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また今度
「ふむ、どうやらお互いタダでは済まないらしい。 悪いがお暇させて頂こう」
「みすみす逃がすとでも?」
すると、何かが私の方へ近づいてくる音が聞こえる。
ズシンッズシンと、明らかに人間の足音ではない。
その音は後ろから聞こえる。
そっと、手に持ったランプを後ろへ向ける。
すると、オレンジ色のランプの光が、後ろから近づいてくる何かを照らした。
鬼だ。
それも、さっき朝さんが斬って捨てた。
目は虚ろげで、生気を感じられない。
動きもなんだかぎこちなく、ゼンマイを巻かれた人形が一定の動きを繰り返すように規則的だ。
「ほら、早く行かないとあの子が危ないよ」
誘うように、声の主は言う。
「………ちっ」
数秒後、朝さんが私の前に飛んできた。




