戦端
「避けろ!」
唐突に、朝さんの叫び声が聞こえた。
一瞬、体をビクリと震わせた私は、何の事なのかよく分からなかったが、とりあえず咄嗟に横へ横転した。
ガララッ
突如、天井の岩が砕けて、何か大きなモノが勢いよく落ちる音が洞窟内に響いた。
ほぼ同時に、辺りに散らばっていた骨と岩が、まるで散弾のように飛んでくる。
「うぐっあ!」
粉砕された骨と岩の破片が、無意識に頭部をガードしていた両腕に深々と刺さった。
さらに、私は落下の衝撃に耐えきれずに吹っ飛ばされ、そのまま全身を壁に叩きつけられてしまった。
「かっはぁ……」
内臓が瞬時に圧迫され、肺の中の空気が一気に口から吐き出される。
加えて、全身の骨が軋んでいく。
あまりにも急だったから、咄嗟の受け身が間に合わなかった。
死にはしないだろうけど、間違いなく大きなダメージとして、しばらく体に蓄積される。
非常にマズイ、少しの間だろうけど、私は完全に無防備になってしまう。
「朝……さ…」
肺の中の空気が全て失われてしまったせいか、私は喋る事すらままならない。
いや、喋る事はおろか呼吸すらも、今ではかろうじてできている程度だ。
一体、何が起こった?




