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一難去ってまた一難

 この岩と岩がぶつかり合う音はおそらく......


「落石よ!」


 私たちの真上から直径八メートルくらいの大岩がたくさん転がってきた。あー死んだな私。


「しっかり捕まってな!」


「はっはい!!」


 うおお! すっスゴイ!!

 崖からアリの群れみたいにおしよせてくる大岩達をワイヤーアクションみたいにヒラヒラ避わしていってる。


 一族の人達はみんな身体能力が高いってことは聞かされてたけど、ここまでくると人間じゃないよ!


 でもおかげで助かったぁ。


 なんとか大岩からは難を逃れた。けど、なんで急にあんなに大岩が転がってきたんだろ。もしかしてまた妖怪?


 それとも......。


「いやぁ、まったく災難だったねぇふたりとも」


 この声はさっきの女の子。いつのまに?


「ホントだよ、突然の災害ほど怖いモノは無いからね」


 夕闇さんは特に驚いていない。気づいてたのか。でもこの女の子は本当に信用して大丈夫なのか。

 なんだか妙な違和感がある気がするけど。


「特に、アンタみたいなのはね」


 夕闇さんが矢の先を女の子の喉元に突き立てた。


「ちょっちょっと何するんですか」


「とぼけなくて結構、アンタは私の()じゃ無いからね」


 やっぱり偽物だったんだ。


 ......弟? 妹じゃなくて? 聞き間違いか?


「さっさと正体表しな、じゃないと」


 喉元に突き立てた矢をさらに奥へ近づけていく。


「......やれやれ、いつから?」


「初めっからだよ、ここに朝がいるわけないからね」


 そうか、と言うと少女はクックックと不気味な笑顔を浮かべた。

 なんでかは分からないけど、コイツにはずっと余裕がある。偽物だってバレたにもかかわらず。


 また嫌な予感がする。


 コイツはまるで、深くて黒い底無しの沼だ。あらゆる武器や恐怖をコイツに浴びせても全てを飲み込んでしまう。


 直感だけどそういう印象が一番合ってると思う。


「目的を言いな、次第ではタダじゃ......」


「夕闇さん!! 危ない!!」


 突然、地面から黒く尖った何かが夕闇さんめがけて飛んできた。


 夕闇さんはなんとかギリギリ避わすことに成功。


 でもそのかわり、少女はいつの間にか崖の上まで移動していた。


 あんな短時間でどうやったら......。


「ふふふ、露火 真狐兎さん、またお会いしましょう」


 少女は一礼すると黒い煙に包まれて消えてしまった。


「ちっ!逃すか!」


「夕闇様!」


 追おうとする夕闇さんを呼び止めたのは運転手さんだった。よかった生きてた。


「何言ってんの!今ならまだ......」


「私だけでは、露火様をお守りする事はできません」


 私を? まぁそうですよね。運転手なんだから。


「.....................ごめん、分かったわ」


 意味は違うけど私も運転手さんには賛成だ。もしも夕闇さんが追っていたら何かもっと嫌な予感が的中してた気がするから。


「急いで屋敷に戻ろう、報告する事が増えた」


 岩で車は潰されてしまった。

 私たちは徒歩で屋敷まで歩いて帰った。


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