取り調べ①
窓が一つ。手の届かない場所にある取り調べ部屋に三つ編み女は一人取り残されている。取り調べ部屋のドアノブがくるっと回ってニヤリ男が入ってきた
「あー。お待たせ。もう山田でええなぁ。お前、そもそも幾つも名前あるから…」と言って、ドサっとニヤリ男は椅子に腰を下ろした。
「さてと…」と呟きながらファイルをパラパラとめくり三つ編み女。山田花子の方を向いて話し出した
「山田。お前、相当あちこちから恨みを買ってんぞ。んー、まず、この前、検挙したオレオレ詐欺グループ。あそこの元締めが、お前に騙されて詐欺して集めた金が全く残ってない。と言ってたが…お前、その金を何処に隠した?」
山田は素知らぬ顔で窓をジッと見つめていた。
「んー。だんまりか。」と言った後、山田の頭に手をかけて髪の毛をグイグイと引っ張り出した。すると山田は
「痛い。痛い。」と言って手を振り払おうとしたが,ニヤリ男は「山田。もう変装はええわ。もう、ここからは逃げられへんねん。観念して、その暑苦しい変装やめぇーな」と言い、山田の頭からカツラを取った
山田は少し観念した様に
「はいはい。分かった分かった。」と言いながら顔の肉盛りをしたシリコンを剥がして、オーバーオールに手をかけて一気に服を脱いだと思った矢先に
「きゃー!助けて!刑事さんに服脱がされて犯される!」と大声を上げた。それを聞きた別室にいた刑事が取り調べ部屋へ駆け込んできた。
「西島さん。何してんの?」と少し慌てた口調でニヤリ男に言った。ニヤリ男は、周りの慌てぶりとは裏腹に山田に
「流石やなぁ。」と言って、ニヤリと笑った後、飛び込んできた刑事に向かって
「こいつは、山田花子。詐欺の常習や。どうせ、ワシにいたずらされるとか言って釈放でもしてもらおっ。とかおもとるやろ」と言いながら、
「山田。ワシも女や。長年、こんな仕事したらなぁ、見た目がおっさんになってくるんや」と言い大きな声を出して笑った