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罪深い男の想像話  作者: 病み谷/好きな言葉は『贖罪』
《第一章》 怒る彼は全てを殺し尽くす
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クラスメイト再び?

快「今の俺の獄値を知りたいだって?いいだろう‼そこまで言うなら教えて……」

作「おい。今深夜だぞ。静かにしやがれ。」

快「む…。スゥ……俺の獄値をどうぞ‼」

作「さっきよりうるさくしてんじゃねー‼」


名:天野快斗 種族:悪魔 状態:正常

生命力:900 腕力:720 脚力:720 

魔力:800 知力:700 獄値:1920

響く金属音。ぶつかる鋼。


地面を蹴る音。相手を殴る音。戦いの音が鳴り止まない。


「『陰針』」


影を操る井上が、暗い穴の中の影全てに魔力を流し、地面、壁、天井のあらゆる方向から針を突き出させる。


「フ……。」


自身に向かってくる全ての針を体を捻って躱し、塞がれた通路を針を斬り裂いて開く。


「高谷生きてるよな〜?」

「俺が……ゲボッ……死ぬわけ……ねぇだろ。」

「の割には死にかけの声だけどな。」


快斗は振り向かず、後ろに居るであろう高谷に声をかける。高谷は体中を針で突き刺され、大量の血を流して吐血しているのだが、『不死』の力により、死ぬことはない。


どちらかと言えば、


「俺の術範囲が広がったと言える。」


高谷は、体に突き刺さっている針を力ずくでへし折り、体の自由を取り戻したあと、飛び散った血を操って炎を生み出す。


「『猛血』」

「なぁっ⁉」


高谷がとっくに死んだと思っていた井上は、驚愕の声を漏らしながら、飛んできた炎をナイフで斬り裂いた。


と、井上が足をつけた地面が、少し陥没した。


「う⁉」


踏み外し、バランスを崩して無様に倒れる井上。その上から、


「『魔技・恨みの引きずり』。」

「ぐう⁉」

「お前、反応が豊かだな。」


走り回りながらばら撒いた怨力を使って、快斗が井上を拘束する。地面から生えた腕が、井上を地面に縛り付ける。


「まだ出来ないのか?」

「もう出来てるよ。あとは快斗が潰すだけ。」

「了解。」


快斗は井上を踏みつけてから、高谷が剣を突き刺していた天井に、同じように草薙剣を突き刺して、


「行くぜ。『魔技・穿つ闇柱』」


草薙剣の周りに魔力が漂い、ドリルのように回転し始め、快斗が草薙剣を突き出すと、轟音を響かせながら、凄まじい勢いで地面を上へ掘っていった。


「付いてこい‼いつ崩れるか分かんねぇからな‼」

「分かってる‼」

「お、おい‼待て‼」


井上が唯一動かせる右手を伸ばすが、快斗と高谷はそれを無視して、開いた穴を登って言った。


「30………20………10…………出るぞ‼」


快斗の掛け声と同時に、草薙剣が地上へと飛び出し、大爆発を起こしながら、快斗と高谷が飛び出した。


その後、すぐに周りを見渡して、兵士の数を確認。その合間を縫って、快斗と高谷は城から脱出しようとする。


「しぃっ‼」


が、流石は世界で最も大きな国である。一般兵士でも、獄値はゆうに900超え。それが何万人と存在している。当然、簡単に抜け出せるはずもなく、


「ハァア‼」

「チィッ‼」


振り下ろされた3本の剣のうち、2本を草薙剣で弾き返し、最後の1本を間一髪で掴み上げて、所有していた兵士ごと地面へ叩きつける。


「悪魔だぁ‼」

「戦闘態勢を取れ‼」

「囲え‼囲えぇ‼」


兵士達は野太い声をあげ、快斗と高谷の2人を取り囲むように陣形を取る。


剣を構える高谷は汗と血を流し、快斗は余裕の表情で頬をかいたあと、


「なぁ。サイン会ならちゃんと並んでくれよな?」

「快斗。そんな事言ってる場合じゃないだろ。」


いつものように軽口を叩いた。瞬間、


「ッ……あれ?いつの間に。」


高谷の顔に何かがぶつかり、それを確かめようとしたところ、右目が見えなくなっていた。なんとなく触れてみると、右目には剣が突き刺さっていた。


「ヒュ〜痛々しいねぇ。」

「最近は全く痛みを感じないから大丈夫だ。」

「痛みを感じないのは大分末期だと思うが。」


剣を引き抜いて、一瞬で回復した高谷を見て、剣を投げたであろう兵士が驚愕と恐れの表情をする。


「快斗。流石に全員に勝つのは無理じゃない?」

「だろうな。多勢に無勢ってやつだ。ここはどうにか逃げてぇとこだが……無理かもな。」

「あーあ。」


快斗が逃げる作を思案していると、突如、真上から強大な魔力反応がした。咄嗟にその場から離れる快斗と高谷。振り返ると、今まで2人が立っていた場所に、大穴が開くほどの威力で地面を殴った渡辺がいた。


「天野ぉ‼」 

「んなでけえ声で呼ばれなくたって聞こえるわ。」


渡辺が殺気立った声をあげ、快斗に蒼炎を放つ。素速く跳んで躱し、反撃に『炎閃』を放つ。


渡辺の腹部に『炎閃』が飛来するが、自然と出来上がった蒼い炎の鎧が防ぐ。


「おお‼あれが新しいメサイア隊員か‼」

「あの若さであの魔力……頼もしい‼」

「俺達も加勢するぞ‼」


渡辺の魔力の大きさに、兵士達に火がつく。

全員が凄まじい勢いで迫る。


「あっち側だったら楽しかっただろうにな。」

「そんな事言ってる場合じゃない‼」


未だ余裕の表情の快斗の首を高谷が掴んで跳ぶ。瞬間、雷を纏った刃が、快斗の首に一直線に迫った。


間一髪で草薙剣を滑り込ませ、体を捻って斬撃を躱す。続けて放たれた斬撃を相殺して、その剣士を掴もうとするが、雷の様な速さで駆け抜ける剣士は、快斗の腕を余裕で躱した。


「速いな。ラ……光よりは遅いか?」

「どうだろう?とか言ってる場合じゃないんだって‼」

「おお。いいノリツッコミ。」


剣士を指さして笑う快斗に、高谷が盛大にツッコんで怒る。快斗は「落ち着け」と宥めたあと、眼下に迫る刃を瞬時に踏みつけて、地面へと埋め込み、固定する。


「やっぱりお前か。この数カ月でよくこんな速くなりやがったな。」

「く……ぬけ、ない‼」


剣を地面から引き抜こうと力を入れる女子、黒本が歪んだ表情で快斗を睨む。


「離しなさい‼あんたを殺すためなんだから‼」

「殺されるって分かって離すバカが居るかよ。」

「ぐ⁉」


快斗が握りしめた左拳を、黒本の腹に捩じ込む。黒本は剣を手放し、兵士たちの中へ吹き飛ばされていった。


「逃げれんのかこれ。」

「多分、無理。」

「だよな。」


快斗が周りにいる兵士達の数をざっと数えて、面倒臭そうに高谷に聞く。高谷は真顔で首を横に振って、はっきりと断言する。快斗もそれに異論はない。


兵士の数は、快斗の周りにざっと1000人そんなに要らねぇよ、とツッコミを入れそうになった快斗は、口を抑えて、


「結局、どの街に行っても俺の正体すぐバレんだよな。」

「色だけじゃなくて姿自体変えたほうがいいかもね。」

「ハァ……取り敢えず、ここを抜けんぞ‼」

「了解‼」


呆れながらも、快斗と高谷にも戦意が宿る。


「一気に吹き飛ばすぜ。『極怒の顕現』‼」

「『血獣化』‼」


快斗の髪が黒く染まり、爪や牙が伸び、右目を中心に十字架が描かれる。


高谷の左腕がバキバキと音を立てて肥大化し、真っ赤な甲羅に覆われた大腕へと化す。右手には剣を持ち、戦闘態勢に入る。


「な、なんだあれは……‼」

「なんと禍々しい……。奴らをここで滅ぼすぞ‼」

「「「オオオォオォオオォォオ‼‼」」」

「リャアア‼」

「ガァアア‼」


兵士達が雄叫びを上げながら快斗と高谷を斬り殺そうと迫り、快斗と高谷が拳を振り上げて戦闘の兵士を殴り飛ばす。

 

その死体に押されて、後ろの兵士達の陣営が乱れる。


「『ヘルズファイア』‼」

「グゥルルルぁぁああーー‼‼」


放たれた獄炎が兵士達の剣や盾で受け止められ、空から振り下ろされた大拳が、兵士達のど真ん中を殴る。地面が陥没し、地響きが起こる。


「『死歿刀』」


快斗が呟くと、草薙剣が獄炎に纏われる。


「ハァアア‼」

「死ね‼悪魔‼」

「悪は滅びろ‼」


兵士達が剣を振り上げ、様々な方向から、鋭い剣技を放ってくるが、


「残念。」


快斗が草薙剣を軽く薙ぎ払う。すると、振り下ろされていた剣が全て、半ばからへし折れ、蒸発した。


「なぁっ⁉」

「こ、これが魔神の……」

「じゃねー。」


快斗が軽く手を振って、剣が折れた兵士を全て蹴り飛ばす。と、後ろから殺気。


身を傾けて躱し、空いた腹に拳をねじ込んで突き飛ばす。間もなく後ろから剣が突き出され、獄炎を纏った草薙剣がそれを弾き飛ばす。


体勢が崩れた兵士の腹を蹴り飛ばし、後ろから放たれた魔術を『ヘルズファイア』で相殺する。


大量の兵士達を、まるで駒のように遊び尽くす。鬼の所業がここにあり。


「ぐあ⁉」

「何故……攻撃は見えていないはずなのに……」

「く……天野‼お前は俺と勝負しろ‼」

「だったら俺に襲い掛かってくるコイツラを止めろ‼」


『蒼獣化』した渡辺が、苛ついたように快斗に言い放ち、それを苛つきの言葉で快斗が突き返した。


「クソッタレ‼キリがねぇ‼」

「なんだっていつも快斗はすぐにバレるのさ⁉」

「知らねぇよ‼こっちが聞きてぇくらいだよ‼」


高谷が『血獣化』を解いて、快斗に悪態をつきながら、あふれる兵士を全て突き飛ばす。


快斗は『瞬身』を駆使して、兵士の合間を縫い、1人1人全ての兵士の鳩尾に打撃をいれ、十数人を一気にダウンさせる。


「クソ‼悪魔め‼」

「ここでくたばれ‼『水榴弾』‼」

「アァ?くたばってられっかよ‼」


迫ってきた大水玉を蹴って分散させ、快斗は苛つきながら術者の兵士の脳天をかち割る勢いで殴りつける。


「うぐぉ……」


一瞬で気絶してしまった兵士がその場に倒れる。その兵士を投げとばし、快斗は手を鳴らして、


「さーて、渡辺。あらかた掃除は終わったから、相手してやん……」

「オラァ‼」

「まだ話してる最中だっての‼」


渡辺が蒼い炎で出来た大腕を快斗に叩きつける。左腕で防ぎつつ、右手に持つ草薙剣を、胴体へと叩きつけるが、蒼炎で作られた鎧を破ることはできず、弾かれてしまった。


「なかなか強くなったじゃねぇか。」

「るせぇ‼」


渡辺が蒼炎で剣を作り出し、大腕とは逆の腕で振り回す。


草薙剣で流しながら、快斗は距離をとってニッと笑う。


「本当はお前らは俺を殺したいだろうけど、こっちもこっちで予定が入ってんだ。だから、少し、本気度を上げるぜ。」


快斗が帯びる黒い魔力が色濃くなり、魔力が開放される。同時に『スカーレット』が発動。反応速度が上がる。


渡辺が気迫に押されて目を瞑るが、決心したように目を開け、自身の魔力を高めて


「西野‼」

「うん‼『重降』‼」

「ぐお⁉」


飛び掛かるや否や、渡辺は隠れている仲間の名を呼ぶ。


呼ばれた西野は、固有能力を全開に使い、快斗に高重力をかける。体がとても重くなり、地面に足が食い込む。


「お……も……」

「ハァアア‼」


想像以上の重量に、快斗が歯噛みしながらその場から離脱しようとすると、その横から容赦なく灼熱の大拳を叩きつけられた。


「あっつ⁉」


前とは段違いの熱さを感じて、快斗は情けない声を出しながら城壁にのめり込んだ。


「今度は当ててやる‼『雷閃』‼『雷牙』‼」


そこへ、高速で迫った黒本が、刃に雷を纏わせ、快斗に向かって魔術と剣技を放つ。


「想像以上に……上達してやがる……‼」


苛つきながらそう呟いた快斗は、魔力を高めて黒本の剣技を流し、魔術を躱す。驚きに目を見開く黒本の鳩尾に、草薙剣の柄を勢いよく叩きつける。


「がは……」


体をくの字に曲げたまま、黒本が吹き飛んで壁にぶつかる。


血を流す黒本に追撃をしようとするが、


「させない‼」

「面倒くせぇ……。」


真上から蒼炎剣を振り下ろして、渡辺が快斗を妨害する。草薙剣を立て代わりにして防ぎ、踊るように回転して、落ちた渡辺の脇腹に蹴りを入れる。


快斗がめり込んた壁に吹き飛ぶ渡辺。壁に上半身がのめり込む……はずが、


「ええい‼」

「サンキュ‼オラァ‼」

「クソ……重力って面倒くせぇな。」


西野が渡辺に横向きの高重力をかけ、壁に当たる寸前で引き戻される。そのまま蒼炎剣を快斗に叩きつけ、吹き飛ばす。


「クソ面倒くせぇ‼」


苛つきながら、快斗が草薙剣を黒本に投げつけ、高速で西野へと迫る。


「駄目だ‼」


その前に渡辺が立ち塞がる。が、それでいい。快斗がニヤリと笑う。瞬間、渡辺の視界から快斗が消え去る。


どこに行ったのかと辺りを見渡していると、


「い、いたあああい‼」

「ッ⁉」


後ろの西野が悲鳴を上げ、驚いて振り返ると、下から草薙剣を振り上げた姿勢で笑っている快斗と、片腕をなくした西野の姿が。


黒本の方に草薙剣をなげ、そこへ『転移ワープ』したのだ。


「ッ……ハァアア‼」

「現実復帰は早い見てぇだな。」


振り下ろされる大拳を躱して、快斗は迫る黒本の刃を躱して斬り返す。


「黒本‼」

「うん‼分かってる‼」


渡辺が懐から完全回復剤を取り出し、取れた腕を西野の切り口にくっつけて、かける。

緑色の光に腕が包まれ、スッと傷が塞がり、腕が機能を取り戻す。


「ご、ごめん……。」

「別にいい。それよりも黒本が‼」

「………そうだね…。」


西野が回復したのを確認すると、渡辺はサッと黒本の加勢へと向かう。その背中を見て、西野は唇を強く噛む。


「なんで……あの女ばっかり……前はいつでも私を見てくれたじゃない……」


西野は黒本を忌々しげに見つめ、その嫉妬心を隠すように魔力を高め、八つ当たりで快斗に高重力をかける。


「また……‼」

「行け‼黒本‼」

「うん‼『フェンリルの雷牙』‼」


快斗が体勢を崩した瞬間に、剣に雷の狼を付与した黒本が快斗に突っ込み、その首を狙う。


ザンっと音がして、快斗の首が宙を舞う。が、瞬間、首が空中でビタッと止まり、再び首の切り口に戻る。そして、剣を振り下ろし終えた体勢の黒本に強い打撃を入れた。


「ルゥァ‼」

「くう……⁉」


黒本がまたしても壁を突き破る。


「な、なんで生きて……ッ⁉」


渡辺が瞠目しながら快斗をじっと見ていると、急に体に激痛が走った。反射的に体を見下ろしてみると、いくつもの擦り傷のような浅い傷が大量についていた。


「な……あれ?」

 

すると、快斗の姿がゆっくりとブレ、やがて、


「お疲れ、快斗。」 


と、渡辺の方を見て話しかけている高谷の姿へと変わった。


「え?え?なん……ぐあっ⁉」


渡辺が不思議がっていると、今度は背中に激痛が走った。驚いて振り返ると、そこには、


「よ。幻影の世界でよく頑張ったな。でも、お前らはここで戦線離脱って事で。」


そう快斗が呟いた瞬間、渡辺の首を快斗が力強く掴んだ。そして、


「高谷。パス。」

「分かった。リャア‼」


乱暴に渡辺を投げとばし、逆さになった渡辺を真下から高谷が蹴り飛ばす。


「ごあ⁉」


渡辺は血を撒き散らしがら、壁を超えて飛んでいってしまった。


快斗はパンパンと手を叩いて、


「うし‼逃げよう‼」

「そうだな。」


そう言って、2人は覚醒状態のまま、翼をはやして城の前から立ち去ったのだった。


その場には、ただ呆然と座り込んでいる西野だけが残っていた。

高「え?俺の獄値知っても意味無くない?まぁ、聞きたいんならいいけど……はい。これが俺の獄値。」


名:高谷?? 種族:魔人 状態:正常

生命力:無限 腕力:690 脚力:690 

魔力:700 知力:600 獄値:1300+??


高「魔神因子で力が上がって、『不死』のお陰で生命力は無限です。」

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