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だからといって

「鬼を……喰った?」


 驚きのあまり、私は言葉を口に出していた。

 しかし、それは無理も無いと思う。


 屍と化した途端に、その身からスプレーよろしく悪臭を放つ肉を、誰が食べようと思うだろうか。

 少なくとも、私は食べない。

 いや、正常な思考を持つ者ならば、間違っても口にはしないだろう。


「まぁ偶然だが、君達のターゲットは私が平らげてしまったからね。 君達は苦労せず目的を達成したわけだ。 良かったじゃないか」


 ……言わずもがな、こちらの被害が出ずに事が済むのなら、それに越した事はない。

 通常はありえない事だが、誰もがそれを望んでる。

 私や朝さんだってそうだ。


 でも、それとは別に


「それはどうも。 でもたった今、別のターゲットが発生したようだ」


 コイツは何とかしないといけない。

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