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罪深い男の想像話  作者: 病み谷/好きな言葉は『贖罪』
《第二章》悲しむ彼女は凍死する
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新たな世界

光がやんでいく。視界が晴れていく。暖かい光が晴れると同時に、少女は目を開ける。そして、少女は目を見開いた。


そこには先程までいなかった、長い白髪を持つ女性がいた。


少女は一瞬脅えて後退りした。が、直ぐにその人間に近寄っていった。


それは何故か。


その白髪を持つ女性が、この世の終わりかのように咽び泣いていたからだ。


~~~~~~~~~~~~~~~~~


光に包まれる。暖かい光に。どんどん色が甦っていく世界に目を開けて、そして直ぐに視界が歪む。目から水滴が流れ落ちる。


それは涙。頬をつたる、暖かい涙。空のように真っ青な瞳は悲しみにくれ、どこを見据えるでもなく地面を直視する。


流れ落ちないように手で擦るのに、それは止まることなく溢れ続ける。鋭い爪の生えた両手が、涙でびしょびしょになる。


「大、丈夫………?」


そんな泣いてばかりの者に、耳にすっと入り込んでくる澄んだ声がかけられた。衝撃に顔を上げる。その目に映ったのは小さな少女。


初めて見た時、その子をみすぼらしくも可愛らしいと思った。くりくりとした緑色の瞳。握りしめられた小さな拳は震えている。


その拳とは反対の手。その手は頭の上に置かれていて、慰めるように撫でてくれている。


「泣か、ない、で…………」


優しい言葉。心を包み込むような、安心出来る言葉。


「ん………」


少女は涙を流したままの女性に抱きついて、全身を温めるようにくっつく。


許されたような気がして、縋るように女性は少女に顔を埋めて泣きじゃくる。


そして口を開いた。大量の血と共に、悲しみにくれた、小さなかすれ声を。


「ごめん、なさい…………」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「さぁて、今度はどこにぃい~♪」


独特な音程で話す男が、眼前で様々なことを映し出す巨大なスクリーンの前で腰を振りながらボタンを弄っている。


「おぉっとぉ?これはこれは………不思議な周波だなぁ⤴」


そのスクリーンに見覚えのないものが写ったので、男は体をくねくねさせながら振り返る。そこには1人の背の低い女性が膝まづいている。


「じゃあじゃあ、君はこの世界に行ってみようか。」

「………私は何をすれば?」

「とりあえず、この世界でノルマ分の力を集めて?そしたらわっちらが頑張って回収してあげ~るから♪」

「はぁ………」


嘆息する女性は、その不可思議な動き特徴の男を無視するように背を向けて、その場を後にする。


「頑張ってぇ~~!!」

「面倒くさいなぁ。」


背中にかけられるその煩わしい声に表情を歪めながら、その背の低い女性はその『世界』から、別の『世界』へと飛んで行ったのだった。

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