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一進一退
闇の中で無数の火花が散っていく。
金属同士が擦れ、弾ける音が洞窟内に響く。
「ランプの光だけでは、戦えない」
当たり前だ。
目にも留まらぬ速さで戦うあの二人に、ランプを持ちながら追いつき、参戦するなどできる訳がない。
そもそも、基本的に戦力として劣る私が行った所で、十中八九、ただの足手まといにしかならないだろう。
ここはやはり、大人しく待っているしかないか。
「やれやれ、見かけによらず乱暴だねぇ君は」
さらに金属質の音は激しく高鳴っていく。
「そうかな、これでもまだ手加減してるんだけど」
やがて、音の雨が止んだ。
おそらく、互いに距離をとって相手の様子を見ているのだろう。




