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屋敷にて
任務の報告を終えたのはついさっき。
今、私は自分の部屋でお茶を飲んでいる。
あんな怖い思いをした後に飲むお茶は、私に慈悲深い安心感を与えてくれる。
迫りくる鋭い爪を避け……る前に助けられ。
恐ろしい形相の鬼を前に……助けられ。
巨大な金棒を持った鬼から……助けられ。
まあ、ぶっちゃけ何もしていない私である。
いや、正しくは何もできなかった、だ。
周りにいる人は、私の肩を優しく掴んで慰めてくれるけど、負けず嫌いな私にとってそれは、軽い侮辱に等しい。
無論、侮辱などしていないのだが。
「うーん、どうすればもっと強くなれるかなぁ」
いっその事、夕闇さんの弟子にでもなってしまおうか。
それならば、おそらく最短で強くなれる筈だ。
でも、果たして弟子にしてくれるだろうか。
「おーす、元気かねぇー」
夕闇さんが襖を開けて入ってきた。




