があった。
「なんか、最近たのんだっけ?」
憶えのない郵便物に首をかしげながらも段ボール箱を開けていく。
「これって、スマホ?」
中に入っていたのはスマホと一枚の紙だけであとは緩衝材、所謂プチプチシ-トがスマホを包んでいるだけだ。
「差出人は・・・書いてない。」
そういえば、と確認したが差出人の名前も住所も書いていない。
仕方なく、おそらく取り扱い説明書だと思われる紙に目を通す。
「えっと、なになに?
『おめでとうございます。本日霧島聡様にオンラインゲーム[Friends are treasures ~友と戦い生き抜くRPG~]の参加権と本ゲーム専用端末が抽選で当たりましたので郵便にて配送いたしました。
なお、ゲームの詳細は端末を起動し契約書に同意していただくことで見ることができます。』」
[friends are treasures]?そんなものに応募したっけ?うーん、ん?ああなるほど
『日本全国民の中で参加権獲得権利を持っている人たちを選び、くじにて1000名様に厳選いたしました。』つまりこういうことか。勝手にゲーム会社がプレイヤーを抽選したら僕にこのゲームの参加権が当たったから家に送ったと。
まあ最近いろいろ詰めすぎて生活に余裕が無かったからゲームなんてやってなかったな。就活で忙しかったからなんだけど。穂野香にも
「詰めすぎて体壊したら就活どころじゃないでしょ。少しは息抜きでもしなさい。」って言われていたし、後でちょっとやってみるか。っとまずはやることやってからだな。
結構気になるけどどんなゲームなんだろう?タイトルを見た感じだと友達と協力しながらやる協力型のマルチオンラインゲームみたいな?うーん、ちょっと齧ったくらいじゃ良くわかんないけどイメージは多分あってると思う。
・・・なんて考えていたら風呂も夕食も後片付けもすぐ終わった。
「えーと、スマホを起動っと。契約書は・・・流し読みで・・・・・・同意っと、これでいいのか?お、付いた付いた。スタートして、え?うっ、目、目がああー!」
ゲーム画面のスタートボタンを押した次の瞬間、スマホから眩い閃光がこれでもかと溢れ出し僕の目を潰した。驚きと光から目を守るために腕でかばった際、スマホを落としてしまったがそれどころではない。
「うっ、うう。んん~、ん??」
閃光が収まったようで視界が開けるとそこは・・・・・・・先ほどいた僕のアパートではなく、なんとも高級感が漂うホテルの個室みたいな場所にいた。
・・・・・・えっとどゆこと?ここ、どこ?一体何が起こったんだ?
急に訳の分からない場所に放り出されてかなり混乱していたが、辺りを見回すと先ほど落としたスマホがベッドの上にあった。
スマホを確認するとゲームの詳細説明が記載されていた。
内容は、
『まず、初めに皆様にはお知らせしておく注意事項をこちらに記載させていただきます。
当ゲームにおかれましてはゲームプレイ中に亡くなられると本当に死んでしまいますのでご注意ください。また蘇生アイテムの類は一部を除きございませんのでご注意ください。
本日行われるゲームエリアは関東全域となります。また、このゲームエリアにはプレイヤー以外の人間は存在しません。アイテムの購入や能力の強化、仲間との通信等はこのゲーム専用端末にて行えます。
このゲームは仲間を作り共に戦いこのゲームをクリアする事が目的です。バグやシステムに異常が見られる場合は運営にメッセージを送ってください。』
こういうよく分からない状況になると人間って何か読める物があったらつい読んじゃうよね~。ってそんな場合じゃない!このスマホの説明、もしかしてこの状況はこれのせい?いや、状況的に結び付けて考えるのが自然だろう。いやけど、死ぬのか。本当に?夢じゃないのか?だが、もし本当だとしたら、安易な行動は絶対駄目だ。それに夢でも死ぬなんて嫌に決まっている。
そうだな、この状況を夢ではないと仮定してとりあえず何かもっとゲームのやり方、チュートリアルみたいにゲームのやり方がわかる説明はないのか?
スマホの画面を色々いじると、画面の端に『ヘルプ・案内』と書かれた場所を見つけた。
そこを押すとゲームのシステムやこのスマホの使い方が載っていた。
それによると、プレイヤーが最初に転送される場所はこのホテルの各部屋に、来た順番で決められているらしい。そして、このホテルから外に出ると魔物と呼ばれる化け物がうようよいるようだ。また、今のままじゃすぐに殺されるくらい強い。
そして『ステータス』の項目を押すと自分の能力が見れるそうだ。また、さまざまな行動によって『ポイント』というものがもらえて、それはアイテムの購入するための所謂お金の代わりらしい。ステータスの各能力にポイントを振ることでプレイヤー本人を強くすることもできるんだとか。能力振り分けできるタイプのゲームってことだな。普通のゲームなら楽しそうなんだけどな。
それから、各プレイヤーには初ログインボーナスでポイントと特殊能力が与えられるらしい。特殊能力に関しては運営にメッセージを送ればいいらしい。それと、能力は一人ひとつ限定なんだと、まあ特殊能力を幾つでも有りってゲームバランス絶対壊れるからな。
えっと、あとはガチャなんてものもあるみたいだ。えーっと、ゲームログイン者数1,000人達成記念ガチャ、初回限定ランクSSS確定10連ガチャ、まあ見たとおりだな。単発100ポイントで10連1000ポイントね、まあポイントが溜まって余裕が出たらでいいだろう。
あとは、仲間を登録するフレンドリストと通信機能のボイスチャット、つまり電話機能とそしてメッセージだな。僕にはまだ全然関係ないけど仲間が10人以上いて、プレイヤーランクがB+以上になったらギルドというものが作れるらしい。
プレイヤーランク?
どうやらプレイヤーにはステータスの強さやポイントの合計取得値などによってランクが決められるらしい。要はランクが高い人は強いって事だな。ちょっと見落としそうになった。気をつけないとな。
あとはまあ、おいおい確認すれば良いか。一応この状況の切り抜け方はなんとなく分かった。とりあえず、ステータスの確認だな。
「ああ、あったあった。これか。『ステータス』っと。」
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霧島 聡 17歳 職業 学生
PRG
HP 100/100
MP 0/0
STR 12
VIT 10
INT 15
MND 13
DEX 15
AGI 16
SP 100
スキル
なし
特殊能力
未定
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能力値に関しては比較するものがないから良く分からないが多分いつもと変わらないだろう。AGIが一番高くてその次がINTのようだ。今は、スキルと特殊能力が重要だろう。特殊能力に関しては後でメッセージを送るとして、とりあえずスキルだな。
これはスキルポイントというものでしかとれないらしい。特殊能力のようなものではなく技術に近いものらしい。
例えば、戦闘やサバイバルが素人の人でもスキルさえあれば生存確率が大幅に上がるため、スキル取得は非常に重要だ。剣術とか薬草知識とか色々あるけどステータスやランクが足りなくて見ることもできないスキルが9割以上もある。ポイントが足りないのは赤文字で書いてあって、すぐに取れるスキルは白文字のようだ。けど、武器系スキルのほとんどがSPを100も使うから慎重に選ばなくちゃいけない。見ることができないスキルは(ステータスもしくはPRが足りません)ってかいてある。
とりあえず、何のスキルを取るか考えよう。
情報を開示します。
当ゲームのステータスは自身の身体能力がそのまま反映されています。