リドル見参
前の部の快斗の呪文の意味、分かりますか?
あれ、1つの文の平仮名を入れ替えただけなんです。気が付きましたか?気づいた人は天才です!!
「うぅぅ~~……父さぁん……」
「おおお!!愛しの我が息子よ!!心配させて悪かったのー!!」
「何だこの光景。シュールだな。」
ロンギヌス、否、リドルを抱きしめて泣きじゃくるのは、ずっと頭の中で父の事を考えていたライトだ。
「生きてたんだ……うぅ……」
「すまんのぉ!!儂が不甲斐ないばっかりに……」
「本当です父様。あなたの不甲斐なさには頭を抱えます。」
「ヒバリそれは辛辣じゃぞ!?儂は儂なりに色々と考えて……」
「言い訳不要。言語道断。問答無用!!あなたの1人で抱え込む癖のせいでライトは死ぬところだったのですよ!!」
「むぅ……すまんと思っている。だからこうして今謝っているのじゃ……許してくれ?」
「却下です。」
「やっぱり辛辣じゃ!?」
腰に手を当ててプンスカ怒るヒバリに必死に言い訳するリドルは、槍ながら、とても小さく細く見えてしまう。
「ハァ………皆すまない。私の駄目父様が迷惑をかけた。」
「いやまぁ生きてるからいいじゃねーか。な?リドル?」
「そうじゃそうじゃ!!ヒバリは儂を叱りすぎなのじゃ!!それに、儂は皆を魔獣から守ろうとしてこうなったのだから、これは不可抗力ってことで、儂はなにも悪くないのじゃ!!」
「「それは違う!!」」
「ぬぉおおお!?」
少し傘増しされた言い訳に、イラついた快斗とヒバリが同時にロンギヌスを蹴りあげる。
やはり槍と言えども痛みはあるようで、悲鳴を上げながらプルプルと震えていた。
「ったく……なんつーダメ親だよ……」
「全くだ……天に昇った母様を見習って欲しいものだ。」
「ぐおおおお……」
「と、父さん……!!」
辛辣な評価ばかり口にする2人を尻目に、ライトだけが心配してリドルを拾い上げる。
「んまぁ、いいや。さて、リドル?話すべきことが山ほどあるけど、それはそれとして本題だ。ちゃんと話してくれな?」
「う、うむ。わ、分かっておるぞ?た、ただ、これを話すのは……その~……今日じゃなくても……」
「ちゃんと話してくれな?」
「話す!!話すからその目を辞めてくれ!!心に突き刺さるのじゃ!!」
リドルはコホンと咳払いをして、
「ライト。ヒバリ。よく聞いて欲しい。」
「なに?父さん。」
「謝罪なら土下座して地面にちゃんと頭を擦りつけてくださいよ?」
「なんでさっきから儂を惨めに見せようとするのじゃ!?」
「冗談です。それで?本題というのは?」
「うむ。そうだった。ヒバリ。ライトが何故鬼人化を使えるか、分かるか?」
「いえ。分かりません。」
「素直であるな。それでこそヒバリであるぞ。で、その理由なんだが………」
リドルは少し黙ったあと、決意したように、
「実はな、とてもいいにくいのだが、ヒバリとライトが今まで母だと思っていたのは、この城に勤めていたごく一般の侍女なのじゃよ。」
「「……はい?」」
目を見開く2人をおいで、リドルは更に話を進める。
「これは皆には内緒だったのだが、実はお前ら2人の母親は、鬼人の国の女皇帝、零亡なのじゃ。」
「き、鬼人の国の?」
「こ、皇帝?」
「そうじゃ。その国との同盟を強めるべく、儂と女皇帝は婚姻を結び、二人の子供を作ったのじゃ。それが、ヒバリとライトじゃ。」
「なんとなく、ヒバリの名前には俺も違和感があったが、それはあっち側がつけた名前なんだと。だから日本の鳥の名前なんだな。」
ヒバリとライトは混乱して何も言えない。快斗は「そうなるよな。」と言う感情の籠った視線をリドルに向ける。
「快斗の言う通り、ヒバリの名前は零亡が、ライトの名前は儂がつけた名前じゃ。」
「姉弟なのに名前のセンス違いすぎて驚いたよ。」
「まぁまだ混乱しておると思うが、今更ながら、事実を話させてもらった。2人とも、今まで騙して済まなかったの。」
ヒバリとライトはその言葉を聞いて平然とした様子で、
「いえ。気にしないでください。」
「今更そんなのどうでもいいよ。父さんが生きて生きていてくれたのと、快斗さんが目覚めたことを祝うのが先だよ。」
「おおぉ……!!流石は我が息子と我が娘よ!!この世の全てのものよりも儂が大事とな!!どうじゃ快斗!!これが2人の考えじゃ!!」
「んな事言ってねぇだろ2人。」
クルクルと回転しながら詰め寄るリドルを押し返しながら、快斗はルーネスにリドルを渡す。
「ハァ……取り敢えず、やるべき事の1つ目は終了だ。それじゃ、次に移行するか。」
「次?」
「そ。ライト、ヒバリ。国民をできるだけ集めてくれ。場所は処刑場だ。原野とサリエルは俺に着いてきてくれ。」
「?分かりました。」
「分かった。」
ライトとヒバリは城の外へ国民を呼びに向かい、原野とサリエルは快斗の進む先に着いていく。
「快斗君。やるべき事って?」
「それは後で話す。俺一人じゃできるものじゃなくてな。これに適任なのはお前なんだよ。ついでにサリエルも。」
「ついでってなによついでって。」
3人は、処刑場までゆっくりと歩いていったのだった。