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闇散る
「おやおや、私と一戦交える気かね」
クックックッと不気味な笑いを漏らしながら、声の主は問う。
「いいや、そんなつもりは毛頭ない。 だって、一方的に勝つからね!」
言って、朝さんは闇の向こうへ飛び込んだ。
私も続けざまに行こうかと思ったが、向こうから待機命令を朝さんに言われてしまった。
十中八九、足手まといという事なのだろう。
けど、悔しいがその通りだ。
あのおぞましい声の主には、現時点で朝さん以外に太刀打ちできる者はいないだろう。
私では到底敵う筈もない。
無力だ。
どれだけ追いつこうとしても、途轍もないスピードで誰かに突き放される。
捨て身や一か八かの賭けで、ようやく誰かの役に立てるなんて、破綻だ。
「何か……無いのか」




