表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
96/100

影濁す

「さっさと倒して……」


 言って、朝さんは一瞬硬直した。

 そしてすぐに、三日月刀で鬼の頭の上を一閃した。


 プツリと、何かが切れるよう音がした。


 間もなく、鬼は膝から崩れて地面に倒れた。

 ズシンと、軽い地震が起きて足下がグラグラ揺れる。


「人……形?」


 まるで操り人形の糸が切れたかのように、いや、本当に糸を切ったんだ。

 鬼は初めから、蘇ったりしていない。

 そういう風に見せていただけだったんだ。


「フフフ。 ではまた会おう、花びら達よ」


 洞窟から不気味な気配が消えた。

 まるで、煙が充満した部屋から出たみたいに、気分が清々しい。

 結局、私は敵の顔を見ることも、朝さんの役に立つこともできなかった。


「………仕方ない、帰ろう。 仕事は終わりだ」


 朝さんは傍で歯噛みしていたが、小さなため息を吐くと、すぐにいつもの爽やか雰囲気を取り戻し、何事もなかったかのように話しかけてきた。


「……はい」


 私はやるせない気持ちで頷いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ